つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党
つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党

◆9月議会報告【原油・物価高騰への緊急対策を】市内中企業等への融資要件緩和や福祉灯油事業の実施を!【災害時の飲料水確保対策の見直しを】大規模災害への備えのなかでも重要な飲料水の確保策は果たして十分なのか?

■原油・物価高騰への緊急対策を〜中小企業向け融資要件緩和や福祉灯油の実施を主張〜

昨年来の原油価格高騰は少し落ち着きを見せているとはいえ、依然として高止まりの状況であり、食料、飼料、原材料などの価格の高騰と相まって市民生活や企業活動に深刻な影響を与えています。

9月議会では市としても可能な限りの対策が急務との思いから、高齢者や低所得者等へ灯油購入費を助成する福祉灯油事業の実施、中小企業等の資金繰り円滑化のため融資要件の緩和などを早急に実施に移すよう主張しました。

灯油価格は昨年8月には18ℓ1,431円だったものが今年8月は2,310円へと約1.6倍に急騰しています。国では高齢者や母子家庭、低所得者を対象に灯油購入費を補助する自治体に対して特別交付税で支援する、いわゆる福祉灯油制度を設けていますが、船橋市でも本格的な需要期を控え市民生活を守るため国の制度を活用した福祉灯油事業を早急に実施するよう主張しました。

また、中小企業等の支援では特に資金繰りの円滑化のための融資要件の緩和を主張しました。市で実施している原油高騰関連の融資は国の制度に沿った融資資格を設けており、融資を受けられる者が限定されてしまっています。原油高騰の影響はより広い業種に及んでいることに鑑み、まず融資が受けられる業種要件を撤廃して県の信用保証協会の保証対象業種について融資が受けられるよう緩和すること、さらに、原油高騰により利益が圧迫されていることが認められれば融資の対象にするなど、緊急に思い切った対策を打ち出すことを訴えました。

■災害時の飲料水確保対策の見直しを

□一人1日最低3リットル

普段、私たちは一人当たり1日240リットルの水を使っています。災害で広域的に断水した場合に備え一人1日あたり最低3リットルの飲料水を確保しておくことが必要とされています。飲料水以外に20リットル程度の生活用水も欲しいところです。

□船橋は主に防災井戸で確保
市の防災計画では災害時の水の確保は県水道局給水場と市の耐震性井戸(防災井戸)に求めることにしています。このうち防災井戸は地下100メートルから150メートルの深井戸で、自家発電装置や滅菌器を取り付け、毎時12トンの水をくみ上げる能力のある井戸が18か所、ほかに手押しの井戸が2カ所設置されています。過去の議会において市は防災井戸によって「57万(現在は59万人)市民には必要とされる1日3リットル(の飲料水)は十分確保できる」としていました。

□飲料水としての水質は…?
しかし、定期的に行っている防災井戸の水質検査結果を調べてみると、毎回5カ所から7カ所の井戸が大腸菌や、硝酸性窒素・亜硝酸性窒素の基準値超過などで水道水の水質基準に不適合となっています。また、環境部の調査では健康被害をもたらすとされるテトラクロロエチレンなどの有機塩素系溶剤による地下水汚染が市内各地で依然として続いていることが示されていますが、防災井戸についてはこれら汚染物質の調査は行われていません。

□地下水から水道水確保へ転換を
市内の地下水汚染の状況や水質検査結果を考え合わせた際、災害時の飲料水確保を地下水に求めるという考え方から水道水の確保を図るという方向に転換してゆくべきです。

水道水確保のため全国的に広くとられている対策に飲料水兼用耐震性貯水槽の整備があります。このほか例えば東京都中央区では避難所となる区内全小学校に手動の濾過器を配備して災害時にはプールの水を飲料水として活用することにしています。災害発生直後の段階で避難所に行けば確実に水が手に入るという点ではこうした取り組みは船橋市でも検討する価値は高いと思います。

rihabiri1.jpg
rihabiri2.jpg

◇議会での議論◇
Q.防災井戸の水質検査で飲料水の水質基準に適合していない井戸が多数ある。また、基準を満たしている井戸でも、市内に供給されている水道水の水質と比較して質的に劣っている井戸はほかにもある。災害時の飲料水確保を地下水に求めるという従来の考え方から耐震性貯水槽などにより可能な限り水道水の確保を図るという方向に転換してゆくべきではないか。
A.飲料水の提供は各避難所等に備蓄してある缶タイプの飲料水をまず活用し、防災井戸は主に生活用水としての活用になる。災害時に避難所等に避難した方々に、迅速に飲料水の提供を図る必要は強く認識している。議員指摘の耐震性貯水槽の設置や学校プールの水源利用による濾過器の設置等々について、本市にとって効果的な方法を調査研究したい。

