つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党
つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党

市議時代

12月議会は11月26日から17日までの会期で開かれています。

今議会での一般質問(12月4日)では(1)国の経済対策への対応(2)中小企業への支援(3)飯山満土地区画整理事業—について質しました。

(1)国の経済対策への対応について
つのだ:政府が追加経済対策で実施しようとする定額給付金について船橋市は所得制限を設けるのか。また、DV等の被害者で住民登録できない事情のある方への給付はどうなるのか。

答弁:総務省の「たたき台」では「希望する市町村は、所得が一定の基準額以上の世帯構成者に係る給付額を給付しないことができる」となっているが、事務の煩雑化を考えた場合、所得制限は困難である。住民登録できない方への対応は総務省の制度設計の中でどのような取り扱いになるか注視してゆきたい。

つのだ:DV被害者でも行政や警察に相談して、住民登録していても加害者に居場所を知られないようになっている方もたくさんいる。そうした方には定額給付金も手元に届くが、住民登録していない方については、何人いるのかも含めて全く把握できない。そうした方の中には当初から全く支援が講じられていないケースも多いのではないかと思う。定額給付金に限らず住民登録しないことによって被る不利益は大きい。より多くの被害者に支援が講じられるよう、相談窓口も含めたPRにも積極的に取り組んで欲しい。

(2)中小企業への支援について
つのだ:中小企業の支援について融資と市の実施する調達・工事について以下の点について質問する。

・原油高騰等で資金繰りに苦しむ中小企業のためスタートした国の緊急補償制度を利用するための市長の認定事務の迅速化を求める声もあるが、本市の相談、申請件数はどうか。また、手続き迅速化への対応はどうか。
・中小企業の資金繰り支援ということに関して、市の実施する調達・工事等の代金支払いの一層の迅速化や請負代金の前払いに柔軟に対応してもらいたいがどうか。
・下請けもちゃんとやっていけるよう、適正な工事価格で落札されているかどうかの点検もしてほしい。具体的には下請けの労働者が雇用保険、健康保険、厚生年金保険料が適正に納付されているかということも市の指導要綱に盛り込むよう見直しを行い、点検、指導の強化を図ってもらいたいがどうか。

答弁:
・19年度市長認定件数は111件だったが、本年度は11月末現在で375件を認定し、11月1ヶ月間で249件となっている。認定証交付は遅くとも受付の翌日には認定証を交付する体制をとっている。
・物品購入、建設工事の代金支払いについては、関係部署と協議し今一層の代金支払いの迅速化に努めてゆく。前払いについては国、県の中間前払制度について本市でも活用できるか研究する。
・議員指摘の「建設業者は雇用保険、健康保険、厚生年金保険料を適正に納付すること」という規定は、現在の適正化指導要綱にはないが、調査したところ、既に国から各建設業団体には指導の要請がされていることから、早急に規定の見直しを考えたい。

9月議会(会期3日〜26日)の一般質問では、(1)災害時の飲料水確保対策(2)原油・物価高騰に対する市の取り組み(3)来年度から複合施設としてスタートする旧高根台第1小学校について取り上げました。

■災害時の飲料水確保対策
つのだ:市の防災計画では災害時の水の確保は県水道局給水場と市の耐震性井戸(防災井戸)に求めることにしているが、防災井戸の水質検査で飲料水の水質基準に適合していない井戸が多数ある。また、基準を満たしている井戸でも、市内に供給されている水道水の水質と比較して質的に劣っている井戸はほかにもある。災害時の飲料水確保を地下水に求めるという従来の考え方から耐震性貯水槽の整備や学校プールへの濾過器配備などにより可能な限り水道水の確保を図るという方向に転換してゆくべきではないか。

答弁:飲料水の提供は各避難所等に備蓄してある缶タイプの飲料水をまず活用し、防災井戸は主に生活用水としての活用になる。災害時に避難所等に避難した方々に、迅速に飲料水の提供を図る必要は強く認識している。議員指摘の耐震性貯水槽の設置や学校プールの水源利用による濾過器の設置等々について、本市にとって効果的な方法を調査研究したい。

■原油・物価高騰に対する市の取り組み
つのだ:中小企業の資金繰り円滑化のため本市の融資制度についても、より一層の要件緩和などを検討すべきではないか。また、昨シーズンを上回る灯油価格の高騰に対して福祉灯油事業の実施を含め深刻な影響が懸念される高齢者や母子家庭、低所得者を中心に市民生活を守る施策を早急に実行に移すべきと考えるがどうか。

