つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党
つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党

【今号の内容】

(1)新年度予算に反映された主張
新年度の船橋市予算は、厳しい財政状況を反映して対前年度マイナスの緊縮予算となっていますが、そのなかでこれまで議会で提案してきたことがいくつか盛り込まれました。概要をご報告します。

■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織『療育支援課』が発足〜

(2)市立リハビリ病院がオープン
脳卒中などで治療を受けた後に集中的にリハビリを提供する『市立リハビリテーション病院』が4月21日に開院します。いつまでも元気で暮らせる船橋を目指し地域と連携したリハビリ体制の充実に今後も取り組んでゆきます。

(1)新年度予算に反映された主張

■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
妊婦健診は出産までに12〜14回程度受ける必要があるといわれますが、母子手帳についてくる無料受診券は2回分のみ。残りは自己負担となるため、経済的な負担感は大きなものがあります。また、産婦人科の”たらい回し”の問題ではかかりつけ病院がない、即ち病院で妊婦健診を受けていない場合に起こるケースが大半ということも踏まえ子育て支援の一環として無料化の拡大を議会で訴えてきました。この結果、4月から無料の妊婦健診が2回から5回に拡大されました。

■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
下水道が整備された地域では、条例で3年以内に下水道に接続する工事を実施することが義務づけられています。工事の経済的負担を少なくするため市議会で様々な負担軽減策を主張し、実現してきました。下水道への接続にかかる工事費は敷地内の配管の状況によっても金額に大きな開きがあり、現行の無利子貸付制度の限度額でも収まらないケースもかなりあります。市内の工事費の実態を踏まえ、限度額の更なる引き上げを早急に実施するよう議会で主張。この結果、浄化槽から下水道に切り替える場合で30万円から35万円に、汲み取り便所の場合で45万円から50万円へと引き上げられます。

■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
感覚統合療法は、もともとは半世紀ほど前にアメリカにおいて問題となり始めていた学習障害児へのリハビリテーションを目的に開発された技法で、日本においては1976年に初めて行なわれ、その後の実践の積み重ねのなかで子どもだけでなく「認知症」「統合失調症」の治療への応用も試みられるようになっています。「注意が持続しない」「感情をコントロールできない」「常に動き回る」「読み書き算数ができない」「縄跳びなどの運動ができない」等々、行動や認知、情緒、運動企画などの障害の原因として、触覚、視覚、聴覚などの感覚を脳の中で処理する過程に何らかの障害があることが強く疑われる場合に、その子どもの症状に応じて様々な器具を用いたりしながら適度な感覚刺激を与えることによって脳の働きを促すことで、症状・状態の改善が認められるケースが多く報告されています。

近年発達につまずきのある子どもの実態が徐々に明らかになるにつれ、こうした子どもを育てる市内の保護者からも感覚統合療法の実施を求める声が高まっていることを受けて昨年3月議会で早期の実施を強く要望。JR西船橋駅近くの『こども発達相談センター』で感覚統合療法がスタートすることになりました。

■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織『療育支援課』が発足〜
障害児の療育について、本市においても複数の機関・施設でサービスが提供されていますが、指導・支援の計画づくりが個々の施設ごとに行なわれているため、また、縦割り行政の弊害もあって、一人一人の発達段階に応じた適切かつ一貫した支援が提供されていないという状況がありました。

ひとりひとりに最適な支援計画の作成とそれに基づく一貫した支援の実施が行なわれるよう、医師、理学・作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などで構成する専門家チームを置き、支援の充実を早急に図るべと議会で主張。これを受けて一貫した支援を行なうための組織として『療育支援課』がら発足することになりました。

(2)市立リハビリ病院がオープン〜早期回復・復帰を一貫して支援〜

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リハビリ病院は脳卒中や骨折などで入院、治療を受けた(急性期)直後の『回復期』のリハビリを担う病院です。

