つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党
つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党

昨日(7日)の本会議で質問に立ちました。
今議会では(1)発達障害児等への(福祉と教育の分野での)支援について(2)障害児(者)福祉について(3)救急と関係機関との連携について、質問しました。(1)の発達障害時等への支援ではADHDや学習障害(LD)などを含め、発達に何らかの障害のある子どもへの早期からの支援体制を充実させるべきとの観点から、子ども発達相談センターでの「感覚統合療法」の実施を求めたほか、教育については軽度発達障害児に対する通級指導教室の整備促進や在籍する学級への「特別支援教育支援員」の配置など支援体制の充実を主張しました。

(1)発達障害児等への支援について
○子ども発達相談センターでの「感覚統合療法」実施について
質問:自閉症、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)など長く福祉制度の谷間に置かれていた発達障害者への早期支援などを目的とした発達障害者支援法が平成17年度に施行され、全国的に乳幼児期から学校まで一貫した支援体制構築への取り組みが行なわれようとしているが、専門家など人的資源の不足や関係機関の連携体制などまだまだ十分といえない状況にある。
発達障害者支援法に定義された発達障害児も含めて発達に何らかのつまずきがある子どもへの支援を本市においてもさらに進める必要があるとの思いから何点か質問したい。
発達につまずきのある子どもに対する治療アプローチのひとつに感覚統合療法がある。もともとは半世紀ほど前にアメリカにおいて問題となり始めていた学習障害児へのリハビリテーションを目的に開発された技法で、日本においては1976年に初めて行なわれ、その後の実践の積み重ねのなかで子どもだけでなく「認知症」「統合失調症」の治療への応用も試みられるようになっている。
感覚統合療法は「注意が持続しない」「感情をコントロールできない」「常に動き回る」「読み書き算数ができない」「縄跳びなどの運動ができない」など、行動や認知、情緒、運動企画などの障害の原因として、触覚、視覚、聴覚などの感覚を脳の中で処理する過程に何らかの障害があることが強く疑われる場合に、その子どもの症状に応じて様々な器具を用いたりしながら適度な感覚刺激を与えることによって脳の働きを促し、感覚処理の障害を緩和して適切な行動に導いてゆこうとするリハビリ手法で、感覚統合の発達に問題がある場合にはいくつかの症状・状態の改善が認められるケースがある一方で、当然のことながら限界もあるが、近年発達につまずきのある子どもの実態が徐々に明らかになるにつれ、こうした子どもを育てる市内の保護者からも感覚統合療法の実施を求める声が高まっている。
感覚統合療法を実施するに当たっては、第1に感覚統合療法実施の適否を正しく判断できる熟練した専門の作業療法士と、それから様々な感覚刺激を提供するための各種の器具を備えた広い部屋が必要となるが、そのような設備の整った施設はほとんどない。ただ、こども発達相談センターには必要な設備がほぼ完璧に整っている。もともとこの施設は少なくとも設計段階においては感覚統合療法の実施を視野に入れていたのではないかと思うが、いかがか。
こども発達相談センターは現状、民間団体への施設の貸出しは認めていないため、感覚統合療法を実施するとすれば行政が主体となって行なうしかないが、開設から2年近くの間、有効性の検討もなされないまま、結果として設備も使われないまま今日に至っている。
感覚統合療法を実施しようとした場合、人材さえ確保できればやろうと思えば明日からでもできる、これほどまでに環境の整った施設は周辺を見回してもない。発達につまずきのある子どもへの支援を充実させるうえからも、有効性の検討を含め積極的な取り組みを求める。
答弁:担当者について現状と比べてかなりのスキルアップが必要である等、解決すべき問題があるが、今後、発達障害児に対する支援の一環としての療育のあり方について、自閉症、ADHD等の様々な発達障害に応じてどのような療育が有効か、感覚統合療法も含めて検討して参りたい。

