つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党
つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党

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東葉高速鉄道飯山満駅をはさんで南北に広がる21・6ヘクタールを整備する「飯山満土地区画整理事業」。当初、平成3年度から8年度までの予定が様々な事情で進捗が遅れ、いまは平成22年度まで期間を延長して事業が進められています。芝山団地から駅前までの都市計画道路の開通やそれに伴うバス乗り入れなど地域住民の目にも進捗が実感できるようになってきているとはいうものの、事業期間のさらなる延長は避けられない状況です。

「事業の見通しを丁寧に説明して欲しい」という市民要望を踏まえ、今後の具体的な整備計画の説明を求めるとともにバブル以降の地価下落など環境変化によって税金投入という市民負担が発生する恐れがあることについて、行政の考えを質しました。

区画整理の総事業費109億円に対する19年度末現在の進捗率は事業費ベースで26%、面積ベースでは34%に止まっており、事業期間の再度の延長は避けられません。

この事業はバブル期に計画されたため、保留地処分による収入見込みは現時点で当初の半分から3分の1程度に落ち込んでおり、不足額が生じる可能性が高くなっています。対策を質したところ、市側は期間の延伸を含む次回の事業計画の変更では、支出削減のため効率的な事業展開を図るため設計の変更も含め地権者と協議していくとの考えを示しました。また、収入面では新たな資金確保を検討すると述べましたが、具体的な方策は示せないのが現状です。

巨額の長期債務を抱える東葉高速鉄道の経営改善のためにも区画整理事業の完成が急がれます。

国も運賃収入拡大につながる飯山満土地区画整理事業も含めた沿線開発に最大限の協力を約束しています。折角、国が最大限の協力といっているのですから、そのためにはどのような手法があるのかもっと知恵を絞るべきです。
最終的に市民負担が極力生じないようにするためにも、例えばまちづくり交付金などの活用可能性なども含め検討し、国に対しても積極的に働きかけてゆくことを訴えました。

12月議会は11月26日から17日までの会期で開かれています。

今議会での一般質問(12月4日)では(1)国の経済対策への対応(2)中小企業への支援(3)飯山満土地区画整理事業—について質しました。

(1)国の経済対策への対応について
つのだ:政府が追加経済対策で実施しようとする定額給付金について船橋市は所得制限を設けるのか。また、DV等の被害者で住民登録できない事情のある方への給付はどうなるのか。

答弁:総務省の「たたき台」では「希望する市町村は、所得が一定の基準額以上の世帯構成者に係る給付額を給付しないことができる」となっているが、事務の煩雑化を考えた場合、所得制限は困難である。住民登録できない方への対応は総務省の制度設計の中でどのような取り扱いになるか注視してゆきたい。

つのだ:DV被害者でも行政や警察に相談して、住民登録していても加害者に居場所を知られないようになっている方もたくさんいる。そうした方には定額給付金も手元に届くが、住民登録していない方については、何人いるのかも含めて全く把握できない。そうした方の中には当初から全く支援が講じられていないケースも多いのではないかと思う。定額給付金に限らず住民登録しないことによって被る不利益は大きい。より多くの被害者に支援が講じられるよう、相談窓口も含めたPRにも積極的に取り組んで欲しい。

(2)中小企業への支援について
つのだ:中小企業の支援について融資と市の実施する調達・工事について以下の点について質問する。

・原油高騰等で資金繰りに苦しむ中小企業のためスタートした国の緊急補償制度を利用するための市長の認定事務の迅速化を求める声もあるが、本市の相談、申請件数はどうか。また、手続き迅速化への対応はどうか。
・中小企業の資金繰り支援ということに関して、市の実施する調達・工事等の代金支払いの一層の迅速化や請負代金の前払いに柔軟に対応してもらいたいがどうか。
・下請けもちゃんとやっていけるよう、適正な工事価格で落札されているかどうかの点検もしてほしい。具体的には下請けの労働者が雇用保険、健康保険、厚生年金保険料が適正に納付されているかということも市の指導要綱に盛り込むよう見直しを行い、点検、指導の強化を図ってもらいたいがどうか。

