つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党
つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党

市議会(6月議会)は6月3日から23日までの会期で開かれました。
6月議会の一般質問では(1)医師不足や医療費抑制の影響で自治体病院の経営が急速に悪化しているなか、市立医療センターの経営について、市民の健康を守る拠点として将来にわたって公営を維持する必要があるとの立場から経営改善の方向について質すとともに、(2)全国的に見ても大きく整備が遅れている本市の下水道事業について実態を踏まえた業務効率化のための提案を行いました。

■病院事業について■
つのだ:公営企業法全部適用を目指すべきとされた本市だが、全国的にみて全部適用を採用しても経営状況が改善しない病院が多いということについて、どのように分析し、病院事業活性化という目標達成のためにはどのような取り組みが不可欠と考えているか。

答弁:全部適用を成功させるカギは病院のトップと各職種からなるスタッフが一丸となって、目標設定から実現へのプロセスまで、病院を変えていくのは自分たちであるという意識をもって取り組むこと、また、全員が経営意識を共有し、チームとして患者の満足度の高い医療の実現に努力できるかどうかにある。
また、市長をはじめ設置者側は、そうした病院の努力が可能となるような十分な裁量を認めるとともに、病院経営に無関心となることなく、積極的に支援する体制をとる必要があると考えている。

つのだ:平成18年の診療報酬改定で手厚い看護を提供する病院により多くの報酬を支払うということで患者7人に対して看護師1人の「7対1の入院基本料」が新たに創設された。地方の自治体病院での看護師不足の一因ともなったといわれてているが、医療センターの場合、現状は上から2番目の「10対1」の入院基本料が適用されている医療センターで「7対1」対応とした場合の収支の試算を示していただきたい。

答弁:病床稼働率90%とした場合、入院収益は年間3億2110万円の増加が見込まれる。一方、費用は看護職員一人当たりの平均年収600万円で計算すると2億9400万円となり2710万円のプラスとなるが、この計算はあくまでも試算の域を出ない。

■下水道事業について■
つのだ:下水道に接続する排水設備工事について工事内容に関する基準を定めているが、実際は全体の約7割を占める既存建物の工事はほぼ100%、既存の設備を使う確認書添付の工事、すなわち不具合が生じた場合は施主が責任を持つという前提で基準に合致していなくても検査済証が交付されている。7割が基準に適合しているか否かの検査をする必要のない工事が行われている本市の実態を考えた場合、検査業務に職員を割くのは非効率であり、業務委託など効率化を検討すべきではないか。

答弁:既存設備を活用する場合は、どのような状況にあるか施主に十分説明するよう指導している。既存設備を利用した接続工事でも完了検査は、範囲は少ないとはいえ法令に適合するものでなければならないことから、知識、経験を有する技術系再任用職員を登用し検査体制の充実を図っている。また、検査現場における指導を強化するほか、指定工事店や責任技術者を対象とした研修会を開催するなど良質な工事執行を図るためため改善を図ってゆきたい。委託化については今後、職員の配置や検査業務の状況をみて検討する。

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「高校に上がっても共に学びたい」
障害のあるなしに係らず子どもが成長するなかで地域・社会で暮らす、生きる力を身につけるために教育はどのような支援ができるのか、あるいはすべきなのか。国内でもこうした問題意識に立った試みが様々行なわれているが、いまだ「こうすべきだ」という支援策は確立されていない。その結果「同じ日本なのになぜこんなに違うの?」というくらい障害児の教育環境は地域によって大きく異なる現状がある。この点に関して大阪府は高校においても共に学ぶ環境づくりに積極的に取り組んでいる。平成18年度から知的障害児が通うようになった東大阪市の府立枚岡樟風高校を訪ねた。