○教育現場での支援の充実について
質問:昨年6月に学校教育法が改正され、小中学校等に在籍する教育上特別の支援を必要とする障害のある児童生徒に対して、障害による困難を克服するための教育、特別支援教育を行なうことが法律上明確に位置づけられ、この4月から施行されることになった。
特別支援教育への本市の対応については前回議会でも質問させていただいた。4月から何が変るのかという点については市立船橋養護学校が特別支援学校に名称を変更するとともに、知的障害だけではなく、肢体不自由など複数の障害にも対応できるかどうか検討する。特殊学級については特別支援学級となるが、名称以外に大きな変更点はなく、今後の対応については、国・県の動向を見ながら検討してゆくとのことで、4月以降もLDやAD/HDなどの児童生徒に対する指導・支援は在籍する通常の学級を基本としつつ、通級による指導を組み合わせながら行なわれることになるかと思う。
そこでまず、通級指導の現状について伺いたい。本市においてはLD、ADHD、高機能自閉症など通常の学級に在籍する児童に対する支援を行なうための通級指導教室を平成15年度から毎年のように開設し、個々のニーズに応じた適切な支援の提供を図ろうとしているが、通級による指導が適当とされる児童生徒は毎年増加の一途をたどっており、教室が一杯のため現在、待機せざるを得ない児童生徒も増えている。軽度発達障害の児童に対する支援を行なうための通級指導教室の整備が果たして充分ニーズに追いついているのかどうか、待機の状況も含めて現状について伺いたい。
また、在籍する学級においての指導・支援についてはどうか、通級指導との連携を図りながら行なわれていると思うが、具体的にどのような指導・支援を行なっているか。
改正学校教育法の施行に合わせ、国においても子ども一人ひとりのニーズに応じた教育を行なう観点から、当該児童・生徒に対して日常活動の介助と学習活動上のサポートを行なう「特別支援教育支援員」の計画的な配置を来年度から本格的に行うため、平成19年度は250億円程度の地方財政措置を講じ、平成20年度までの2カ年で概ね全ての小中学校に配置することを目指している。過去の議会においても主張してきたことだが、特別支援教育において、特に重要なのは個々のニーズに対応して適切な支援を行なうための人的体制の整備だ。本市においても教育現場への特別支援教育支援員の配置など人的体制の充実を積極的に図るべきと考えるがどうか。
答弁:通級指導教員、コーディネーター一人あたりの指導時間に限りがあり、今年度は通級指導を希望する児童生徒が待機せざるを得ない状況になっている。このような状況を解消するため平成19年度は通級指導教員の増員を県に要望している。通常の学級に在籍する軽度発達障害の児童生徒に対する指導・支援を実施する上での課題としは、通級指導教員の資質の向上と在籍校への支援があげられが、事例研究会等を通して通級指導教員の指導法の改善に努めるとともに、通級指導教員が学校を訪問して具体的支援を行なうなど課題解決に取り組んでいる。通常の学級に在籍する軽度発達障害の児童生徒のために、特別支援教育支援員を配置することについては今後研究してゆきたい。

2月26日から開かれている3月議会に提案された来年度(平成19年度)予算案において、私自身これまで取り組んできたことがいくつかカタチになりました。主なものを記すと・・・

1)高齢者を対象とした家族介護用品(おむつ)支給事業の要件緩和
2)保証人がいないため民間住宅に入居できない高齢者や障害者等に対して家賃保証などの支援を行う「民間賃貸住宅入居支援事業」の創設
3)障害児通園施設利用者に対する負担軽減(障害児通園施設を利用する児童の兄弟が、障害児通園施設、保育園又は幼稚園に通園した場合に利用者負担額の半額又は全額を助成)=まだ不十分だと思っています。
4)特別支援学級の開設(行田西小学校)
5)動物愛護センターの開設

内容の詳細については今後順次報告させて頂きます。

12月市議会は11月27日に開会しました。今日(4日)は私の一般質問の日でした。
今回は(1)来年4月からスタートする特別支援教育への本市の取り組みについて(2)障害者自立支援法の実施に伴う障害(児)者へのサービスについて(3)市民に親しまれる市役所づくりの一方策として「市役所コンシェルジュ」の配置ーについて質問と提案を行ないました。以下にその概要を報告します。