答弁:
・19年度市長認定件数は111件だったが、本年度は11月末現在で375件を認定し、11月1ヶ月間で249件となっている。認定証交付は遅くとも受付の翌日には認定証を交付する体制をとっている。
・物品購入、建設工事の代金支払いについては、関係部署と協議し今一層の代金支払いの迅速化に努めてゆく。前払いについては国、県の中間前払制度について本市でも活用できるか研究する。
・議員指摘の「建設業者は雇用保険、健康保険、厚生年金保険料を適正に納付すること」という規定は、現在の適正化指導要綱にはないが、調査したところ、既に国から各建設業団体には指導の要請がされていることから、早急に規定の見直しを考えたい。

◆9月議会報告【原油・物価高騰への緊急対策を】市内中企業等への融資要件緩和や福祉灯油事業の実施を!【災害時の飲料水確保対策の見直しを】大規模災害への備えのなかでも重要な飲料水の確保策は果たして十分なのか?

■原油・物価高騰への緊急対策を〜中小企業向け融資要件緩和や福祉灯油の実施を主張〜

昨年来の原油価格高騰は少し落ち着きを見せているとはいえ、依然として高止まりの状況であり、食料、飼料、原材料などの価格の高騰と相まって市民生活や企業活動に深刻な影響を与えています。

9月議会では市としても可能な限りの対策が急務との思いから、高齢者や低所得者等へ灯油購入費を助成する福祉灯油事業の実施、中小企業等の資金繰り円滑化のため融資要件の緩和などを早急に実施に移すよう主張しました。

灯油価格は昨年8月には18ℓ1,431円だったものが今年8月は2,310円へと約1.6倍に急騰しています。国では高齢者や母子家庭、低所得者を対象に灯油購入費を補助する自治体に対して特別交付税で支援する、いわゆる福祉灯油制度を設けていますが、船橋市でも本格的な需要期を控え市民生活を守るため国の制度を活用した福祉灯油事業を早急に実施するよう主張しました。

また、中小企業等の支援では特に資金繰りの円滑化のための融資要件の緩和を主張しました。市で実施している原油高騰関連の融資は国の制度に沿った融資資格を設けており、融資を受けられる者が限定されてしまっています。原油高騰の影響はより広い業種に及んでいることに鑑み、まず融資が受けられる業種要件を撤廃して県の信用保証協会の保証対象業種について融資が受けられるよう緩和すること、さらに、原油高騰により利益が圧迫されていることが認められれば融資の対象にするなど、緊急に思い切った対策を打ち出すことを訴えました。

■災害時の飲料水確保対策の見直しを

□一人1日最低3リットル

普段、私たちは一人当たり1日240リットルの水を使っています。災害で広域的に断水した場合に備え一人1日あたり最低3リットルの飲料水を確保しておくことが必要とされています。飲料水以外に20リットル程度の生活用水も欲しいところです。

□船橋は主に防災井戸で確保
市の防災計画では災害時の水の確保は県水道局給水場と市の耐震性井戸(防災井戸)に求めることにしています。このうち防災井戸は地下100メートルから150メートルの深井戸で、自家発電装置や滅菌器を取り付け、毎時12トンの水をくみ上げる能力のある井戸が18か所、ほかに手押しの井戸が2カ所設置されています。過去の議会において市は防災井戸によって「57万(現在は59万人)市民には必要とされる1日3リットル(の飲料水)は十分確保できる」としていました。