回復期リハ病棟は人口10万人当たり50床以上必要といわれていますが、千葉県は東京都ともに全国最低の18床に止まっています。国内最大級の200床を有するリハビリ病院の開院により船橋はほぼ50床を確保するとともに、医療センターの真向かいという立地条件を活かし急性期からの切れめない、一貫したリハビリの提供が期待されます。

ただ、リハビリ病院に期待される役割はそれだけに止まりません。退院後、地域に戻ってからも地元の医師や介護事業者と連携して切れ目ないリハビリの提供が寝たきり防止、早期の社会復帰のためにの極めて重要です。こうしたことから今年の3月議会でもリハビリ病院を核としたケアマネージャー等との連携体制の構築を強く訴えました。

本日(11日)、本会議の質疑に立ちました。

今回は(1)精神障害者への支援(2)発達障害児の支援〜新年度から実施の感覚統合療法と今年度から実施のペアレントトレーニング〜(3)新年度から発足する新組織・療育支援課—などについて質問しました。以下、質疑の概略をご報告します。

■精神障害者への支援■
つのだ:平成19年3月末の精神通院医療の申請実数は4,750人、これが今年度は約6,000人に達する見込で、本市においても精神保健福祉の充実の必要性は高まっている。心の病に苦しむ方は、家から一歩外へ踏み出すにも大変な困難を伴うことが多いほか、サービス利用も治療との並行となることなどからコンスタントに通うことが難しい。そうした方への支援のあり方としては、例えば作業所なども小規模で良いから、できるだけ通いやすいところに開設されていることが望ましいが、本市の現状を眺めた場合、そうした基盤がまだまだ貧弱であり、作業所等を開設しやすい環境を整えてゆく必要があると考る。小規模作業所への補助制度は年間の利用者人数に応じて運営費や家賃の補助などが行なわれる仕組みになっているが、精神障害者への支援を充実するためにも要件の見直しを行なうことによって少なくともサービス提供基盤を整備しやすい環境を整える必要があると考えるがどうか。

答弁:本市では精神障害者共同作業所に対して運営に係る補助と家賃補助をいずれも年間通所延べ人数などに応じて三つの階層に区分して補助している。今後、市民のニーズや近隣市の動向を見守ってゆきたい。

つのだ:近隣市の動向を見守るとういうなら、隣の市は通所人数による区分は設けず一律に補助を行なっており、金額も船橋を上回っている。地域に作業所を作りやすい環境を整えるため早急に改善して欲しい。また、精神障害者福祉について現在の船橋市の体制は所管が複雑に分かれており大変分かりづらい。同じ精神障害者への支援に対する所管が複雑に分かれているということは、施策全体に対する責任が不明確、あいまいになってしまい、当事者の要望が行政に反映されにくくなる。結果として障害者本人が谷間に置かれる危険性が高いということを指摘した上で、現在実施している事業についてあくまでも利用者の視点から検討を加え、整理すべきものは整理することを求める。

■発達障害児の支援〜感覚統合療法とペアレントトレーニング〜
つのだ:昨年の3月議会で、軽度発達障害など発達に何らかのつまずきのある子どもの実態が近年徐々に明らかになりつつあり、それに伴ってこうした子ども達への早期からの支援の必要性が指摘されていることを踏まえ、発達障害児への治療アプローチのひとつである感覚統合療法について、本市の場合は子ども発達相談センターに必要となる器具をはじめ実施に必要な環境がほぼ整っており、感覚統合療法に精通した作業療法士さえ確保できればすぐにでも行なうことができる状況にあることから、施設の有効活用の観点からも実施を提案させていただいた。実現に尽力した関係者の方々に感謝する。その上で初年度は対象者、人数、対象年齢についてはどのように考えているのか。また、参加者の募集方法、周知についてはどのように行なうのか伺う。