(1)特別支援教育への取り組みについて
◆つのだ 来年4月からスタートする特別支援教育について、これまでの盲・聾・養護学校が特別支援学校へと名称が変り、複数障害への対応や地域の小中学校への支援のセンター的役割りを担うようになるほか、特殊学級も特別支援教室となり、その性格も変るといわれているが、具体的にどのように変るのかがいまだ明確ではないため、不安を抱いている保護者も多い。そこで本市においては具体的にどのように変るのか伺いたい。また、特別支援教育においては障害のある児童生徒との交流等も課題とされているが本市の取り組みを伺う。
◆答弁 市立船橋養護学校については、特別支援学校に名称変更とともに、知的障害だけでなく肢体不自由など複数の障害にも対応できるか検討している。また、特殊学級は特別支援学級となるが、現在のところ名称変更以外に大きな変更点はない。障害のある児童生徒との交流、共同学習については特殊学級設置校においては授業や行事の参加を通じて日常的に交流に取り組んでいるが、今後は共同学習も視野に入れて取り組みたい。
◆つのだ 普通学級に在籍するLD、ADHD 、高機能自閉症などのある児童生徒への適切な支援を行なうため、本市においては平成15年度に船橋小学校に情緒通級指導教室を開設したのを皮切りに、三咲小学校、行田西小学校、船橋小学校へと通級指導教室を拡大していることは評価するものだが、通級指導の希望者の増加もあって、十分な指導時間を確保できないのが現状のようである。先日も通級指導教室の現場を視察させていただいたが、通級教室での指導時間は一週間に一度1時間15分しか確保できない現状のなかでは支援計画の目標達成には在籍学校や保護者の理解と協力が不可欠であることを痛感した。特に懸念されるのは、障害を持つ児童生徒が在籍する学級、学校において、障害に対する理解と対応が不十分なために、児童生徒がいじめの対象となり、不適応を起こし、登校拒否に陥るケースが多いということ。障害を持つ児童生徒への適切な支援を行なうため、全ての教職員に対する研修については福祉・医療との連携も図りながらしっかり行なっていただきたい。また、特別支援教育の理念実現のためには、通常学級への介助員配置はどうしても避けて通れないことだと思う。教育委員会としても前向きな検討を求める。

(2)障害(児)者への支援について
◆つのだ 障害者自立支援法の新たなメニューである日中支援について、サービスを利用したくても事業所が一杯で利用できないという声を聞くが、実態をどのように把握しているのか。また、地域での受け皿づくりを進めるためには市が実施している「心身障害者一時介護料助成」制度の年間上限枠緩和など拡充も必要ではないか。障害(児)者への支援としてもう一点は、現在、認知症高齢者を対象に実施しているGPSを活用した位置情報サービスを知的障害者を介護する家族などでも希望すれば利用できるようにすべきではないか。
◆答弁 市内の日中一時支援事業者に問い合わせたところ、週末利用の際に希望者が集中して断ったことがあるところが3事業所あった。日中一時支援事業所は支援費のときより拡大が図られているが、その情報が利用者に十分伝わっていない面もあり、周知を図ってゆきたい。「一時介護料助成」についても日中一時支援事業の利用の推移とあわせて、いましばらく推移を見守りたい。GPSを活用した位置情報サービスにつては知的障害者等の方の必要性も理解できるので、保護者の意見を伺いながら研究してゆきたい。

(3)市役所コンシェルジュの配置について

◆つのだ 市役所を訪れる市民へのサービス向上策、特に高齢者や障害者など付き添いが必要な場合の対応を充実させるため、ホテルのコンシェルジュのように付き添いを基本に必要な手続きがスムーズに行なわれるよう手助けするサービスを考えるべきではないか。この際、経験豊富な再任用職員と全庁的な接遇意識向上の観点から特に若手職員とチームを組んで応対することを提案する。
◆答弁 コンシェルジュ業務への再任用職員及び若手職員の配置については、行政知識の習得や接遇意識の向上に効果があると考えられるので、再任用制度や研修制度全体の見直しにあわせて研究してゆきたい。

一つ屋根の齎すもの〜富山型デイサービスの現場で〜

「このゆびとーまれ」を訪問して、何とも自然な雰囲気であるとの印象は以前の記事でも触れた。そうした自然な空間を維持するためには人手がかかることも書いた。多くの人が運営に係るなかで、運営に携わる側の人々にも様々なドラマも生まれている。伺った際、西村副代表は「私たちの方が教わることが多い」としみじみとした口調でその一コマを語ってくれた。