□飲料水としての水質は…?
しかし、定期的に行っている防災井戸の水質検査結果を調べてみると、毎回5カ所から7カ所の井戸が大腸菌や、硝酸性窒素・亜硝酸性窒素の基準値超過などで水道水の水質基準に不適合となっています。また、環境部の調査では健康被害をもたらすとされるテトラクロロエチレンなどの有機塩素系溶剤による地下水汚染が市内各地で依然として続いていることが示されていますが、防災井戸についてはこれら汚染物質の調査は行われていません。

□地下水から水道水確保へ転換を
市内の地下水汚染の状況や水質検査結果を考え合わせた際、災害時の飲料水確保を地下水に求めるという考え方から水道水の確保を図るという方向に転換してゆくべきです。

水道水確保のため全国的に広くとられている対策に飲料水兼用耐震性貯水槽の整備があります。このほか例えば東京都中央区では避難所となる区内全小学校に手動の濾過器を配備して災害時にはプールの水を飲料水として活用することにしています。災害発生直後の段階で避難所に行けば確実に水が手に入るという点ではこうした取り組みは船橋市でも検討する価値は高いと思います。

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◇議会での議論◇
Q.防災井戸の水質検査で飲料水の水質基準に適合していない井戸が多数ある。また、基準を満たしている井戸でも、市内に供給されている水道水の水質と比較して質的に劣っている井戸はほかにもある。災害時の飲料水確保を地下水に求めるという従来の考え方から耐震性貯水槽などにより可能な限り水道水の確保を図るという方向に転換してゆくべきではないか。
A.飲料水の提供は各避難所等に備蓄してある缶タイプの飲料水をまず活用し、防災井戸は主に生活用水としての活用になる。災害時に避難所等に避難した方々に、迅速に飲料水の提供を図る必要は強く認識している。議員指摘の耐震性貯水槽の設置や学校プールの水源利用による濾過器の設置等々について、本市にとって効果的な方法を調査研究したい。

9月議会(会期3日〜26日)の一般質問では、(1)災害時の飲料水確保対策(2)原油・物価高騰に対する市の取り組み(3)来年度から複合施設としてスタートする旧高根台第1小学校について取り上げました。

■災害時の飲料水確保対策
つのだ:市の防災計画では災害時の水の確保は県水道局給水場と市の耐震性井戸(防災井戸)に求めることにしているが、防災井戸の水質検査で飲料水の水質基準に適合していない井戸が多数ある。また、基準を満たしている井戸でも、市内に供給されている水道水の水質と比較して質的に劣っている井戸はほかにもある。災害時の飲料水確保を地下水に求めるという従来の考え方から耐震性貯水槽の整備や学校プールへの濾過器配備などにより可能な限り水道水の確保を図るという方向に転換してゆくべきではないか。

答弁:飲料水の提供は各避難所等に備蓄してある缶タイプの飲料水をまず活用し、防災井戸は主に生活用水としての活用になる。災害時に避難所等に避難した方々に、迅速に飲料水の提供を図る必要は強く認識している。議員指摘の耐震性貯水槽の設置や学校プールの水源利用による濾過器の設置等々について、本市にとって効果的な方法を調査研究したい。

■原油・物価高騰に対する市の取り組み
つのだ:中小企業の資金繰り円滑化のため本市の融資制度についても、より一層の要件緩和などを検討すべきではないか。また、昨シーズンを上回る灯油価格の高騰に対して福祉灯油事業の実施を含め深刻な影響が懸念される高齢者や母子家庭、低所得者を中心に市民生活を守る施策を早急に実行に移すべきと考えるがどうか。

答弁:中小企業者の経営は極めて厳しい状況にある。現在のところ現行の融資制度のなかで対応する考えだが、今後の経済情勢の把握、情報収集を行い適切な対応をしてゆきたい。福祉灯油事業について、今のところ特段の助成制度を設けることは考えておらず、今後、国、県、他市の状況を見守りたい。

つのだ:生活必需品が軒並み値上がりしているうえに灯油の高騰と状況は昨シーズンとは明らかに違う。需要期を前に少なくとも市としてどのような手だてが講じられるか関係部署が検討する場を設けるべきではないか。

答弁:今後、横断的に検討する場を設けて検討してゆく。

【今号の内容=6月議会報告】質問項目…【病院事業について】市民の健康を守る医療センター、安定経営のために必要なことは?【下水道事業について】検査の必要のない工事の検査のために職員を置くのは非効率。民間に委託すべきではないか?