答弁:中小企業者の経営は極めて厳しい状況にある。現在のところ現行の融資制度のなかで対応する考えだが、今後の経済情勢の把握、情報収集を行い適切な対応をしてゆきたい。福祉灯油事業について、今のところ特段の助成制度を設けることは考えておらず、今後、国、県、他市の状況を見守りたい。

つのだ:生活必需品が軒並み値上がりしているうえに灯油の高騰と状況は昨シーズンとは明らかに違う。需要期を前に少なくとも市としてどのような手だてが講じられるか関係部署が検討する場を設けるべきではないか。

答弁:今後、横断的に検討する場を設けて検討してゆく。

市議会(6月議会)は6月3日から23日までの会期で開かれました。
6月議会の一般質問では(1)医師不足や医療費抑制の影響で自治体病院の経営が急速に悪化しているなか、市立医療センターの経営について、市民の健康を守る拠点として将来にわたって公営を維持する必要があるとの立場から経営改善の方向について質すとともに、(2)全国的に見ても大きく整備が遅れている本市の下水道事業について実態を踏まえた業務効率化のための提案を行いました。

■病院事業について■
つのだ:公営企業法全部適用を目指すべきとされた本市だが、全国的にみて全部適用を採用しても経営状況が改善しない病院が多いということについて、どのように分析し、病院事業活性化という目標達成のためにはどのような取り組みが不可欠と考えているか。

答弁:全部適用を成功させるカギは病院のトップと各職種からなるスタッフが一丸となって、目標設定から実現へのプロセスまで、病院を変えていくのは自分たちであるという意識をもって取り組むこと、また、全員が経営意識を共有し、チームとして患者の満足度の高い医療の実現に努力できるかどうかにある。
また、市長をはじめ設置者側は、そうした病院の努力が可能となるような十分な裁量を認めるとともに、病院経営に無関心となることなく、積極的に支援する体制をとる必要があると考えている。

つのだ:平成18年の診療報酬改定で手厚い看護を提供する病院により多くの報酬を支払うということで患者7人に対して看護師1人の「7対1の入院基本料」が新たに創設された。地方の自治体病院での看護師不足の一因ともなったといわれてているが、医療センターの場合、現状は上から2番目の「10対1」の入院基本料が適用されている医療センターで「7対1」対応とした場合の収支の試算を示していただきたい。

答弁:病床稼働率90%とした場合、入院収益は年間3億2110万円の増加が見込まれる。一方、費用は看護職員一人当たりの平均年収600万円で計算すると2億9400万円となり2710万円のプラスとなるが、この計算はあくまでも試算の域を出ない。

■下水道事業について■
つのだ:下水道に接続する排水設備工事について工事内容に関する基準を定めているが、実際は全体の約7割を占める既存建物の工事はほぼ100%、既存の設備を使う確認書添付の工事、すなわち不具合が生じた場合は施主が責任を持つという前提で基準に合致していなくても検査済証が交付されている。7割が基準に適合しているか否かの検査をする必要のない工事が行われている本市の実態を考えた場合、検査業務に職員を割くのは非効率であり、業務委託など効率化を検討すべきではないか。

答弁:既存設備を活用する場合は、どのような状況にあるか施主に十分説明するよう指導している。既存設備を利用した接続工事でも完了検査は、範囲は少ないとはいえ法令に適合するものでなければならないことから、知識、経験を有する技術系再任用職員を登用し検査体制の充実を図っている。また、検査現場における指導を強化するほか、指定工事店や責任技術者を対象とした研修会を開催するなど良質な工事執行を図るためため改善を図ってゆきたい。委託化については今後、職員の配置や検査業務の状況をみて検討する。

本日(11日)、本会議の質疑に立ちました。

今回は(1)精神障害者への支援(2)発達障害児の支援〜新年度から実施の感覚統合療法と今年度から実施のペアレントトレーニング〜(3)新年度から発足する新組織・療育支援課—などについて質問しました。以下、質疑の概略をご報告します。