平成18年度より共生推進モデル校として「たまがわ高等支援学校ものづくり科」の共生推進教室が枚岡樟風高等学校に設置されました。知的障害の生徒が入学し、社会的自立を目指して枚岡樟風高等学校の生徒と共に生 活し共に学んでいます。
◆教育の基本方針
地域社会で自立して生きる力の育成を図り、働く為の知識や技術を育み、社会人としての生活習慣や働く意欲を培う。
◆入学資格
1) 療育手帳を所持しているもの、または児童相談所等の公的機関で知的障害と判定を受けた者。
2) 在籍する中学校等の校長の推薦を受けた者。
3) 自主的な通学が可能で、就労を通じた社会的自立を目指しているもの。
以上は、同校のホームページからの引用。
大阪府の場合、障害児が一般の高校で共に学べるようにする手法として高校側に自立支援コーズなど独自の課程を設けるやりかたと、新しい試みとして養護学校(特別支援学校)の分室を高校に設けるやり方の二通りがある。2つの手法の違いは高校側に自立支援コースを設けた場合、加配する教員の人件費等は府の持ち出しとなってしまうこと、一方、養護学校の分室とした場合は養護学校のいわば手厚い基準で教員が配置されることから、府の持ち出しは少なくて済むこと。ただしこの場合は卒業証書は養護学校の卒業証書となること。こうした違いはあるものの、実際の教育内容に大きな違いはない。
枚岡樟風高校は後者のケース、即ち府立たまがわ高等支援学校の分室(共生推進教室)の位置づけだ.
平成11年に府がまとめた教育改革プログラムで高校に分室を置き、交流を促進する方針を打ち出していたが、この方針を具体的なカタチにした新しい取組みだ。
共生推進教室の定員は各学年2名。訪れた時点(昨年10月)で、1、2年生合わせて4名が在籍していた。
同校のコーディネーター・栗山教諭は3年前まで府内の工業高校で教鞭を執っていたが、障害児j教育はまったく未経験。障害児教育のコーディネーターを務めるうえで、試行錯誤もあったという。保護者と様々話し合うなかで「涙もろくなった」と笑う栗山教諭。障害児は一般的に環境の変化に弱い、朝の1、2時間は大切に扱わなければいけないなど、接する上で注意すべき点も多いというが、「経験の全くなかった私でもできるのだから、このような取組みはどこの高校でもやろうと思えばできます」と力を込めて語る。
共生推進教室を運営するうえで必要なこととして、「小・中・高校とそれぞれの現場が連携して引き継ぎがしっかりできること」「困った!というときに相談できるところがしっかり確保されていること。ウチの場合は大阪教育大学ですが、アドバイスしてもらえるところが確保されていれば大丈夫です」。
「教師のなかでも特にあるていどベテランの域に達した高校の教師が特別支援教育について理解できていないのではないのでしょうか」確かにその通りだと思う。高校での障害児受け入れが進まない最大の要因は現場の意識の問題なのだろう。それ以外の大きな壁は現場を視察した限りでは見受けられなかった。
訪問した日に視察した授業は生物の時間。男子、女子生徒に混じって彼はいた。教師の講義を聴きながらプリントを仕上げてゆく。彼の隣に張り付いて授業中ずっと、一生懸命プリントづくりを手伝う男子生徒の姿。
休み時間、校長先生と校舎内を歩いていると向こうから件の男子生徒が歩いてくる。校長先生の「○◎君をいじめてないか?」の問いかけに、彼はいたずらっぽく「いじめてるよ!」と笑いながら去っていった。こんな光景はそこいらじゅうにあってよい。

◆府立枚岡樟風高校分室の親校である府立たまがわ高等支援学校も『生きる力・仕事の知識と技術・働く意欲と生活習慣』を掲げ、最新の設備を整えて知的障害児の就労に先進的に取り組んでいる学校です。施設の概要を写真で紹介します。

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【今号の内容】

(1)新年度予算に反映された主張
新年度の船橋市予算は、厳しい財政状況を反映して対前年度マイナスの緊縮予算となっていますが、そのなかでこれまで議会で提案してきたことがいくつか盛り込まれました。概要をご報告します。

■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織『療育支援課』が発足〜

(2)市立リハビリ病院がオープン
脳卒中などで治療を受けた後に集中的にリハビリを提供する『市立リハビリテーション病院』が4月21日に開院します。いつまでも元気で暮らせる船橋を目指し地域と連携したリハビリ体制の充実に今後も取り組んでゆきます。