9月議会(会期3日〜26日)の一般質問では、(1)災害時の飲料水確保対策(2)原油・物価高騰に対する市の取り組み(3)来年度から複合施設としてスタートする旧高根台第1小学校について取り上げました。

■災害時の飲料水確保対策
つのだ:市の防災計画では災害時の水の確保は県水道局給水場と市の耐震性井戸(防災井戸)に求めることにしているが、防災井戸の水質検査で飲料水の水質基準に適合していない井戸が多数ある。また、基準を満たしている井戸でも、市内に供給されている水道水の水質と比較して質的に劣っている井戸はほかにもある。災害時の飲料水確保を地下水に求めるという従来の考え方から耐震性貯水槽の整備や学校プールへの濾過器配備などにより可能な限り水道水の確保を図るという方向に転換してゆくべきではないか。

答弁:飲料水の提供は各避難所等に備蓄してある缶タイプの飲料水をまず活用し、防災井戸は主に生活用水としての活用になる。災害時に避難所等に避難した方々に、迅速に飲料水の提供を図る必要は強く認識している。議員指摘の耐震性貯水槽の設置や学校プールの水源利用による濾過器の設置等々について、本市にとって効果的な方法を調査研究したい。

■原油・物価高騰に対する市の取り組み
つのだ:中小企業の資金繰り円滑化のため本市の融資制度についても、より一層の要件緩和などを検討すべきではないか。また、昨シーズンを上回る灯油価格の高騰に対して福祉灯油事業の実施を含め深刻な影響が懸念される高齢者や母子家庭、低所得者を中心に市民生活を守る施策を早急に実行に移すべきと考えるがどうか。

答弁:中小企業者の経営は極めて厳しい状況にある。現在のところ現行の融資制度のなかで対応する考えだが、今後の経済情勢の把握、情報収集を行い適切な対応をしてゆきたい。福祉灯油事業について、今のところ特段の助成制度を設けることは考えておらず、今後、国、県、他市の状況を見守りたい。

つのだ:生活必需品が軒並み値上がりしているうえに灯油の高騰と状況は昨シーズンとは明らかに違う。需要期を前に少なくとも市としてどのような手だてが講じられるか関係部署が検討する場を設けるべきではないか。

答弁:今後、横断的に検討する場を設けて検討してゆく。

【今号の内容=6月議会報告】質問項目…【病院事業について】市民の健康を守る医療センター、安定経営のために必要なことは?【下水道事業について】検査の必要のない工事の検査のために職員を置くのは非効率。民間に委託すべきではないか?

6月議会の一般質問では医師不足や医療費抑制の影響で自治体病院の経営が急速に悪化しているなか、市立医療センターの経営について、市民の健康を守る拠点として将来にわたって公営を維持する必要があるとの立場から経営改善の方向について質問を行いました。

また、全国的に見ても大きく整備が遅れている本市の下水道事業について実態を踏まえた業務効率化のための提案を行いました。

(1)医療センターの経営基盤強化を

病院1-web.tif
病院2-web.tif

自治体病院は全国的に診療報酬引き下げによる経営状況の悪化、医師不足による診療科の廃止など取り巻く環境は厳しさを増しており、平成18年度の決算では全体の8割が赤字に陥っています。船橋市立医療センターはわずかに黒字を出しているものの、内容をみると22億6500万円の一般会計からの繰入、即ち税金の投入で支えられているというのが実情です。

グラフは医療センターと同規模の市立病院と医療センターの一般会計からの繰入額の比較(上)と、繰入がなかった場合の赤字額の比較(下)です。救急医療や高度特殊医療など公立病院でなければできない役割を果たすうえで一般会計からある程度の繰入は必要で、事実どこの自治体病院も繰入金はあるのですが、医療センターはその割合が突出しており、市の財政状況から考えても経営基盤強化が強く求められているといえます。