■精神障害者への支援■
つのだ:平成19年3月末の精神通院医療の申請実数は4,750人、これが今年度は約6,000人に達する見込で、本市においても精神保健福祉の充実の必要性は高まっている。心の病に苦しむ方は、家から一歩外へ踏み出すにも大変な困難を伴うことが多いほか、サービス利用も治療との並行となることなどからコンスタントに通うことが難しい。そうした方への支援のあり方としては、例えば作業所なども小規模で良いから、できるだけ通いやすいところに開設されていることが望ましいが、本市の現状を眺めた場合、そうした基盤がまだまだ貧弱であり、作業所等を開設しやすい環境を整えてゆく必要があると考る。小規模作業所への補助制度は年間の利用者人数に応じて運営費や家賃の補助などが行なわれる仕組みになっているが、精神障害者への支援を充実するためにも要件の見直しを行なうことによって少なくともサービス提供基盤を整備しやすい環境を整える必要があると考えるがどうか。

答弁:本市では精神障害者共同作業所に対して運営に係る補助と家賃補助をいずれも年間通所延べ人数などに応じて三つの階層に区分して補助している。今後、市民のニーズや近隣市の動向を見守ってゆきたい。

つのだ:近隣市の動向を見守るとういうなら、隣の市は通所人数による区分は設けず一律に補助を行なっており、金額も船橋を上回っている。地域に作業所を作りやすい環境を整えるため早急に改善して欲しい。また、精神障害者福祉について現在の船橋市の体制は所管が複雑に分かれており大変分かりづらい。同じ精神障害者への支援に対する所管が複雑に分かれているということは、施策全体に対する責任が不明確、あいまいになってしまい、当事者の要望が行政に反映されにくくなる。結果として障害者本人が谷間に置かれる危険性が高いということを指摘した上で、現在実施している事業についてあくまでも利用者の視点から検討を加え、整理すべきものは整理することを求める。

■発達障害児の支援〜感覚統合療法とペアレントトレーニング〜
つのだ:昨年の3月議会で、軽度発達障害など発達に何らかのつまずきのある子どもの実態が近年徐々に明らかになりつつあり、それに伴ってこうした子ども達への早期からの支援の必要性が指摘されていることを踏まえ、発達障害児への治療アプローチのひとつである感覚統合療法について、本市の場合は子ども発達相談センターに必要となる器具をはじめ実施に必要な環境がほぼ整っており、感覚統合療法に精通した作業療法士さえ確保できればすぐにでも行なうことができる状況にあることから、施設の有効活用の観点からも実施を提案させていただいた。実現に尽力した関係者の方々に感謝する。その上で初年度は対象者、人数、対象年齢についてはどのように考えているのか。また、参加者の募集方法、周知についてはどのように行なうのか伺う。

答弁:学習障害や自閉症などの発達障害に有効とされていることから、これらの障害を持つ子どもを対象に考えている。対象年齢、人数については就学前の幼児を対象に指導者と1対1の関係で行ない、1日に3〜4人程度、年間で延べ30人程度を見込んでいる。募集方法、周知については、まず募集に当っては感覚統合療法が有効な子どもの見極めをどのように行なってゆくのか検討する必要がある。また、療法を実施するなかで子どものウイークポイントも見えてくることから、保護者に対しても非常にデリケートなメンタルサポートが必要になることから、初年度についてはメンタル面のサポートが比較的容易な「こども発達相談センター」の相談業務を利用している保護者の中から募るほか、学習障害児や自閉症児の保護者の団体等に呼びかける方法も検討している。

つのだ:今年度にやはり子ども発達相談センターを会場に実施されたペアレントトレーニングについて。ペアレントトレーニングは、ADHDなど発達につまずきのある子どもを育てる親に焦点を当てたプログラムで、子どもの特質を理解したうえで、ではどのように接すればよいのかを考え、より良好な親子関係を築くための技法として考案されたものだが、本市において実施したペアレントトレーニングについて、今年度の事業についてどのように評価しているのか、また、来年度以降の計画について伺いたい。

答弁:昨年9月から11月までの期間で実施した。参加した保護者は15名で、5名づつ3班に分かれ、講義と実践指導などのカリキュラムで実施した。最終日に実施したアンケートでは概ね良好な評価を得たと考えている。「大変に参考になった」「同じような悩みを抱えている人と話ができたことが良かった」「子どもの困難な行動が理解できた」「参加者の表情が回を重ねるごとに明るくなった」といった意見が寄せられた。保護者と子どもの生活を改善するという本来の目的が達せられたと考えている。来年度も発達障害児の重要な支援施策として、引続き実施してゆきたい。

