船橋市は市域の広さ(狭さ?)に比べて鉄道駅の数が多いということが特徴の一つです。JRや京成電鉄、新京成電鉄、東武鉄道、東京メトロなど7社9路線35もの駅があります。そして利用する路線によって、同じ距離を移動するにも運賃が大きく異なるということも大きな特徴です。
★同程度の通学時間で負担は2倍以上。一定額以上の定期代に対する補助制度創設を提案★
表は同じ目的地への1ヶ月の高校の通学定期代を出発駅ごとに比べたものです。ここでは東葉高速鉄道の「飯山満駅」とそこから直線距離にして2キロも離れていない新京成線「薬園台駅」とJR「東船橋駅」、そしてやはり通学定期代が割高な北総線の「小室駅」を取り上げて負担の違いを見てみます。
平日の朝7時台に出発駅から乗車するとして、目的駅までの所要時間が最も短い経路、所要時間が同程度なら運賃のより安い経路で比較しています。例えば目的地が「東京駅」まで行く場合、出発駅が「薬園台駅」ですと、1ヶ月の高校生の通学定期代は9,650円。同じく「東船橋駅」の場合で6,730円。いずれも1万円かかりません。これに対して、「飯山満駅」からですと14,130円、「小室駅」からだと18,390円かかります。同じく「上野駅」までの定期代、「薬園台駅」からは1ヶ月7,690円、「東船橋駅」からは6,770円。これに対して「飯山満駅」からは14,170円、「小室駅」からは15,970円と、定期代が約2倍違います。また、お隣の八千代市の高校に通うのにどれだけの負担の違いがあるのか。「勝田台駅」まで「東船橋」からなら、1ヶ月6,030円、これが「飯山満駅」からですと1ヶ月13,220円。これも2倍以上の負担の違いです。しかも所要時間は「東船橋駅」からが25分に対して「飯山満駅」からは15分です。
船橋は人口が60万人以上、人の数からみれば極めて大きな都市です。その一方で市域は決して広くはない、広くはないどころか極めて狭い。中核市の制度ができた当初、面積要件100平方キロに満たないために船橋市は中核市になれなかったほどに狭い市域です。その市域のなかで住んでいる場所、直線距離にして2キロも離れていない、歩いても30分以内という狭い範囲のなかで、通学定期代の負担が一月あたり2倍以上も違うという問題は、ある意味、船橋市独自の問題であり、船橋市独自に対策を考えねばならない課題です。 議会では特に重い負担を強いられている市内の通学生について、通学定期代が一定の金額を超える部分について補助を行う制度の創設を求めました。
つのだ:子育て支援施策として通学定期代の負担軽減のために一定の補助を行っている自治体がある。例えば、路線バスや鉄道を利用して通学する高校生を対象に1ヶ月当たり7,200円を超える部分の75%相当を補助している自治体や、1ヶ月当たり1万円を超える部分について全額補助を行っている自治体もある。ただし、これらは、遠隔地の学校へ通わざるを得ない子どもが多いなど、地域的な事情を抱える地方都市に見受けられる施策であり、東京近郊でこのような補助制度を採用している自治体は見当たらない。補助をせずとも、東京近郊の鉄道会社の通学定期の割引率は十分に高いからというのがその理由と思うが、船橋市に限っては事情が異なる。特に重い負担を強いられている市民に着目し、その負担を軽減するために、市内の通学生について、通学定期代が一定の金額を超える部分について補助を行う制度の創設を強く求めるものだが、いかがか。
答弁:子育て支援のために優先的に税金を投じるべき課題がほかにもある。狭い船橋市のなかでも自然環境が豊かな地域と、商業が集積して利便性の高い地域など違いがある。地域性の違いを行政サービスで埋めることは現実的には難しい。都市部で同様の補助を行っている事例もない。
つのだ ひでお(角田 秀穂)
略歴
1961年3月 東京都葛飾区生まれ。
創価大学法学部卒業。
上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。
社会保険労務士。