『このゆびー』で働くスタッフは28人。そのほかに有償ボランティアが6人。有償ボランティアは全て養護学校の卒業生で、年間30〜40万円程度の報酬を支払っている。そのほかはみな「お昼だけ食べていってください」という以外は一切無償のボランティアだ。
無償ボランティアは主婦も多い。そのなかに家庭のなかがうまくいかず、心の病を患った人もいた。家にることが堪えられないという事情もあり、『このゆびー』のボランティアに応募した。週1回のボランティアだったが、利用者やスタッフとのふれあうなかで本人自身が癒され、いつの間にか病気も完治した。「私は死ぬことも考えていました。お陰で命拾いしました」。後に本人が漏らした言葉に西村さんは初めてハッとしたという。
ホームページ等でボランティアに常に門戸を開いている『このゆびー』。最近はニートの応募も目立つという。「最初はお母さんときます」。人との関わりになれていないため、最初は外で車洗いの仕事などをしてもらうというが、だんだん慣れて楽しみに通ってくる人も多いという。
”子どもから高齢者まで、障害のあるなしに関係なく一つ屋根の下で暮らせる”そんなある意味当たり前のケアサービスを提供したとの思いではじめた事業も、はじめのうちは「あそこは法律に違反したことをやっている」と陰口をたたかれた。創設メンバーの情熱で今日に至った『このゆびー』の運営はいまでも決して楽ではない。それでも多くのドラマを紡ぎだしている『このゆびー』。こうした取り組みを支援する施策を打つことはもちろん大切だ。ただ、少なくと『このゆびー』のような”場”は制度をいじるだけで創出できるものではないことも確かだ。

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「10月以降、支援費の額が10%以上さがってます。お陰で借入金の償還資金がすっ飛びました」「いまの単価設定は、新規に事業をやろうとする法人のための単価設定になっていない。生産活動を行なうための設備投資の資金までは支援費ではでないんです」「これから福祉工場など障害者の就労の場を増やしてゆくためには行政の考え方を変えていくことが不可欠」。大西専務理事の口からは厳しい言葉が続く。ただ、その一方で「うちで働く障害者は半数以上が重度ですが、それでも仕事はあるんです。できるんです」「働いて給料をもらって、税金を納める。それを可能にするかどうかは、本人と家族と、そして行政の意識の問題なんです」と語る言葉に力がこもる。

『C・ネットふくい』で障害者が携わっている仕事は、極めて多岐にわたっている。▽コシヒカリや野菜の生産・販売▽ベーカリーの製造・販売▽平たねなし柿による干し柿の製造▽餅菓子の製造・販売▽天然塩の製造・販売▽花卉の販売▽クリーニング▽コインランドリー▽リネンサプライーなどなど。販路のひとつとして自前のコンビニなども展開している。
就労・雇用促進に向けてどのような仕組みを考えるべきなのか、根底にある考え方は(1)職の提供は食の提供、障碍者の生活自立支援の根本(2)個々に合った職業の提供は、個別支援計画の一部(3)顧客の満足する「ローコスト・満足福祉」の追求は、福祉関係者・施設経営者の責務(4)良質な職員の育成が障碍者の就労・雇用支援に不可欠ー。理念もさることながら、これだけ多くの就労の現場を抱えているだけあって、個々の特性に応じていかに安定的な就労に結びついてゆくかについてのノウハウを蓄積していることが何よりの強みだということを訪問して感じた。
また、特に(4)の「良質な職員の育成が障碍者の就労・雇用促進に不可欠」という点に関して「C・ネットふくい」の取り組みは参考になる。障害者の就労を支援するためこの世界に飛び込んできた職員は、少なくともその当初は誰にも負けない情熱を抱いていたはずだ。そうした情熱の炎も、自分の意見が組織の中で取り上げられず、逆に組織の側の論理を押しつけられていては、やがては萎えてしまう。職員のやる気が萎えてしまえば、結果として障害者の就労・雇用を促進する方向への推進力も萎えてしまう。どのような組織であれその盛衰の鍵を握るのは所詮は人だ。
この点に関して、「C・ネットふくい」は全職員に対して、現在の率直な思い、法人の将来への希望・不安、事業に対する提案等について意向調査を行い、その結果を踏まえて間髪入れずに改善策を講じている。この取り組みは一般の民間企業でも学ぶべきことだと思う。
「福祉だから、障害者だから」という言い訳だけをいい募っているだけでは、これから先も障害者の雇用は進まない。促進するための施策も重要であることは勿論だが、いかに優秀な人材を集めるか、その人材を活かすのかがこれからの重要な視点になってくるのは間違いない。
◇          ◇           ◇
冒頭の写真は、職員の自家用車を洗車・ワックスがけしている光景。「一般企業に就労した障害者がリストラされて、何か仕事はないかと考えて見つけた仕事です」(大西専務理事)。ボディに食い込んだ鉄粉を粘土で丁寧に落とし、ワックスがけまでして料金は3,000円也。1日2台で少なくとも2人分の人件費はでる。「ここは工業団地の一角にありますから、その立地を生かして各工場にも営業をかけて、仕事が途切れることはありません」。真剣に探せば仕事はどこにでもあるということ。

