つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党
つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党

■国の補正予算でバリアフリー化を前倒し
船橋市議会の9月議会(9月3日~9月29日)では,
特に経済対策として国が編成した補正予算に対応した市の追加事業として、市内6駅へのエレベーター設置などバリアフリー化の大幅な前倒し実施や失業者のた めの緊急雇用対策、地球温暖化対策として、家庭用太陽光発電システム設置への補助制度創設などを内容とする補正予算が審議されました。
市内駅のバリアフリー化では飯山満駅への2基のエレベーター設置も盛り込まれました。

市議会公明党は国の経済対策において地方の安全・安心、少子化対策などのために設けられた基金、交付金を市民のために役立つ事業や市内経済の活性化につ ながる事業に積極的に活用するよう8月3日(月)に藤代市長に対して緊急の申し入れを行いました。9月議会に提案された補正予算では要望した項目の多くが 反映されています。

□市役所でも知的障害者の雇用を真剣に考えて!

つのだ:特別支援学級在籍児童数の急増について述べたが、この傾向は特別支援学校についても全く同じで、知的障害児が学ぶ市立特別支援学校(旧市立養護学校=市内金堀町)もこの10年で小学部、中学部、高等部合わせて約2倍に増加している。
こうした状況を考え合わせると、今後、在籍する子供たちの卒業後の就労支援ということが本市においても極めて大きな課題となってくることは間違いない。この点については昨年の本会議でも取り上げた。その際、特別支援学校のなかでも高等部はこの10年で2.5倍に急増していること、在校生の半分は就職を希望しているが、卒業生のうち就職できた者は4分の1にとどまっていることを指摘したうえで、特別支援学校の生徒の職場開拓は専ら現場の教師に委ねられており、新聞に折り込まれてくる求人広告などを頼りに、夏休み期間中400社から 500社を訪問して何とか職場実習を受け入れてもらえないかとお願いに歩いているが、在校児童生徒が増加し続ける中で、現場だけの努力では限界がある。一方で障害者の雇用については法律で市役所にも一定の雇用が義務づけられているが、法定雇用率算定に知的障害者も対象に加わって以降も本市における雇用実績はない。このため、今後の採用へ向けた取り組みの第一歩として、実習の受入れを早急に実施するよう求めた。
就職希望者の急増という実態も踏まえて早急な対応が求められているが、その後の検討状況について伺いたい。

答弁:この間、市としても研究してきた。国でも知的障害者が国の機関で非常勤職員として経験を積み、一般就労への足がかりにしようとするチャレンジ雇用制度を平成20年度から開始し、他の自治体の中でも、同様な趣旨で、知的障害者の民間企業への就労に向けた雇用事業を実施する団体もでてきたことから、これらの動向についても研究してきた。
また、(船橋市の)職員の視点から政策を提案し、事業として具体化しようとする「政策実現研修」の中からチャレンジ雇用制度と目的を同じくする知的障害者の雇用システムについて提案がなされている。今後、提案者を交え市役所の関係各課のなかで協議しながら、実現性について研究してゆきたい。

□とにかく特別支援学級の開設校をふやしましょうよ船橋は!
つのだ:全国の特別支援学級数は10年間で児童数は1.9倍と急増している。学級の種別では知的と自閉症・情緒の学級に在籍する児童で9割以上を占めている。
船橋市においてもこの傾向は同じで、この10年間で特別支援学級に在籍する児童数は1.6倍とやはり急増している。
これに伴って当然学級数も増加している。10年前は、知的の特学を設置している学校の学級数は2学級までだったが、これが今年5月1日現在になると、3学級ある学校が3校となっている。在籍児童数の最多は20名(現時点で22名)。自閉症・情緒も10年前は2学級までだったが、現在は2学級2校と3学級が1校(湊町小学校)、児童数最多は22名となっている。
特学設置校の学級数が増える、在籍児童が増えることにより、様々な面で困難が増えてきている。
子どもに対する様々な面からの良好と言える教育環境確保のためには、現場の状況から考えて、特学が3学級以上になっている学校については近隣校への特学の新設などにより、早急に解消を図ることを強く求める。