医療センターの今後について、「船橋市立医療センターのあり方に関する検討委員会」が昨年9月にまとめた最終報告書において、市からの繰入金が減るようなことがあっても経営を続けていけるような体質にすべきだとして、人事や給与、予算の権限を有する専任の病院事業管理者を置くことができる地方公営企業法の全部適用を緊急的な対応として早急に検討を開始すべきと提言しています。

◇議会での議論◇市民の健康を守る医療センター、安定経営のために必要なことは?
Q.公営企業法全部適用を目指すべきとされた本市だが、全国的にみて全部適用を採用しても経営状況が改善しない病院が多いということについて、どのように分析し、病院事業活性化という目標達成のためにはどのような取り組みが不可欠と考えているか。

A.全部適用を成功させるカギは病院のトップと各職種からなるスタッフが一丸となって、目標設定から実現へのプロセスまで、病院を変えていくのは自分たちであるという意識をもって取り組むこと、また、全員が経営意識を共有し、チームとして患者の満足度の高い医療の実現に努力できるかどうかにある。また、市長をはじめ設置者側は、そうした病院の努力が可能となるような十分な裁量を認めるとともに、病院経営に無関心となることなく、積極的に支援する体制をとる必要があると考えている。

(2)下水道事業について
◇議会での議論◇検査の必要のない工事の検査のために職員を置くのは非効率。民間に委託すべきではないか?

Q.下水道に接続する排水設備工事について工事内容に関する基準を定めているが、実際は全体の約7割を占める既存建物の工事はほぼ100%、既存の設備を使う確認書添付の工事、すなわち不具合が生じた場合は施主が責任を持つという前提で基準に合致していなくても検査済証が交付されている。7割が基準に適合しているか否かの検査をする必要のない工事が行われている本市の実態を考えた場合、検査業務に職員を割くのは非効率であり、業務委託など効率化を検討すべきではないか。

A.既存設備を活用する場合は、どのような状況にあるか施主に十分説明するよう指導している。既存設備を利用した接続工事でも完了検査は、範囲は少ないとはいえ法令に適合するものでなければならないことから、知識、経験を有する技術系再任用職員を登用し検査体制の充実を図っている。また、検査現場における指導を強化するほか、指定工事店や責任技術者を対象とした研修会を開催するなど良質な工事執行を図るためため改善を図ってゆきたい。委託化については今後、職員の配置や検査業務の状況をみて検討する。

市議会(6月議会)は6月3日から23日までの会期で開かれました。
6月議会の一般質問では(1)医師不足や医療費抑制の影響で自治体病院の経営が急速に悪化しているなか、市立医療センターの経営について、市民の健康を守る拠点として将来にわたって公営を維持する必要があるとの立場から経営改善の方向について質すとともに、(2)全国的に見ても大きく整備が遅れている本市の下水道事業について実態を踏まえた業務効率化のための提案を行いました。

■病院事業について■
つのだ:公営企業法全部適用を目指すべきとされた本市だが、全国的にみて全部適用を採用しても経営状況が改善しない病院が多いということについて、どのように分析し、病院事業活性化という目標達成のためにはどのような取り組みが不可欠と考えているか。

答弁:全部適用を成功させるカギは病院のトップと各職種からなるスタッフが一丸となって、目標設定から実現へのプロセスまで、病院を変えていくのは自分たちであるという意識をもって取り組むこと、また、全員が経営意識を共有し、チームとして患者の満足度の高い医療の実現に努力できるかどうかにある。
また、市長をはじめ設置者側は、そうした病院の努力が可能となるような十分な裁量を認めるとともに、病院経営に無関心となることなく、積極的に支援する体制をとる必要があると考えている。

つのだ:平成18年の診療報酬改定で手厚い看護を提供する病院により多くの報酬を支払うということで患者7人に対して看護師1人の「7対1の入院基本料」が新たに創設された。地方の自治体病院での看護師不足の一因ともなったといわれてているが、医療センターの場合、現状は上から2番目の「10対1」の入院基本料が適用されている医療センターで「7対1」対応とした場合の収支の試算を示していただきたい。