(1)新年度予算に反映された主張

■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
妊婦健診は出産までに12〜14回程度受ける必要があるといわれますが、母子手帳についてくる無料受診券は2回分のみ。残りは自己負担となるため、経済的な負担感は大きなものがあります。また、産婦人科の”たらい回し”の問題ではかかりつけ病院がない、即ち病院で妊婦健診を受けていない場合に起こるケースが大半ということも踏まえ子育て支援の一環として無料化の拡大を議会で訴えてきました。この結果、4月から無料の妊婦健診が2回から5回に拡大されました。

■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
下水道が整備された地域では、条例で3年以内に下水道に接続する工事を実施することが義務づけられています。工事の経済的負担を少なくするため市議会で様々な負担軽減策を主張し、実現してきました。下水道への接続にかかる工事費は敷地内の配管の状況によっても金額に大きな開きがあり、現行の無利子貸付制度の限度額でも収まらないケースもかなりあります。市内の工事費の実態を踏まえ、限度額の更なる引き上げを早急に実施するよう議会で主張。この結果、浄化槽から下水道に切り替える場合で30万円から35万円に、汲み取り便所の場合で45万円から50万円へと引き上げられます。

■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
感覚統合療法は、もともとは半世紀ほど前にアメリカにおいて問題となり始めていた学習障害児へのリハビリテーションを目的に開発された技法で、日本においては1976年に初めて行なわれ、その後の実践の積み重ねのなかで子どもだけでなく「認知症」「統合失調症」の治療への応用も試みられるようになっています。「注意が持続しない」「感情をコントロールできない」「常に動き回る」「読み書き算数ができない」「縄跳びなどの運動ができない」等々、行動や認知、情緒、運動企画などの障害の原因として、触覚、視覚、聴覚などの感覚を脳の中で処理する過程に何らかの障害があることが強く疑われる場合に、その子どもの症状に応じて様々な器具を用いたりしながら適度な感覚刺激を与えることによって脳の働きを促すことで、症状・状態の改善が認められるケースが多く報告されています。

近年発達につまずきのある子どもの実態が徐々に明らかになるにつれ、こうした子どもを育てる市内の保護者からも感覚統合療法の実施を求める声が高まっていることを受けて昨年3月議会で早期の実施を強く要望。JR西船橋駅近くの『こども発達相談センター』で感覚統合療法がスタートすることになりました。

■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織『療育支援課』が発足〜
障害児の療育について、本市においても複数の機関・施設でサービスが提供されていますが、指導・支援の計画づくりが個々の施設ごとに行なわれているため、また、縦割り行政の弊害もあって、一人一人の発達段階に応じた適切かつ一貫した支援が提供されていないという状況がありました。

ひとりひとりに最適な支援計画の作成とそれに基づく一貫した支援の実施が行なわれるよう、医師、理学・作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などで構成する専門家チームを置き、支援の充実を早急に図るべと議会で主張。これを受けて一貫した支援を行なうための組織として『療育支援課』がら発足することになりました。

(2)市立リハビリ病院がオープン〜早期回復・復帰を一貫して支援〜

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リハビリ病院は脳卒中や骨折などで入院、治療を受けた(急性期)直後の『回復期』のリハビリを担う病院です。

回復期リハ病棟は人口10万人当たり50床以上必要といわれていますが、千葉県は東京都ともに全国最低の18床に止まっています。国内最大級の200床を有するリハビリ病院の開院により船橋はほぼ50床を確保するとともに、医療センターの真向かいという立地条件を活かし急性期からの切れめない、一貫したリハビリの提供が期待されます。

ただ、リハビリ病院に期待される役割はそれだけに止まりません。退院後、地域に戻ってからも地元の医師や介護事業者と連携して切れ目ないリハビリの提供が寝たきり防止、早期の社会復帰のためにの極めて重要です。こうしたことから今年の3月議会でもリハビリ病院を核としたケアマネージャー等との連携体制の構築を強く訴えました。

本日(11日)、本会議の質疑に立ちました。

今回は(1)精神障害者への支援(2)発達障害児の支援〜新年度から実施の感覚統合療法と今年度から実施のペアレントトレーニング〜(3)新年度から発足する新組織・療育支援課—などについて質問しました。以下、質疑の概略をご報告します。