□中学校への自閉症・情緒障害特別支援学級の開設を早く!
つのだ:もう一点、船橋市において早急に対応して頂きたい課題として、中学校への自閉症・情緒障害特別支援学級の開設ということがある。
全国的に見れば20年度で知的も自閉症・情緒も小学校、中学校ほぼ2:1の比率で設置されている。
翻って本市の場合、自閉症・情緒障害の特別支援学級は小学校7学級に対して中学校はゼロだ。
なぜこのような状況が長年、放置されているのか。中学校への一日も早い自閉症・情緒障害特別支援学級の開設を求める。

答弁:これまで小学校の自閉症・情緒障害特別支援学級の卒業生の多くは、中学校では知的障害の特別支援学級に進学していた。しかしながら、自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する児童のなかには、より個別的な指導を必要とする児童もいることから。今後、中学校における自閉症・情緒障害児の望ましい教育環境のあり方について、中学校への特別支援学級設置を含めて総合的に研究して参りたい。

9月議会は(1)発達障害児の支援について(2)特別支援教育について(3)障害者の就労について(4)新型インフルエンザ対策ついてー質問しました。
「発達障害児の支援について」では、早期支援に結びつけるための5歳児健診について船橋市での導入可能性、当面の方策として巡回相談の充実、特に保護者へのアプローチという観点から質問と提案を行いました。

□悉皆の5歳児健診は困難

つのだ: 軽度な発達障害の気づきが就学後の場合、学校不適応や心身症など2次的な不適応の状態や障害に陥っていることが少なくないことから、予防のためにも早期の発見の重要性が指摘されている。そのためのひとつの方策として特にAD/HDやHFPPD(高機能広範性発達障害)の幼児では3歳児検診の後、保育園や幼稚園など集団生活に入ってから「集団行動がとれない」「自分勝手な行動が多い」など急激に様々な特徴が見えてくることから、この時期、5歳の時点での健診や相談の実施が必要だといわれている。国も発達障害児の早期支援のために5歳児健診が重要だといっている。
5歳児健診を本市で行おうとした場合、新たに確保しなければならない専門職などの人員、時間、費用はどの程度になるのか?具体的に検討されているようでしたら伺っておきたいと思います。

答弁:船橋市で5歳児健診を実施するとしたら5歳児の人口5511人で積算すると、年間220回実施することとなり、医師・保健師等の報償費は約1290万円必要となり、常勤の職員も保健師をはじめ6人の増員が必要になる。また、小児科医師の不足により1歳6ヶ月児健診や3歳児健診の内科診察については個別健診となっている現状から協力医師の確保が非常に難しく、母子保健として悉皆の5歳児健診を実施することは困難と考える。

◇5歳児健診が困難ならば、相談業務の充実が必要だが、その際、保護者へのアプローチは?
つのだ: 本人のために効果的な支援に結びつけるために大切なことは「保護者が発達障害に気づく」ということで、子どもの様子に「何か変」という思いを抱いている保護者が家庭での生活を含め子どものために、どのように接すればよいのかを考え実際に行動に移すように手助けする、その契機とするのがまさに5歳児検診の目的で、健診の結果は3歳児健診など他の健診と同様、保護者にもお知らせされる。5歳児健診の目的は2次的な不適応に陥る前に効果的な支援を提供するための前提となる「気づき」の前倒しにある。そしてそれは指導する現場の側のみならず保護者も含めて子どもの発達特性とそれに対する対処法について認識が備わった状態、即ち保護者も含めて子どもに真正面から向き合っている状態にできる限り早期に持っていく必要があるとの観点から提唱されているもの。この点について本市の巡回相談では療育や発達相談センター等への相談への方向付けのために、保護者に対してはどのようなアプローチをしているのか。