6月議会の一般質問では医師不足や医療費抑制の影響で自治体病院の経営が急速に悪化しているなか、市立医療センターの経営について、市民の健康を守る拠点として将来にわたって公営を維持する必要があるとの立場から経営改善の方向について質問を行いました。

また、全国的に見ても大きく整備が遅れている本市の下水道事業について実態を踏まえた業務効率化のための提案を行いました。

(1)医療センターの経営基盤強化を

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自治体病院は全国的に診療報酬引き下げによる経営状況の悪化、医師不足による診療科の廃止など取り巻く環境は厳しさを増しており、平成18年度の決算では全体の8割が赤字に陥っています。船橋市立医療センターはわずかに黒字を出しているものの、内容をみると22億6500万円の一般会計からの繰入、即ち税金の投入で支えられているというのが実情です。

グラフは医療センターと同規模の市立病院と医療センターの一般会計からの繰入額の比較(上)と、繰入がなかった場合の赤字額の比較(下)です。救急医療や高度特殊医療など公立病院でなければできない役割を果たすうえで一般会計からある程度の繰入は必要で、事実どこの自治体病院も繰入金はあるのですが、医療センターはその割合が突出しており、市の財政状況から考えても経営基盤強化が強く求められているといえます。

医療センターの今後について、「船橋市立医療センターのあり方に関する検討委員会」が昨年9月にまとめた最終報告書において、市からの繰入金が減るようなことがあっても経営を続けていけるような体質にすべきだとして、人事や給与、予算の権限を有する専任の病院事業管理者を置くことができる地方公営企業法の全部適用を緊急的な対応として早急に検討を開始すべきと提言しています。

◇議会での議論◇市民の健康を守る医療センター、安定経営のために必要なことは?
Q.公営企業法全部適用を目指すべきとされた本市だが、全国的にみて全部適用を採用しても経営状況が改善しない病院が多いということについて、どのように分析し、病院事業活性化という目標達成のためにはどのような取り組みが不可欠と考えているか。

A.全部適用を成功させるカギは病院のトップと各職種からなるスタッフが一丸となって、目標設定から実現へのプロセスまで、病院を変えていくのは自分たちであるという意識をもって取り組むこと、また、全員が経営意識を共有し、チームとして患者の満足度の高い医療の実現に努力できるかどうかにある。また、市長をはじめ設置者側は、そうした病院の努力が可能となるような十分な裁量を認めるとともに、病院経営に無関心となることなく、積極的に支援する体制をとる必要があると考えている。

(2)下水道事業について
◇議会での議論◇検査の必要のない工事の検査のために職員を置くのは非効率。民間に委託すべきではないか?

Q.下水道に接続する排水設備工事について工事内容に関する基準を定めているが、実際は全体の約7割を占める既存建物の工事はほぼ100%、既存の設備を使う確認書添付の工事、すなわち不具合が生じた場合は施主が責任を持つという前提で基準に合致していなくても検査済証が交付されている。7割が基準に適合しているか否かの検査をする必要のない工事が行われている本市の実態を考えた場合、検査業務に職員を割くのは非効率であり、業務委託など効率化を検討すべきではないか。

A.既存設備を活用する場合は、どのような状況にあるか施主に十分説明するよう指導している。既存設備を利用した接続工事でも完了検査は、範囲は少ないとはいえ法令に適合するものでなければならないことから、知識、経験を有する技術系再任用職員を登用し検査体制の充実を図っている。また、検査現場における指導を強化するほか、指定工事店や責任技術者を対象とした研修会を開催するなど良質な工事執行を図るためため改善を図ってゆきたい。委託化については今後、職員の配置や検査業務の状況をみて検討する。