答弁:学習障害や自閉症などの発達障害に有効とされていることから、これらの障害を持つ子どもを対象に考えている。対象年齢、人数については就学前の幼児を対象に指導者と1対1の関係で行ない、1日に3〜4人程度、年間で延べ30人程度を見込んでいる。募集方法、周知については、まず募集に当っては感覚統合療法が有効な子どもの見極めをどのように行なってゆくのか検討する必要がある。また、療法を実施するなかで子どものウイークポイントも見えてくることから、保護者に対しても非常にデリケートなメンタルサポートが必要になることから、初年度についてはメンタル面のサポートが比較的容易な「こども発達相談センター」の相談業務を利用している保護者の中から募るほか、学習障害児や自閉症児の保護者の団体等に呼びかける方法も検討している。

つのだ:今年度にやはり子ども発達相談センターを会場に実施されたペアレントトレーニングについて。ペアレントトレーニングは、ADHDなど発達につまずきのある子どもを育てる親に焦点を当てたプログラムで、子どもの特質を理解したうえで、ではどのように接すればよいのかを考え、より良好な親子関係を築くための技法として考案されたものだが、本市において実施したペアレントトレーニングについて、今年度の事業についてどのように評価しているのか、また、来年度以降の計画について伺いたい。

答弁:昨年9月から11月までの期間で実施した。参加した保護者は15名で、5名づつ3班に分かれ、講義と実践指導などのカリキュラムで実施した。最終日に実施したアンケートでは概ね良好な評価を得たと考えている。「大変に参考になった」「同じような悩みを抱えている人と話ができたことが良かった」「子どもの困難な行動が理解できた」「参加者の表情が回を重ねるごとに明るくなった」といった意見が寄せられた。保護者と子どもの生活を改善するという本来の目的が達せられたと考えている。来年度も発達障害児の重要な支援施策として、引続き実施してゆきたい。

つのだ:日本において早い段階からより効果的なプログラム開発に取り組み続けている猪飼ユリアさんは、「プログラムを作成するうえでいちばん難しいと感じたのは、日本の家庭でどのようにトレーニングを行なってゆくかでした。日本とアメリカでは育児の習慣も社会環境も違うところが多いので、アメリカで生まれたペアレントトレーニングのプログラムを日本に定着させるには、日本の家庭向けに変えてゆくことが絶対に必要でした。(中略)ペアレントトレーニングは、我が子によい注目を注ぐこと、すなわち『ほめる』ことから始まりますが、日本人は自分のこどもをほめることがあまり得意ではありません。英語では『Good!』で済むことでも、日本語だと難しい。実際、トレーニングをはじめたばかりの受講生の多くは『うちの子どもはほめるところなんか何ひとつありません』とうなだれ、10回ものセッションを続けていけるだろうかという不安にとらわれます。そんな受講生の気持が痛いほど分かり、ほめ方ひとつにとってもアメリカと日本の違いを感じながら、プログラムを作っていきました」と語っている。日本の家庭での子育てに適した手法の開発に向けてペアレントトレーニングはまだまだ試行錯誤の段階である。発達につまずきのある子ども育てる親にとってより有効な支援が講じられるよう、専門家の意見も聞きながら内容の充実を目指して欲しい。

誕生の現場から〜船橋中央病院周産期センター〜

船橋市内の病院(船橋中央病院)に周産期センターが開設されて5年目。それまでは妊娠6ヶ月未満の超早産など専門的なケアが求められる出産は松戸市、千葉市、東京都内の病院に搬送されていましたが、船橋市にNICU(新生児集中治療室)を備える周産期センターができてからは、千葉県の周産期死亡率も全国平均を下回るようになった。

ただ、子どもや母体の救命率の向上も医師や看護師などスタッフの献身的な努力によって支えられていることを現場に伺って痛感した。
24時間気の抜けないケア、他病院からの緊急搬送…。担当医や看護師の当直は月8日から10日に及び、「このままでセンターを維持できるのか」。現場からは不安の声も聞かれる。