■精神障害者への支援■
つのだ:平成19年3月末の精神通院医療の申請実数は4,750人、これが今年度は約6,000人に達する見込で、本市においても精神保健福祉の充実の必要性は高まっている。心の病に苦しむ方は、家から一歩外へ踏み出すにも大変な困難を伴うことが多いほか、サービス利用も治療との並行となることなどからコンスタントに通うことが難しい。そうした方への支援のあり方としては、例えば作業所なども小規模で良いから、できるだけ通いやすいところに開設されていることが望ましいが、本市の現状を眺めた場合、そうした基盤がまだまだ貧弱であり、作業所等を開設しやすい環境を整えてゆく必要があると考る。小規模作業所への補助制度は年間の利用者人数に応じて運営費や家賃の補助などが行なわれる仕組みになっているが、精神障害者への支援を充実するためにも要件の見直しを行なうことによって少なくともサービス提供基盤を整備しやすい環境を整える必要があると考えるがどうか。

答弁:本市では精神障害者共同作業所に対して運営に係る補助と家賃補助をいずれも年間通所延べ人数などに応じて三つの階層に区分して補助している。今後、市民のニーズや近隣市の動向を見守ってゆきたい。

つのだ:近隣市の動向を見守るとういうなら、隣の市は通所人数による区分は設けず一律に補助を行なっており、金額も船橋を上回っている。地域に作業所を作りやすい環境を整えるため早急に改善して欲しい。また、精神障害者福祉について現在の船橋市の体制は所管が複雑に分かれており大変分かりづらい。同じ精神障害者への支援に対する所管が複雑に分かれているということは、施策全体に対する責任が不明確、あいまいになってしまい、当事者の要望が行政に反映されにくくなる。結果として障害者本人が谷間に置かれる危険性が高いということを指摘した上で、現在実施している事業についてあくまでも利用者の視点から検討を加え、整理すべきものは整理することを求める。

■発達障害児の支援〜感覚統合療法とペアレントトレーニング〜
つのだ:昨年の3月議会で、軽度発達障害など発達に何らかのつまずきのある子どもの実態が近年徐々に明らかになりつつあり、それに伴ってこうした子ども達への早期からの支援の必要性が指摘されていることを踏まえ、発達障害児への治療アプローチのひとつである感覚統合療法について、本市の場合は子ども発達相談センターに必要となる器具をはじめ実施に必要な環境がほぼ整っており、感覚統合療法に精通した作業療法士さえ確保できればすぐにでも行なうことができる状況にあることから、施設の有効活用の観点からも実施を提案させていただいた。実現に尽力した関係者の方々に感謝する。その上で初年度は対象者、人数、対象年齢についてはどのように考えているのか。また、参加者の募集方法、周知についてはどのように行なうのか伺う。

答弁:学習障害や自閉症などの発達障害に有効とされていることから、これらの障害を持つ子どもを対象に考えている。対象年齢、人数については就学前の幼児を対象に指導者と1対1の関係で行ない、1日に3〜4人程度、年間で延べ30人程度を見込んでいる。募集方法、周知については、まず募集に当っては感覚統合療法が有効な子どもの見極めをどのように行なってゆくのか検討する必要がある。また、療法を実施するなかで子どものウイークポイントも見えてくることから、保護者に対しても非常にデリケートなメンタルサポートが必要になることから、初年度についてはメンタル面のサポートが比較的容易な「こども発達相談センター」の相談業務を利用している保護者の中から募るほか、学習障害児や自閉症児の保護者の団体等に呼びかける方法も検討している。

つのだ:今年度にやはり子ども発達相談センターを会場に実施されたペアレントトレーニングについて。ペアレントトレーニングは、ADHDなど発達につまずきのある子どもを育てる親に焦点を当てたプログラムで、子どもの特質を理解したうえで、ではどのように接すればよいのかを考え、より良好な親子関係を築くための技法として考案されたものだが、本市において実施したペアレントトレーニングについて、今年度の事業についてどのように評価しているのか、また、来年度以降の計画について伺いたい。