答弁:病床稼働率90%とした場合、入院収益は年間3億2110万円の増加が見込まれる。一方、費用は看護職員一人当たりの平均年収600万円で計算すると2億9400万円となり2710万円のプラスとなるが、この計算はあくまでも試算の域を出ない。

■下水道事業について■
つのだ:下水道に接続する排水設備工事について工事内容に関する基準を定めているが、実際は全体の約7割を占める既存建物の工事はほぼ100%、既存の設備を使う確認書添付の工事、すなわち不具合が生じた場合は施主が責任を持つという前提で基準に合致していなくても検査済証が交付されている。7割が基準に適合しているか否かの検査をする必要のない工事が行われている本市の実態を考えた場合、検査業務に職員を割くのは非効率であり、業務委託など効率化を検討すべきではないか。

答弁:既存設備を活用する場合は、どのような状況にあるか施主に十分説明するよう指導している。既存設備を利用した接続工事でも完了検査は、範囲は少ないとはいえ法令に適合するものでなければならないことから、知識、経験を有する技術系再任用職員を登用し検査体制の充実を図っている。また、検査現場における指導を強化するほか、指定工事店や責任技術者を対象とした研修会を開催するなど良質な工事執行を図るためため改善を図ってゆきたい。委託化については今後、職員の配置や検査業務の状況をみて検討する。

hiraoka1.jpg
「高校に上がっても共に学びたい」
障害のあるなしに係らず子どもが成長するなかで地域・社会で暮らす、生きる力を身につけるために教育はどのような支援ができるのか、あるいはすべきなのか。国内でもこうした問題意識に立った試みが様々行なわれているが、いまだ「こうすべきだ」という支援策は確立されていない。その結果「同じ日本なのになぜこんなに違うの?」というくらい障害児の教育環境は地域によって大きく異なる現状がある。この点に関して大阪府は高校においても共に学ぶ環境づくりに積極的に取り組んでいる。平成18年度から知的障害児が通うようになった東大阪市の府立枚岡樟風高校を訪ねた。

平成18年度より共生推進モデル校として「たまがわ高等支援学校ものづくり科」の共生推進教室が枚岡樟風高等学校に設置されました。知的障害の生徒が入学し、社会的自立を目指して枚岡樟風高等学校の生徒と共に生 活し共に学んでいます。
◆教育の基本方針
地域社会で自立して生きる力の育成を図り、働く為の知識や技術を育み、社会人としての生活習慣や働く意欲を培う。
◆入学資格
1) 療育手帳を所持しているもの、または児童相談所等の公的機関で知的障害と判定を受けた者。
2) 在籍する中学校等の校長の推薦を受けた者。
3) 自主的な通学が可能で、就労を通じた社会的自立を目指しているもの。
以上は、同校のホームページからの引用。
大阪府の場合、障害児が一般の高校で共に学べるようにする手法として高校側に自立支援コーズなど独自の課程を設けるやりかたと、新しい試みとして養護学校(特別支援学校)の分室を高校に設けるやり方の二通りがある。2つの手法の違いは高校側に自立支援コースを設けた場合、加配する教員の人件費等は府の持ち出しとなってしまうこと、一方、養護学校の分室とした場合は養護学校のいわば手厚い基準で教員が配置されることから、府の持ち出しは少なくて済むこと。ただしこの場合は卒業証書は養護学校の卒業証書となること。こうした違いはあるものの、実際の教育内容に大きな違いはない。
枚岡樟風高校は後者のケース、即ち府立たまがわ高等支援学校の分室(共生推進教室)の位置づけだ.
平成11年に府がまとめた教育改革プログラムで高校に分室を置き、交流を促進する方針を打ち出していたが、この方針を具体的なカタチにした新しい取組みだ。
共生推進教室の定員は各学年2名。訪れた時点(昨年10月)で、1、2年生合わせて4名が在籍していた。
同校のコーディネーター・栗山教諭は3年前まで府内の工業高校で教鞭を執っていたが、障害児j教育はまったく未経験。障害児教育のコーディネーターを務めるうえで、試行錯誤もあったという。保護者と様々話し合うなかで「涙もろくなった」と笑う栗山教諭。障害児は一般的に環境の変化に弱い、朝の1、2時間は大切に扱わなければいけないなど、接する上で注意すべき点も多いというが、「経験の全くなかった私でもできるのだから、このような取組みはどこの高校でもやろうと思えばできます」と力を込めて語る。
共生推進教室を運営するうえで必要なこととして、「小・中・高校とそれぞれの現場が連携して引き継ぎがしっかりできること」「困った!というときに相談できるところがしっかり確保されていること。ウチの場合は大阪教育大学ですが、アドバイスしてもらえるところが確保されていれば大丈夫です」。
「教師のなかでも特にあるていどベテランの域に達した高校の教師が特別支援教育について理解できていないのではないのでしょうか」確かにその通りだと思う。高校での障害児受け入れが進まない最大の要因は現場の意識の問題なのだろう。それ以外の大きな壁は現場を視察した限りでは見受けられなかった。
訪問した日に視察した授業は生物の時間。男子、女子生徒に混じって彼はいた。教師の講義を聴きながらプリントを仕上げてゆく。彼の隣に張り付いて授業中ずっと、一生懸命プリントづくりを手伝う男子生徒の姿。
休み時間、校長先生と校舎内を歩いていると向こうから件の男子生徒が歩いてくる。校長先生の「○◎君をいじめてないか?」の問いかけに、彼はいたずらっぽく「いじめてるよ!」と笑いながら去っていった。こんな光景はそこいらじゅうにあってよい。