つのだ:日本において早い段階からより効果的なプログラム開発に取り組み続けている猪飼ユリアさんは、「プログラムを作成するうえでいちばん難しいと感じたのは、日本の家庭でどのようにトレーニングを行なってゆくかでした。日本とアメリカでは育児の習慣も社会環境も違うところが多いので、アメリカで生まれたペアレントトレーニングのプログラムを日本に定着させるには、日本の家庭向けに変えてゆくことが絶対に必要でした。(中略)ペアレントトレーニングは、我が子によい注目を注ぐこと、すなわち『ほめる』ことから始まりますが、日本人は自分のこどもをほめることがあまり得意ではありません。英語では『Good!』で済むことでも、日本語だと難しい。実際、トレーニングをはじめたばかりの受講生の多くは『うちの子どもはほめるところなんか何ひとつありません』とうなだれ、10回ものセッションを続けていけるだろうかという不安にとらわれます。そんな受講生の気持が痛いほど分かり、ほめ方ひとつにとってもアメリカと日本の違いを感じながら、プログラムを作っていきました」と語っている。日本の家庭での子育てに適した手法の開発に向けてペアレントトレーニングはまだまだ試行錯誤の段階である。発達につまずきのある子ども育てる親にとってより有効な支援が講じられるよう、専門家の意見も聞きながら内容の充実を目指して欲しい。

新年度予算案を審議する3月議会が2月27日からスタートしました。厳しい財政状況を反映して対前年度マイナスの緊縮予算となっていますが、そのなかでこれまで議会で提案してきたことがいくつか盛り込まれました。概要をご報告します。
■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織・『療育支援課』が発足〜

■妊婦健診無料化の拡大〜2回から5回へ〜
妊婦健診は通常、出産までに12〜14回程度受ける必要があるといわれますが、母子手帳についてくる無料受診券は2回分のみ。残りは自己負担となりますが保険がきかないため、経済的な負担感は大きなものがあります。また、産婦人科の”たらい回し”の問題ではかかりつけ病院がない、即ち病院で妊婦健診を受けていない場合に起こるケースが大半ということも踏まえ子育て支援の一環として無料化の拡大を議会で訴えてきました。この結果、新年度から無料の妊婦健診が2回から5回に拡大されます。

■下水道接続工事の負担を軽減〜無利子貸付制度の限度額を引き上げ〜
下水道が整備された地域では、条例で3年以内に下水道に接続する工事を実施することが義務づけられています。工事の経済的負担を少なくするため市議会で様々な負担軽減策を主張し、実現してきました。
下水道への接続にかかる工事費は敷地内の配管の状況によっても金額に大きな開きがあり、現行の無利子貸付制度の限度額でも収まらないケースもかなりあります。市内の工事費の実態を踏まえ、限度額の更なる引き上げを早急に実施するよう議会で主張。この結果、新年度から浄化槽から下水道に切り替える場合で30万円から35万円に、汲み取り便所の場合で45万円から50万円へと引き上げられます。

■発達障害児の支援を充実〜市内施設で感覚統合療法がスタート〜
感覚統合療法は、もともとは半世紀ほど前にアメリカにおいて問題となり始めていた学習障害児へのリハビリテーションを目的に開発された技法で、日本においては1976年に初めて行なわれ、その後の実践の積み重ねのなかで子どもだけでなく「認知症」「統合失調症」の治療への応用も試みられるようになっています。

「注意が持続しない」「感情をコントロールできない」「常に動き回る」「読み書き算数ができない」「縄跳びなどの運動ができない」等々、行動や認知、情緒、運動企画などの障害の原因として、触覚、視覚、聴覚などの感覚を脳の中で処理する過程に何らかの障害があることが強く疑われる場合に、その子どもの症状に応じて様々な器具を用いたりしながら適度な感覚刺激を与えることによって脳の働きを促すことで、症状・状態の改善が認められるケースが多く報告されています。
近年発達につまずきのある子どもの実態が徐々に明らかになるにつれ、こうした子どもを育てる市内の保護者からも感覚統合療法の実施を求める声が高まっていることを受けて昨年3月議会で早期の実施を強く要望。新年度からJR西船橋駅近くの『こども発達相談センター』で感覚統合療法がスタートすることになりました。