答弁:「障害の受容」への働きかけについては、専門的な療育支援ばかりでなく、日々の生活のなかで行われることが重要と考える。通っている園の保育士や幼稚園の教諭の役割も重要であり、こども発達相談センターでは、保育士等からのご相談にも応じながら、一緒に考えたり、アドバイスをしながら保護者のかたがお子さんとしっかり向き合えるような支援を行っていきたい。
つのだ:・保護者に対する姿勢について船橋の現状は、現場の方々は腰が引けている、療育支援課も腰が引けている。難しいのは分かる。ただ、難しいというばかりで問題を先送りし、学校に上がったらあとは教育委員会にお任せということでは困る。いつ保護者に話すのか、それはケースバイケースでマニュアル化することなどできないが、少なくとも保護者の状況から考えて就学前に話をすることは難しい、就学後にタイミングをみて話して欲しいといった連係は教育委員会との間でさらに密にしてもらいたい。それから障害告知後の具体的な専門的援助の提供のために療育センターを一日も早く作ることを求める。

◇平成21年度予算に反映された主張◇
■発達障害児の早期支援へ専門家チーム
AD/HDや学習障害(LD)などの発達障害児に対する早期支援の必要性が指摘されていますが、小学校就学前の幼稚園や保育園に在園する児童に対する支 援や専門機関との連係はほとんど行われていない状況でした。このため、、臨床心理士、言語聴覚士、理学療法士など専門職による幼稚園等への巡回支援の実施 を議会で主張。この結果、今年度から専門職による巡回チームを編成、希望する園に対して支援を行ってゆくことになりました。
発達障害児に対する支援については、就学前から小学校に上がった後まで一貫した支援が重要なことから、今議会でも関係機関の一層の連係や本人とともに保護者に対する支援の充実についても訴えました。

■妊婦健診14回分を無料に

妊婦健診は通常、出産までに12~14回程度受ける必要があるといわれますが、保険がきかないため、経済的な負担感は大きなものがあります。ま た、産婦人科の”たらい回し”の問題ではかかりつけ病院がない、即ち病院で妊婦健診を受けていない場合に起こるケースが大半ということも踏まえ子育て支援 の一環として無料化の拡大を議会で訴えてきました。この結果、昨年4月からそれまで2回分だけだった妊婦健診の無料化が5回に拡大。さらに今年4月からは 14回分の無料化が実現しました。

■小中学校の耐震化が加速
中国の大地震直後の昨年5月、公明党の太田昭宏代表が福田首相(当時)に、耐震化事業への国の補助拡大を要請してから大きく動き出した学校施設の耐震化事業。
それまで耐震化が遅々として進まなかった船橋でも国の動向を踏まえ積極的に対策を進めるよう主張してきました。21年度は前年度補正予算分も含め、14 の小中学校で工事を実施するとともに、飯山満南小、若松小、坪井中などで耐震工事のための設計に入るなど急ピッチで事業が進められます。

つのだ: 医療センターの改革プランを踏まえて伺いたい。プランにおいて健全経営に向けての取り組みとして、市直営病院としての位置づけを維持する方針を明確にし、病院スタッフに安心して経営改革に当たることができるようにするために、早期の全部適用が必要ということから今議会に全部適用のための条例改正が提案されている。全部適用後に職員に期待することとしてプランでは「公務員として引き続き、地域医療の中核を担う使命・役割を果たしていけるよう、病院事業管理者のもと、スタッフ全員が病院の経営状況を正確に理解し、経営改革の具体的目標、実現に至までのプロセス等について共通の理解を持ち、一人一人が経営意識をもって病院内の活性化、魅力ある病院作り等に取組むことを強く期待する」云々としているが、これまでも経営改革の取り組みは行われてきたと思う。病院スタッフの経営改革への意識という点で具体的に現状の課題をどのように捉え、全部適用後にどのように変革してゆこうと考えているのか伺いたい。

 