◆府立枚岡樟風高校分室の親校である府立たまがわ高等支援学校も『生きる力・仕事の知識と技術・働く意欲と生活習慣』を掲げ、最新の設備を整えて知的障害児の就労に先進的に取り組んでいる学校です。施設の概要を写真で紹介します。

tamagawa1.jpg
tamagawa2.jpg
tamagawa3.jpg
tamagawa4.jpg

【今号の内容】

(1)新年度予算に反映された主張
新年度の船橋市予算は、厳しい財政状況を反映して対前年度マイナスの緊縮予算となっていますが、そのなかでこれまで議会で提案してきたことがいくつか盛り込まれました。概要をご報告します。

■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織『療育支援課』が発足〜

(2)市立リハビリ病院がオープン
脳卒中などで治療を受けた後に集中的にリハビリを提供する『市立リハビリテーション病院』が4月21日に開院します。いつまでも元気で暮らせる船橋を目指し地域と連携したリハビリ体制の充実に今後も取り組んでゆきます。

(1)新年度予算に反映された主張

■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
妊婦健診は出産までに12〜14回程度受ける必要があるといわれますが、母子手帳についてくる無料受診券は2回分のみ。残りは自己負担となるため、経済的な負担感は大きなものがあります。また、産婦人科の”たらい回し”の問題ではかかりつけ病院がない、即ち病院で妊婦健診を受けていない場合に起こるケースが大半ということも踏まえ子育て支援の一環として無料化の拡大を議会で訴えてきました。この結果、4月から無料の妊婦健診が2回から5回に拡大されました。

■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
下水道が整備された地域では、条例で3年以内に下水道に接続する工事を実施することが義務づけられています。工事の経済的負担を少なくするため市議会で様々な負担軽減策を主張し、実現してきました。下水道への接続にかかる工事費は敷地内の配管の状況によっても金額に大きな開きがあり、現行の無利子貸付制度の限度額でも収まらないケースもかなりあります。市内の工事費の実態を踏まえ、限度額の更なる引き上げを早急に実施するよう議会で主張。この結果、浄化槽から下水道に切り替える場合で30万円から35万円に、汲み取り便所の場合で45万円から50万円へと引き上げられます。

■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
感覚統合療法は、もともとは半世紀ほど前にアメリカにおいて問題となり始めていた学習障害児へのリハビリテーションを目的に開発された技法で、日本においては1976年に初めて行なわれ、その後の実践の積み重ねのなかで子どもだけでなく「認知症」「統合失調症」の治療への応用も試みられるようになっています。「注意が持続しない」「感情をコントロールできない」「常に動き回る」「読み書き算数ができない」「縄跳びなどの運動ができない」等々、行動や認知、情緒、運動企画などの障害の原因として、触覚、視覚、聴覚などの感覚を脳の中で処理する過程に何らかの障害があることが強く疑われる場合に、その子どもの症状に応じて様々な器具を用いたりしながら適度な感覚刺激を与えることによって脳の働きを促すことで、症状・状態の改善が認められるケースが多く報告されています。