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船橋中央病院の周産期センターの入院者数は平成15年の開設以来、5年間で約1000人にのぼり、このうちの7割が船橋市民とのこと。(上のグラフは体重別の生存状況。500gなら50%以上、800gを超えれば9割以上小さな命を救うことができる)
低体重児の出生は年々増加しており、同センターでも開設した15年度は196人だった入院数が昨年度は266人へとハイリスクの患者は確実に増えている。不妊治療の進歩に伴って双子など多胎妊娠が増えていることや妊娠中の過度なダイエット等いろいろ原因は考えられるとのことだが、28床のNICUは現在、満床の状態。
加えて誕生後、同センターと同じレベルのケアを施せる施設がないため、1年2年と入院が長期化している長期入院児が増えており、本来の目的である急性期の患者を受け入れられないという問題も顕在化しつつある。
長期入院児の問題は同センターに限ったことではなく、全国的に問題となっており、受け入れ可能な施設整備など早急な対策が求めらている。

新年度予算案を審議する3月議会が2月27日からスタートしました。厳しい財政状況を反映して対前年度マイナスの緊縮予算となっていますが、そのなかでこれまで議会で提案してきたことがいくつか盛り込まれました。概要をご報告します。
■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織・『療育支援課』が発足〜

■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
妊婦健診は通常、出産までに12〜14回程度受ける必要があるといわれますが、母子手帳についてくる無料受診券は2回分のみ。残りは自己負担となりますが保険がきかないため、経済的な負担感は大きなものがあります。また、産婦人科の”たらい回し”の問題ではかかりつけ病院がない、即ち病院で妊婦健診を受けていない場合に起こるケースが大半ということも踏まえ子育て支援の一環として無料化の拡大を議会で訴えてきました。この結果、新年度から無料の妊婦健診が2回から5回に拡大されます。

■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
下水道が整備された地域では、条例で3年以内に下水道に接続する工事を実施することが義務づけられています。工事の経済的負担を少なくするため市議会で様々な負担軽減策を主張し、実現してきました。
下水道への接続にかかる工事費は敷地内の配管の状況によっても金額に大きな開きがあり、現行の無利子貸付制度の限度額でも収まらないケースもかなりあります。市内の工事費の実態を踏まえ、限度額の更なる引き上げを早急に実施するよう議会で主張。この結果、新年度から浄化槽から下水道に切り替える場合で30万円から35万円に、汲み取り便所の場合で45万円から50万円へと引き上げられます。

■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
感覚統合療法は、もともとは半世紀ほど前にアメリカにおいて問題となり始めていた学習障害児へのリハビリテーションを目的に開発された技法で、日本においては1976年に初めて行なわれ、その後の実践の積み重ねのなかで子どもだけでなく「認知症」「統合失調症」の治療への応用も試みられるようになっています。

「注意が持続しない」「感情をコントロールできない」「常に動き回る」「読み書き算数ができない」「縄跳びなどの運動ができない」等々、行動や認知、情緒、運動企画などの障害の原因として、触覚、視覚、聴覚などの感覚を脳の中で処理する過程に何らかの障害があることが強く疑われる場合に、その子どもの症状に応じて様々な器具を用いたりしながら適度な感覚刺激を与えることによって脳の働きを促すことで、症状・状態の改善が認められるケースが多く報告されています。
近年発達につまずきのある子どもの実態が徐々に明らかになるにつれ、こうした子どもを育てる市内の保護者からも感覚統合療法の実施を求める声が高まっていることを受けて昨年3月議会で早期の実施を強く要望。新年度からJR西船橋駅近くの『こども発達相談センター』で感覚統合療法がスタートすることになりました。