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「なぜ雇用と非雇用を区別しなければならないのか。

国は、生活介護の制度を造っておきながら、なぜ非雇用の人たちを生活介護の支援としないのか。それは、施設経営者が障碍者を金儲けの材料と考えているからでしょう。私は、障碍者の尊厳を無視した、金儲けの輩には同意も協調もしません。

(中略)私の今年の活動は、障碍者を出汁(ダシ)にしての金儲けの亡者と打算家との戦いであることをお知らせしておきます」(C・ネット福祉会 松永正昭会長『C・ネットは「非雇用はしない」について』から引用)

障害者自立支援法において、・施設を出て就職した者の割合が少ない(1%)・授産施設の工賃が低い(平均月額15,000円)・離職した場合の再チャレンジの受け皿がなく、就職を躊躇する傾向があるー等これまでの反省を踏まえ、一般企業(特例子会社を含む)への就労に結びつける前段階として新たに就労継続支援事業が創設された。

就労継続支援事業はさらに雇用型(A型)と非雇用型(B型)という2つのタイプに分けられる。このうち雇用型は文字通り雇用契約に基づく就労であり、労働関係法令の適用を受ける一般的な形態、労働者としての権利が保障された就労形態だ。一方、非雇用型は就労移行支援事業を受けたが一般企業や雇用型の就労に結びつかなかった者の就労形態であり、雇用契約に基づかず、賃金(工賃)も最低で月額3,000円程度と極めて低い。
ここで押さえておかなければいけないことは、障害者が一般企業への就労、または雇用型の事業に就けるかどうかは、本人の能力の問題ではなく、本人が暮らす地域にそれだけの受け皿が整っているのかどうかにかかっているということだ。障害者雇用の促進を目指して福井県内に通所授産11施設、福祉工場8施設を展開する社会福祉法人「コミュニティーネットワークふくい」(愛称C・ネットふくい)。

そもそもの設立母体は「手をつなぐ親の会」で、平成3年に通所授産施設「クリエートプラザ金津」を開設したのを皮切りに翌年には福祉工場「エフエフ福井」を創業。その後も矢継ぎ早に県内各地に授産施設、福祉工場を展開している。ちなみに福祉工場は全国に60数施設あるがそのうちの10施設が福井県内に集中している。
「親の会の会員は県内各地にいる。授産施設・福祉工場を各地域に造ることは当初からの構想でした。

ただ、15年で20カ所と急速に増やしていることに対応した職員の養成などは大変です」と語るのは『C・ネットふくい』の大西澄男専務理事。
現在、通所授産施設で205名、福祉工場で197名。企業への就職者86名への支援を含めると県内知的障碍者の57%の就労をサポートしている計算になる。
これだけの就労を支えるためには、それに見合った仕事がなければならいないことになる。それも単発ではなく持続性のある仕事を常に探し求めなければならない。この点について、「C・ネットふくい」の取り組みは非常に学ぶべきものが多いといえる。(続く)