近年発達につまずきのある子どもの実態が徐々に明らかになるにつれ、こうした子どもを育てる市内の保護者からも感覚統合療法の実施を求める声が高まっていることを受けて昨年3月議会で早期の実施を強く要望。JR西船橋駅近くの『こども発達相談センター』で感覚統合療法がスタートすることになりました。

■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織『療育支援課』が発足〜
障害児の療育について、本市においても複数の機関・施設でサービスが提供されていますが、指導・支援の計画づくりが個々の施設ごとに行なわれているため、また、縦割り行政の弊害もあって、一人一人の発達段階に応じた適切かつ一貫した支援が提供されていないという状況がありました。

ひとりひとりに最適な支援計画の作成とそれに基づく一貫した支援の実施が行なわれるよう、医師、理学・作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などで構成する専門家チームを置き、支援の充実を早急に図るべと議会で主張。これを受けて一貫した支援を行なうための組織として『療育支援課』がら発足することになりました。

(2)市立リハビリ病院がオープン〜早期回復・復帰を一貫して支援〜

rihabiri1.jpg
rihabiri2.jpg

リハビリ病院は脳卒中や骨折などで入院、治療を受けた(急性期)直後の『回復期』のリハビリを担う病院です。

回復期リハ病棟は人口10万人当たり50床以上必要といわれていますが、千葉県は東京都ともに全国最低の18床に止まっています。国内最大級の200床を有するリハビリ病院の開院により船橋はほぼ50床を確保するとともに、医療センターの真向かいという立地条件を活かし急性期からの切れめない、一貫したリハビリの提供が期待されます。

ただ、リハビリ病院に期待される役割はそれだけに止まりません。退院後、地域に戻ってからも地元の医師や介護事業者と連携して切れ目ないリハビリの提供が寝たきり防止、早期の社会復帰のためにの極めて重要です。こうしたことから今年の3月議会でもリハビリ病院を核としたケアマネージャー等との連携体制の構築を強く訴えました。

本日(11日)、本会議の質疑に立ちました。

今回は(1)精神障害者への支援(2)発達障害児の支援〜新年度から実施の感覚統合療法と今年度から実施のペアレントトレーニング〜(3)新年度から発足する新組織・療育支援課—などについて質問しました。以下、質疑の概略をご報告します。

■精神障害者への支援■
つのだ:平成19年3月末の精神通院医療の申請実数は4,750人、これが今年度は約6,000人に達する見込で、本市においても精神保健福祉の充実の必要性は高まっている。心の病に苦しむ方は、家から一歩外へ踏み出すにも大変な困難を伴うことが多いほか、サービス利用も治療との並行となることなどからコンスタントに通うことが難しい。そうした方への支援のあり方としては、例えば作業所なども小規模で良いから、できるだけ通いやすいところに開設されていることが望ましいが、本市の現状を眺めた場合、そうした基盤がまだまだ貧弱であり、作業所等を開設しやすい環境を整えてゆく必要があると考る。小規模作業所への補助制度は年間の利用者人数に応じて運営費や家賃の補助などが行なわれる仕組みになっているが、精神障害者への支援を充実するためにも要件の見直しを行なうことによって少なくともサービス提供基盤を整備しやすい環境を整える必要があると考えるがどうか。

答弁:本市では精神障害者共同作業所に対して運営に係る補助と家賃補助をいずれも年間通所延べ人数などに応じて三つの階層に区分して補助している。今後、市民のニーズや近隣市の動向を見守ってゆきたい。

つのだ:近隣市の動向を見守るとういうなら、隣の市は通所人数による区分は設けず一律に補助を行なっており、金額も船橋を上回っている。地域に作業所を作りやすい環境を整えるため早急に改善して欲しい。また、精神障害者福祉について現在の船橋市の体制は所管が複雑に分かれており大変分かりづらい。同じ精神障害者への支援に対する所管が複雑に分かれているということは、施策全体に対する責任が不明確、あいまいになってしまい、当事者の要望が行政に反映されにくくなる。結果として障害者本人が谷間に置かれる危険性が高いということを指摘した上で、現在実施している事業についてあくまでも利用者の視点から検討を加え、整理すべきものは整理することを求める。