■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織・『療育支援課』が発足〜
障害児の療育について、本市においても複数の機関・施設でサービスが提供されていますが、指導・支援の計画づくりが個々の施設ごとに行なわれているため、また、縦割り行政の弊害もあって、一人一人の発達段階に応じた適切かつ一貫した支援が提供されていないという状況がありました。
ひとりひとりに最適な支援計画の作成とそれに基づく一貫した支援の実施が行なわれるよう、医師、理学・作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などで構成する専門家チームを置き、支援の充実を早急に図るべと議会で主張。これを受けて一貫した支援を行なうための組織として『療育支援課』が新年度から発足することになりました。

「いつになれば大通りの整備が終わるの」「高齢者も安心して歩ける歩道を早く造って」等々、市民相談の大半は道路に関する要望です。ムダな道路どころか、必要な道路整備すら大きく立ち後れている、幹線道路が未整備のために生活道路に大量のクルマが流入し、住民の安全を脅かしている状況を早く改善しなければならない、道路整備は最重要の課題…。これが船橋の実情です。

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いま、道路特定財源を巡っての議論が加熱しています。
上のグラフは道路特定財源の暫定税率が廃止された場合の船橋市の影響額を試算したものです。船橋では平成18年度で21億円あった道路整備のための財源が11億円へと約10億円の減収となる計算になります。これは来年度以降、3・4・27号線を含め新規の道路整備は全て凍結、痛んだ道路の補修しかできないということを意味します。もちろん地元自治体としては「予算がないので道路整備はできません」では済まされませんから、福祉や教育など必要な予算を削って財源を捻出せざるを得ない、結果として市民生活にしわ寄せが生じることになります。
原油高騰に起因する市民負担の軽減策、中小企業対策、これらは暫定税率の維持か廃止かという二者択一の議論で正解が得られる問題ではないはずです。もっと冷静な議論が必要だと思っています。

福祉、環境、衛生、経済、教育、土木…。自治体が日常的に行なっている仕事(事業)は極めて多岐にわたり、船橋市の場合で、ざっと数え上げただけでも2,000以上に上ります。それら一つ一つの仕事が「最小の経費で最大の効果が得られるよう実施されているか」言い換えれば「税金の無駄遣いがないか」をチュックすることが議会の主要な仕事のひとつです。

「何らかの障害を負って、発達につまずきのある子どもに対する支援(療育)についていえば船橋市は非常にサービスが悪いですね」
(私)「そんなことはないと思います。療育に携わる専門職も他市と比べても遜色ない、むしろ手厚く配置されています」

「しかし、保護者の声を聞いていると”隣の市は良い。それにひきかえ船橋市はダメだ”とみんな言ってますよ」

以上の会話は船橋市民のほか、周辺市の市民も利用する産科病院に伺った際の担当医師とのやりとりです。
正直、私自身ショックを受けました。「一体、何がまずいのか」を調査しました。結果は連携のまずさでした。

12月議会(07年)〜発達支援の体制整備を

上の図は、船橋市における障害児及び発達障害児の療育サービスに至るまでにどのような経路をたどるかを関係部局からの聞き取りをもとにまとめたものです。

見づらくて恐縮ですが、療育関係の仕事(事業)に限っても、多くの事業が本市において実施されていることが見て取れると思います。

産科医から船橋よりはるかにサービスが良いと指摘された自治体にもお邪魔して話を伺いましたが、療育に携わる医師、療法士、保健師など専門職のマンパワー、投じている予算などどれをとっても船橋の方が充実していました。

「では、一体何がまずいのか」。聞き取り調査を行う中で明らかになったのは、「個々の事業には人も予算もしっかり付けられているが、事業間の連携がとられていないため、結果として保護者の不満が募っている。即ち税金が有効に使われていない」ということでした。

例えば、知的障害児のための療育施設『さざんか学園』では、子どもの状態に応じてどのよう目標を立て、指導してゆくか保護者と話し合って計画を作り、それに基づき指導しています。療育が効果を上げ、排泄など身の回りのことがある程度できるようになり、次にステップとして、幼稚園や保育園に入園することが適当と判断されても現実には受け入れてもらえません。