市議会(6月議会)は6月3日から23日までの会期で開かれました。
6月議会の一般質問では(1)医師不足や医療費抑制の影響で自治体病院の経営が急速に悪化しているなか、市立医療センターの経営について、市民の健康を守る拠点として将来にわたって公営を維持する必要があるとの立場から経営改善の方向について質すとともに、(2)全国的に見ても大きく整備が遅れている本市の下水道事業について実態を踏まえた業務効率化のための提案を行いました。

■病院事業について■
つのだ:公営企業法全部適用を目指すべきとされた本市だが、全国的にみて全部適用を採用しても経営状況が改善しない病院が多いということについて、どのように分析し、病院事業活性化という目標達成のためにはどのような取り組みが不可欠と考えているか。

答弁:全部適用を成功させるカギは病院のトップと各職種からなるスタッフが一丸となって、目標設定から実現へのプロセスまで、病院を変えていくのは自分たちであるという意識をもって取り組むこと、また、全員が経営意識を共有し、チームとして患者の満足度の高い医療の実現に努力できるかどうかにある。
また、市長をはじめ設置者側は、そうした病院の努力が可能となるような十分な裁量を認めるとともに、病院経営に無関心となることなく、積極的に支援する体制をとる必要があると考えている。

つのだ:平成18年の診療報酬改定で手厚い看護を提供する病院により多くの報酬を支払うということで患者7人に対して看護師1人の「7対1の入院基本料」が新たに創設された。地方の自治体病院での看護師不足の一因ともなったといわれてているが、医療センターの場合、現状は上から2番目の「10対1」の入院基本料が適用されている医療センターで「7対1」対応とした場合の収支の試算を示していただきたい。

答弁:病床稼働率90%とした場合、入院収益は年間3億2110万円の増加が見込まれる。一方、費用は看護職員一人当たりの平均年収600万円で計算すると2億9400万円となり2710万円のプラスとなるが、この計算はあくまでも試算の域を出ない。

■下水道事業について■
つのだ:下水道に接続する排水設備工事について工事内容に関する基準を定めているが、実際は全体の約7割を占める既存建物の工事はほぼ100%、既存の設備を使う確認書添付の工事、すなわち不具合が生じた場合は施主が責任を持つという前提で基準に合致していなくても検査済証が交付されている。7割が基準に適合しているか否かの検査をする必要のない工事が行われている本市の実態を考えた場合、検査業務に職員を割くのは非効率であり、業務委託など効率化を検討すべきではないか。

答弁:既存設備を活用する場合は、どのような状況にあるか施主に十分説明するよう指導している。既存設備を利用した接続工事でも完了検査は、範囲は少ないとはいえ法令に適合するものでなければならないことから、知識、経験を有する技術系再任用職員を登用し検査体制の充実を図っている。また、検査現場における指導を強化するほか、指定工事店や責任技術者を対象とした研修会を開催するなど良質な工事執行を図るためため改善を図ってゆきたい。委託化については今後、職員の配置や検査業務の状況をみて検討する。

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「高校に上がっても共に学びたい」
障害のあるなしに係らず子どもが成長するなかで地域・社会で暮らす、生きる力を身につけるために教育はどのような支援ができるのか、あるいはすべきなのか。国内でもこうした問題意識に立った試みが様々行なわれているが、いまだ「こうすべきだ」という支援策は確立されていない。その結果「同じ日本なのになぜこんなに違うの?」というくらい障害児の教育環境は地域によって大きく異なる現状がある。この点に関して大阪府は高校においても共に学ぶ環境づくりに積極的に取り組んでいる。平成18年度から知的障害児が通うようになった東大阪市の府立枚岡樟風高校を訪ねた。