■発達障害児の支援〜感覚統合療法とペアレントトレーニング〜
つのだ:昨年の3月議会で、軽度発達障害など発達に何らかのつまずきのある子どもの実態が近年徐々に明らかになりつつあり、それに伴ってこうした子ども達への早期からの支援の必要性が指摘されていることを踏まえ、発達障害児への治療アプローチのひとつである感覚統合療法について、本市の場合は子ども発達相談センターに必要となる器具をはじめ実施に必要な環境がほぼ整っており、感覚統合療法に精通した作業療法士さえ確保できればすぐにでも行なうことができる状況にあることから、施設の有効活用の観点からも実施を提案させていただいた。実現に尽力した関係者の方々に感謝する。その上で初年度は対象者、人数、対象年齢についてはどのように考えているのか。また、参加者の募集方法、周知についてはどのように行なうのか伺う。

答弁:学習障害や自閉症などの発達障害に有効とされていることから、これらの障害を持つ子どもを対象に考えている。対象年齢、人数については就学前の幼児を対象に指導者と1対1の関係で行ない、1日に3〜4人程度、年間で延べ30人程度を見込んでいる。募集方法、周知については、まず募集に当っては感覚統合療法が有効な子どもの見極めをどのように行なってゆくのか検討する必要がある。また、療法を実施するなかで子どものウイークポイントも見えてくることから、保護者に対しても非常にデリケートなメンタルサポートが必要になることから、初年度についてはメンタル面のサポートが比較的容易な「こども発達相談センター」の相談業務を利用している保護者の中から募るほか、学習障害児や自閉症児の保護者の団体等に呼びかける方法も検討している。

つのだ:今年度にやはり子ども発達相談センターを会場に実施されたペアレントトレーニングについて。ペアレントトレーニングは、ADHDなど発達につまずきのある子どもを育てる親に焦点を当てたプログラムで、子どもの特質を理解したうえで、ではどのように接すればよいのかを考え、より良好な親子関係を築くための技法として考案されたものだが、本市において実施したペアレントトレーニングについて、今年度の事業についてどのように評価しているのか、また、来年度以降の計画について伺いたい。

答弁:昨年9月から11月までの期間で実施した。参加した保護者は15名で、5名づつ3班に分かれ、講義と実践指導などのカリキュラムで実施した。最終日に実施したアンケートでは概ね良好な評価を得たと考えている。「大変に参考になった」「同じような悩みを抱えている人と話ができたことが良かった」「子どもの困難な行動が理解できた」「参加者の表情が回を重ねるごとに明るくなった」といった意見が寄せられた。保護者と子どもの生活を改善するという本来の目的が達せられたと考えている。来年度も発達障害児の重要な支援施策として、引続き実施してゆきたい。

つのだ:日本において早い段階からより効果的なプログラム開発に取り組み続けている猪飼ユリアさんは、「プログラムを作成するうえでいちばん難しいと感じたのは、日本の家庭でどのようにトレーニングを行なってゆくかでした。日本とアメリカでは育児の習慣も社会環境も違うところが多いので、アメリカで生まれたペアレントトレーニングのプログラムを日本に定着させるには、日本の家庭向けに変えてゆくことが絶対に必要でした。(中略)ペアレントトレーニングは、我が子によい注目を注ぐこと、すなわち『ほめる』ことから始まりますが、日本人は自分のこどもをほめることがあまり得意ではありません。英語では『Good!』で済むことでも、日本語だと難しい。実際、トレーニングをはじめたばかりの受講生の多くは『うちの子どもはほめるところなんか何ひとつありません』とうなだれ、10回ものセッションを続けていけるだろうかという不安にとらわれます。そんな受講生の気持が痛いほど分かり、ほめ方ひとつにとってもアメリカと日本の違いを感じながら、プログラムを作っていきました」と語っている。日本の家庭での子育てに適した手法の開発に向けてペアレントトレーニングはまだまだ試行錯誤の段階である。発達につまずきのある子ども育てる親にとってより有効な支援が講じられるよう、専門家の意見も聞きながら内容の充実を目指して欲しい。