理由は先にも触れましたが、縦割り行政のなかで連携が全く取れていないからです。療育の現場では「わずか数人の集団でいつまでも過ごしていては社会性に偏りが生じる。小学校に上がる前のわずかの時間でも健常児集団のなかに入ることが本人の発達のためにも必要」と判断しても受け入れ側の、特に保育の現場では「障害児枠が一杯のためダメ」と断られる。こうした弊害は何もさざんか学園に限らず、学校に上がる際の教育委員会との連携の悪さなど、船橋の場合あらゆるところで見受けられます。

個々の仕事(事業)を取り上げてみた場合、人もお金も他市と比べて遜色ない、あるいはそれ以上だといくら担当者が胸を張っても、一人の子どもの乳幼児期から発達段階に応じた支援という面から見た場合、人もお金も有効に使われていない。個々の事業のチェックもさることながら、それらがトータルとして住民福祉の向上に役立っているのか否か、そうした視点で点検する必要性を痛感させられた事件でした。

つのだ:障害児の療育について、本市においても複数の機関・施設でサービスが提供されているが、指導・支援の計画づくりが個々の施設ごとに行なわれているため、一人一人の発達段階に応じた適切かつ一貫した支援が提供されていない。ひとりひとりに最適な支援計画の作成とそれに基づく一貫した支援が行なわれるよう医師、理学・作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などで構成する専門家チームを置き、機能の充実を早急に図るべきだ。

答弁:障害を早期に発見し、早期療育を実施してゆくことは、その後のライフステージにおいて適切な支援を行ない将来の生活の質を向上させるために大変重要。各施設の専門職員を有機的に結びつけ、一人ひとりに効果的な支援を行なうため、現在、各専門職の配置のあり方や一元的な支援など、各施設の資源や施策を効果的に実施するための検討を重ねている。

知的障害児が学ぶ市立特別支援学校(旧市立養護学校=市内金堀町)のこの10年間の児童生徒数を見ると、10年前は小学部、中学部、高等部合わせて100人未満だった在校生が昨年は189人と約2倍に増加しています。昨秋、学校を見学させていただきましたが、教室に入り切らず廊下まで机がはみ出している状況で、早急な環境改善が必要と痛感しました。

特別支援学校のなかでも高等部はこの10年で2.5倍に急増しています。在校生の半分は就職希望とのことですが、例えば平成18年度の卒業生31名中就職できた者は8名にとどまっています。この理由には、ひとつには、採用する側の企業に障害者雇用に対する理解が不足していることが挙げられます。毎年職業安定所が管内の企業に知的障害者の採用に対する意向調査を実施した結果が特別支援学校に送られてきますが、採用の意向を示す企業はわずか数社にとどまっています。いまひとつには、採用時期の問題があります。積極的な採用意向を持つ企業でも、年度の途中から働いて欲しい、例えば10月から来て欲しいといった形で求人をかける。「学校である以上中途で退学させて就職させることはできない」(市立特別支援学校)ため結局、就労支援の事業所等からの採用となってしまうため、卒業生の就職先確保をさらに難しくしているという面もあります。

特別支援学校の生徒の職場開拓は専ら現場の教師に委ねられているのが現状です。新聞に折り込まれてくる求人広告などを頼りに、夏休み期間中400社から500社を訪問して何とか職場実習を受け入れてもらえないかとお願いに歩く苦労を現場で伺いました。。在校児童生徒が増加し続ける中で、現場だけの努力では限界があります。
障害者の雇用については法律で市役所の場合2.1%の雇用が義務づけられていますが、法定雇用率算定に知的障害者も対象に加わって以降も本市における雇用実績はありません。このため、今後の採用へ向けた取り組みの第一歩として、実習の受入れを早急に実施するよう求めました。