制度の壁を乗り越えた先に広がる地平〜富山型デイサービスの現場で〜

”子どもから高齢者まで、障害のあるなしに関係なく一つ屋根の下で暮らせる”そんな共生社会の実現を目指す試みとして、平成15年から構造改革特区事業として実施されていたいわゆる「富山型デイサービス」(制度的には高齢者を対象とする介護保険の通所介護事業所でも知的障害者、障害児のデイサービス利用を可能にすること)が10月から全国どこでも実施できるようになった。当然、私の住む船橋でもやる気になればできるようになった。

富山型デイサービスは、平成5年富山赤十字病院に勤務していた3人の看護師が退職金を出し合って開設した『デイケアハウスこのゆびとーまれ』から始まった。現在のNPO法人「デイサービスこのゆびとーまれ」理事長惣万佳代子さんらが、”お年寄りがお年寄りらしく生きられる居場所”をつくりたいという”当たり前の動機”から行動を起こし、縦割り行政の壁、制度の壁と闘いながら、徐々に共感の輪を広げ、富山型デイサービスとして全国的な評価を得るまでの経緯は『このゆびとーまれの公式ページ』に詳しい。
たった3人から始まった富山型デイサービスが、どこでも実施可能な新たなスタンダードとなった。富山型デイサービスはこれから全国に広がってゆくのか。『このゆびとーまれ』の西村副理事長は「制度化されたことが本当に喜ぶべきことなのかどうか」とも語る。

制度の壁を乗り越えた先に広がる地平〜富山型デイサービスの現場で〜

このサービスの草分けとなった「このゆびとーまれ」を訪問した私自身の感想は、何と言っても自然な雰囲気。開放的な室内の片隅に椅子に腰掛け本のページをめくるおじいちゃんがいて、その傍らでおしゃべりしながら手作業をする子どもとおばあちゃんがいて、いっしょになって談笑するボランティアの学生がいて・・・。みなそれぞれに認知症や知的障害などハンデを負っているのだが、お年寄りから子どもまで障害のあるなしにかかわらず一つ屋根の下にいる、そんな空間が何とも自然で、そこに身を置く私自身も落ち着ける、いつまでもここに腰を落ち着けていたい気分になる(但し、私たちの応対をする間も西村副理事長はじめスタッフの方々は周囲への目配りを常に怠っていませんでした。即ち自然な空間を維持するためには多くの人手を必要とするということです。)

さて、今後こうした自然なかたちのデイサービスが全国的に広まってゆくのだろうか。そもそも富山型デイサービス発祥の地である富山市では今後の展開についてどのように分析しているのか。(障害者のデイサービスについては訪問した時点でもまだ混乱があり、行政としても正確なデータを示すことはできませんでした。この点についてはご容赦ください)
「富山型デイサービスを標榜する事業所は市内で30以上ありますが、ほとんどは介護保険(高齢者)のみの利用で、障害者を受け入れている施設は極めて限られています」とは富山市障害福祉課の説明。
「制度化の善し悪しはこれからの流れの中で見極めていかなければなりません。私たちは目の前のニーズに合わせていたらこうなったといこと」とは『このゆびとーまれ』の西村副理事長の弁。
制度の壁を乗り越えたといっても、事業所の経営を左右する肝心の制度は依然として縦割りのままだ。高齢者については介護保険、障害者については自立支援法に基づく報酬、障害児についてはレスパイト事業に対する助成といった具合で、こうした事業を永続させるために責任を持つセクションが少なくとも国には存在しない。また、”高齢者から子どもまで、障害のあるなしにかかわらず一つ屋根の下で”という形態でのサービス提供をするかどうどかは、事業主体の考え方次第でもある。
「私たちもこのかたちが決してベストだとは思っていません。高齢者だけのほうがよいという方はそちらに行けばよいし、要は利用者の選択の問題です」
ただ、そうした選択肢が身近にたくさんあることの意義は大きい。「誰もが一つ屋根の下で」という理念を持つ事業所が育つ環境づくりをこれからはそれぞれの地域が考えてゆかなければならない。