医療センター事務局長:医療センターの経営における現状の課題としては(1)経営責任が必ずしも明確でなかった(2)院内を含む意思決定が迅速に行われていなかった(3)職員のコスト意識が希薄であった—ことが挙げられる。全部適用に移行することにより。事業管理者が病院経営の責任者となり、責任と権限が今まで以上に明確になる。
これまでの病院内での意思決定は、院長を中心とした管理会議において決定し、これを受けて事務局が市の関係部局と協議を行い、最終的な意思決定を行うというプロセスが多くあった。これからは、病院事業に精通している事業管理者が最終的な意思決定を行うことになり、院内でのコンセンサスが得やすくなるなど、変化する医療環境や2年に1度の診療報酬改定に、迅速かつ効果的に対応できる。
また、職員が経営に参加する意識を醸成させるためには、職員の目的意識や情報の共有化が特に重要となる。まずは、的確な経営分析を行い、経営状況に関する情報を院内広報や研修会により情報発信を行い、全職員が病院の経営状況を知り得る体制を整備して行く。
さらに、職員が積極的に患者サービスの向上への取り組みや経営改善策など提案できる制度を導入するなど、職員全員が医療サービスの向上と経営改善に取組んでゆく環境を作って行きたい。

☆質問の終わりに☆
私自身は、医療センターの体質を改善することは並大抵の努力ではできない、と思っています。
船橋市立医療センターの経営改善のために当面は地方公営企業法全部適用を目指すべきというのが専門家の結論でした。では、全部適用によって医療センターの経営は本当に改善するのか?同規模の10病院程度の比較を試みましたが、うまくいっているところは皆無。唯一、経営状況の良い長崎市立市民病院も全部適用によって経営が改善したわけではなく、それ以前、全部適用前に院長のリーダーシップによって危機を脱していました。
かつてない自治体病院受難の時代にあって、求められるのは、一部適用から全部適用への形式的な制度の見直しではなく、これまでは「経営」を考えずともやってゆけた病院職員の意識を変革し、組織一丸となって改革に取組む気運を醸成できるリーダーを確保できるかどうか、それに加えて首長の理解、議会の理解が改革の正否のカギを握るというのが、とりあえずの結論です。
特に医療センターの場合は、これまで、どう転んでも赤字にならない、といっては語弊があるかもしれませんが、他の自治体病院に比べ手厚い一般会計からの繰入に守られてきたところがあります。
そこから、職員一丸となって改革に取組まねばならないとなった。改革の正否を握るのは、何よりも幹部職員が目標に向かって一丸となって取組めるか否かにかかっていると思います。
管理者には本当にご苦労様ですが、目標達成に向け病院職員全員が今まで以上に、よりよい医療センター作りに邁進する環境づくりに取組まれることを要望しました。

質問に対する答弁を踏まえて、今後の療育支援についての要望…

つのだ:就学前の発達障害児を含む気になる子どもの実態について、本市の幼稚園、保育園への実態調査では3.3%程度いるとのこと。もとよりこの調査は現場の教諭、保育士の主観によるところが大きいため、直ちに発達障害児の実態を表す数字だということはできないが、気になるのは調査結果の中でも示され、私自身現場の声を伺う中で多く耳にしたことは、「気になる子」は年々増えているということだ。

いずれにしても、幼稚園を含めた現場への巡回支援がこれから本格的に実施されるなかで、「気になる子」「支援を必要とする子」の実態が明らかになってくると思う。
そのうえで就学前の子どもに対する支援のあり方がこれから検討されてくるものと思うが、是非とも実態の把握を急ぎ、支援の必要な子どもに対しては早期に支援が講じられるよう積極的な取り組みを要望する。そのために必要な人材の確保について優先的に配慮して頂きたい。

(医療センターに)
つのだ:医療センターに(優秀な)児童精神科医を招聘していただきたい。自治体が発達障害児への支援を行っていくうえで医療との連携は不可欠である。自治体病院の経営環境が悪化し、特に都市部の自治体病院がなぜ自治体病院であり続けなければならないのか、その説明が強く求められているなかで、その一つの答えにもなるとも考える。難しいことは承知の上でぜひとも招聘に動いて頂きたいがいかがか。

健康福祉局長:専門医の数が少なく難しいが、医療センターとも相談して行きたい。