答弁:昨年9月から11月までの期間で実施した。参加した保護者は15名で、5名づつ3班に分かれ、講義と実践指導などのカリキュラムで実施した。最終日に実施したアンケートでは概ね良好な評価を得たと考えている。「大変に参考になった」「同じような悩みを抱えている人と話ができたことが良かった」「子どもの困難な行動が理解できた」「参加者の表情が回を重ねるごとに明るくなった」といった意見が寄せられた。保護者と子どもの生活を改善するという本来の目的が達せられたと考えている。来年度も発達障害児の重要な支援施策として、引続き実施してゆきたい。

つのだ:日本において早い段階からより効果的なプログラム開発に取り組み続けている猪飼ユリアさんは、「プログラムを作成するうえでいちばん難しいと感じたのは、日本の家庭でどのようにトレーニングを行なってゆくかでした。日本とアメリカでは育児の習慣も社会環境も違うところが多いので、アメリカで生まれたペアレントトレーニングのプログラムを日本に定着させるには、日本の家庭向けに変えてゆくことが絶対に必要でした。(中略)ペアレントトレーニングは、我が子によい注目を注ぐこと、すなわち『ほめる』ことから始まりますが、日本人は自分のこどもをほめることがあまり得意ではありません。英語では『Good!』で済むことでも、日本語だと難しい。実際、トレーニングをはじめたばかりの受講生の多くは『うちの子どもはほめるところなんか何ひとつありません』とうなだれ、10回ものセッションを続けていけるだろうかという不安にとらわれます。そんな受講生の気持が痛いほど分かり、ほめ方ひとつにとってもアメリカと日本の違いを感じながら、プログラムを作っていきました」と語っている。日本の家庭での子育てに適した手法の開発に向けてペアレントトレーニングはまだまだ試行錯誤の段階である。発達につまずきのある子ども育てる親にとってより有効な支援が講じられるよう、専門家の意見も聞きながら内容の充実を目指して欲しい。

誕生の現場から〜船橋中央病院周産期センター〜

船橋市内の病院(船橋中央病院)に周産期センターが開設されて5年目。それまでは妊娠6ヶ月未満の超早産など専門的なケアが求められる出産は松戸市、千葉市、東京都内の病院に搬送されていましたが、船橋市にNICU(新生児集中治療室)を備える周産期センターができてからは、千葉県の周産期死亡率も全国平均を下回るようになった。

ただ、子どもや母体の救命率の向上も医師や看護師などスタッフの献身的な努力によって支えられていることを現場に伺って痛感した。
24時間気の抜けないケア、他病院からの緊急搬送…。担当医や看護師の当直は月8日から10日に及び、「このままでセンターを維持できるのか」。現場からは不安の声も聞かれる。

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船橋中央病院の周産期センターの入院者数は平成15年の開設以来、5年間で約1000人にのぼり、このうちの7割が船橋市民とのこと。(上のグラフは体重別の生存状況。500gなら50%以上、800gを超えれば9割以上小さな命を救うことができる)
低体重児の出生は年々増加しており、同センターでも開設した15年度は196人だった入院数が昨年度は266人へとハイリスクの患者は確実に増えている。不妊治療の進歩に伴って双子など多胎妊娠が増えていることや妊娠中の過度なダイエット等いろいろ原因は考えられるとのことだが、28床のNICUは現在、満床の状態。
加えて誕生後、同センターと同じレベルのケアを施せる施設がないため、1年2年と入院が長期化している長期入院児が増えており、本来の目的である急性期の患者を受け入れられないという問題も顕在化しつつある。
長期入院児の問題は同センターに限ったことではなく、全国的に問題となっており、受け入れ可能な施設整備など早急な対策が求めらている。

新年度予算案を審議する3月議会が2月27日からスタートしました。厳しい財政状況を反映して対前年度マイナスの緊縮予算となっていますが、そのなかでこれまで議会で提案してきたことがいくつか盛り込まれました。概要をご報告します。
■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織・『療育支援課』が発足〜