平成18年度より共生推進モデル校として「たまがわ高等支援学校ものづくり科」の共生推進教室が枚岡樟風高等学校に設置されました。知的障害の生徒が入学し、社会的自立を目指して枚岡樟風高等学校の生徒と共に生 活し共に学んでいます。
◆教育の基本方針
地域社会で自立して生きる力の育成を図り、働く為の知識や技術を育み、社会人としての生活習慣や働く意欲を培う。
◆入学資格
1) 療育手帳を所持しているもの、または児童相談所等の公的機関で知的障害と判定を受けた者。
2) 在籍する中学校等の校長の推薦を受けた者。
3) 自主的な通学が可能で、就労を通じた社会的自立を目指しているもの。
以上は、同校のホームページからの引用。
大阪府の場合、障害児が一般の高校で共に学べるようにする手法として高校側に自立支援コーズなど独自の課程を設けるやりかたと、新しい試みとして養護学校(特別支援学校)の分室を高校に設けるやり方の二通りがある。2つの手法の違いは高校側に自立支援コースを設けた場合、加配する教員の人件費等は府の持ち出しとなってしまうこと、一方、養護学校の分室とした場合は養護学校のいわば手厚い基準で教員が配置されることから、府の持ち出しは少なくて済むこと。ただしこの場合は卒業証書は養護学校の卒業証書となること。こうした違いはあるものの、実際の教育内容に大きな違いはない。
枚岡樟風高校は後者のケース、即ち府立たまがわ高等支援学校の分室(共生推進教室)の位置づけだ.
平成11年に府がまとめた教育改革プログラムで高校に分室を置き、交流を促進する方針を打ち出していたが、この方針を具体的なカタチにした新しい取組みだ。
共生推進教室の定員は各学年2名。訪れた時点(昨年10月)で、1、2年生合わせて4名が在籍していた。
同校のコーディネーター・栗山教諭は3年前まで府内の工業高校で教鞭を執っていたが、障害児j教育はまったく未経験。障害児教育のコーディネーターを務めるうえで、試行錯誤もあったという。保護者と様々話し合うなかで「涙もろくなった」と笑う栗山教諭。障害児は一般的に環境の変化に弱い、朝の1、2時間は大切に扱わなければいけないなど、接する上で注意すべき点も多いというが、「経験の全くなかった私でもできるのだから、このような取組みはどこの高校でもやろうと思えばできます」と力を込めて語る。
共生推進教室を運営するうえで必要なこととして、「小・中・高校とそれぞれの現場が連携して引き継ぎがしっかりできること」「困った!というときに相談できるところがしっかり確保されていること。ウチの場合は大阪教育大学ですが、アドバイスしてもらえるところが確保されていれば大丈夫です」。
「教師のなかでも特にあるていどベテランの域に達した高校の教師が特別支援教育について理解できていないのではないのでしょうか」確かにその通りだと思う。高校での障害児受け入れが進まない最大の要因は現場の意識の問題なのだろう。それ以外の大きな壁は現場を視察した限りでは見受けられなかった。
訪問した日に視察した授業は生物の時間。男子、女子生徒に混じって彼はいた。教師の講義を聴きながらプリントを仕上げてゆく。彼の隣に張り付いて授業中ずっと、一生懸命プリントづくりを手伝う男子生徒の姿。
休み時間、校長先生と校舎内を歩いていると向こうから件の男子生徒が歩いてくる。校長先生の「○◎君をいじめてないか?」の問いかけに、彼はいたずらっぽく「いじめてるよ!」と笑いながら去っていった。こんな光景はそこいらじゅうにあってよい。

◆府立枚岡樟風高校分室の親校である府立たまがわ高等支援学校も『生きる力・仕事の知識と技術・働く意欲と生活習慣』を掲げ、最新の設備を整えて知的障害児の就労に先進的に取り組んでいる学校です。施設の概要を写真で紹介します。

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