■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
妊婦健診は通常、出産までに12〜14回程度受ける必要があるといわれますが、母子手帳についてくる無料受診券は2回分のみ。残りは自己負担となりますが保険がきかないため、経済的な負担感は大きなものがあります。また、産婦人科の”たらい回し”の問題ではかかりつけ病院がない、即ち病院で妊婦健診を受けていない場合に起こるケースが大半ということも踏まえ子育て支援の一環として無料化の拡大を議会で訴えてきました。この結果、新年度から無料の妊婦健診が2回から5回に拡大されます。

■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
下水道が整備された地域では、条例で3年以内に下水道に接続する工事を実施することが義務づけられています。工事の経済的負担を少なくするため市議会で様々な負担軽減策を主張し、実現してきました。
下水道への接続にかかる工事費は敷地内の配管の状況によっても金額に大きな開きがあり、現行の無利子貸付制度の限度額でも収まらないケースもかなりあります。市内の工事費の実態を踏まえ、限度額の更なる引き上げを早急に実施するよう議会で主張。この結果、新年度から浄化槽から下水道に切り替える場合で30万円から35万円に、汲み取り便所の場合で45万円から50万円へと引き上げられます。

■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
感覚統合療法は、もともとは半世紀ほど前にアメリカにおいて問題となり始めていた学習障害児へのリハビリテーションを目的に開発された技法で、日本においては1976年に初めて行なわれ、その後の実践の積み重ねのなかで子どもだけでなく「認知症」「統合失調症」の治療への応用も試みられるようになっています。

「注意が持続しない」「感情をコントロールできない」「常に動き回る」「読み書き算数ができない」「縄跳びなどの運動ができない」等々、行動や認知、情緒、運動企画などの障害の原因として、触覚、視覚、聴覚などの感覚を脳の中で処理する過程に何らかの障害があることが強く疑われる場合に、その子どもの症状に応じて様々な器具を用いたりしながら適度な感覚刺激を与えることによって脳の働きを促すことで、症状・状態の改善が認められるケースが多く報告されています。
近年発達につまずきのある子どもの実態が徐々に明らかになるにつれ、こうした子どもを育てる市内の保護者からも感覚統合療法の実施を求める声が高まっていることを受けて昨年3月議会で早期の実施を強く要望。新年度からJR西船橋駅近くの『こども発達相談センター』で感覚統合療法がスタートすることになりました。

■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織・『療育支援課』が発足〜
障害児の療育について、本市においても複数の機関・施設でサービスが提供されていますが、指導・支援の計画づくりが個々の施設ごとに行なわれているため、また、縦割り行政の弊害もあって、一人一人の発達段階に応じた適切かつ一貫した支援が提供されていないという状況がありました。
ひとりひとりに最適な支援計画の作成とそれに基づく一貫した支援の実施が行なわれるよう、医師、理学・作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などで構成する専門家チームを置き、支援の充実を早急に図るべと議会で主張。これを受けて一貫した支援を行なうための組織として『療育支援課』が新年度から発足することになりました。

「いつになれば大通りの整備が終わるの」「高齢者も安心して歩ける歩道を早く造って」等々、市民相談の大半は道路に関する要望です。ムダな道路どころか、必要な道路整備すら大きく立ち後れている、幹線道路が未整備のために生活道路に大量のクルマが流入し、住民の安全を脅かしている状況を早く改善しなければならない、道路整備は最重要の課題…。これが船橋の実情です。

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いま、道路特定財源を巡っての議論が加熱しています。
上のグラフは道路特定財源の暫定税率が廃止された場合の船橋市の影響額を試算したものです。船橋では平成18年度で21億円あった道路整備のための財源が11億円へと約10億円の減収となる計算になります。これは来年度以降、3・4・27号線を含め新規の道路整備は全て凍結、痛んだ道路の補修しかできないということを意味します。もちろん地元自治体としては「予算がないので道路整備はできません」では済まされませんから、福祉や教育など必要な予算を削って財源を捻出せざるを得ない、結果として市民生活にしわ寄せが生じることになります。
原油高騰に起因する市民負担の軽減策、中小企業対策、これらは暫定税率の維持か廃止かという二者択一の議論で正解が得られる問題ではないはずです。もっと冷静な議論が必要だと思っています。