■乳幼児期から障害児への一貫した支援を〜新組織・『療育支援課』が発足〜
障害児の療育について、本市においても複数の機関・施設でサービスが提供されていますが、指導・支援の計画づくりが個々の施設ごとに行なわれているため、また、縦割り行政の弊害もあって、一人一人の発達段階に応じた適切かつ一貫した支援が提供されていないという状況がありました。
ひとりひとりに最適な支援計画の作成とそれに基づく一貫した支援の実施が行なわれるよう、医師、理学・作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などで構成する専門家チームを置き、支援の充実を早急に図るべと議会で主張。これを受けて一貫した支援を行なうための組織として『療育支援課』が新年度から発足することになりました。

福祉、環境、衛生、経済、教育、土木…。自治体が日常的に行なっている仕事(事業)は極めて多岐にわたり、船橋市の場合で、ざっと数え上げただけでも2,000以上に上ります。それら一つ一つの仕事が「最小の経費で最大の効果が得られるよう実施されているか」言い換えれば「税金の無駄遣いがないか」をチュックすることが議会の主要な仕事のひとつです。

「何らかの障害を負って、発達につまずきのある子どもに対する支援(療育)についていえば船橋市は非常にサービスが悪いですね」
(私)「そんなことはないと思います。療育に携わる専門職も他市と比べても遜色ない、むしろ手厚く配置されています」

「しかし、保護者の声を聞いていると”隣の市は良い。それにひきかえ船橋市はダメだ”とみんな言ってますよ」

以上の会話は船橋市民のほか、周辺市の市民も利用する産科病院に伺った際の担当医師とのやりとりです。
正直、私自身ショックを受けました。「一体、何がまずいのか」を調査しました。結果は連携のまずさでした。

12月議会(07年)〜発達支援の体制整備を

上の図は、船橋市における障害児及び発達障害児の療育サービスに至るまでにどのような経路をたどるかを関係部局からの聞き取りをもとにまとめたものです。

見づらくて恐縮ですが、療育関係の仕事(事業)に限っても、多くの事業が本市において実施されていることが見て取れると思います。

産科医から船橋よりはるかにサービスが良いと指摘された自治体にもお邪魔して話を伺いましたが、療育に携わる医師、療法士、保健師など専門職のマンパワー、投じている予算などどれをとっても船橋の方が充実していました。

「では、一体何がまずいのか」。聞き取り調査を行う中で明らかになったのは、「個々の事業には人も予算もしっかり付けられているが、事業間の連携がとられていないため、結果として保護者の不満が募っている。即ち税金が有効に使われていない」ということでした。

例えば、知的障害児のための療育施設『さざんか学園』では、子どもの状態に応じてどのよう目標を立て、指導してゆくか保護者と話し合って計画を作り、それに基づき指導しています。療育が効果を上げ、排泄など身の回りのことがある程度できるようになり、次にステップとして、幼稚園や保育園に入園することが適当と判断されても現実には受け入れてもらえません。

理由は先にも触れましたが、縦割り行政のなかで連携が全く取れていないからです。療育の現場では「わずか数人の集団でいつまでも過ごしていては社会性に偏りが生じる。小学校に上がる前のわずかの時間でも健常児集団のなかに入ることが本人の発達のためにも必要」と判断しても受け入れ側の、特に保育の現場では「障害児枠が一杯のためダメ」と断られる。こうした弊害は何もさざんか学園に限らず、学校に上がる際の教育委員会との連携の悪さなど、船橋の場合あらゆるところで見受けられます。

個々の仕事(事業)を取り上げてみた場合、人もお金も他市と比べて遜色ない、あるいはそれ以上だといくら担当者が胸を張っても、一人の子どもの乳幼児期から発達段階に応じた支援という面から見た場合、人もお金も有効に使われていない。個々の事業のチェックもさることながら、それらがトータルとして住民福祉の向上に役立っているのか否か、そうした視点で点検する必要性を痛感させられた事件でした。

つのだ:障害児の療育について、本市においても複数の機関・施設でサービスが提供されているが、指導・支援の計画づくりが個々の施設ごとに行なわれているため、一人一人の発達段階に応じた適切かつ一貫した支援が提供されていない。ひとりひとりに最適な支援計画の作成とそれに基づく一貫した支援が行なわれるよう医師、理学・作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などで構成する専門家チームを置き、機能の充実を早急に図るべきだ。

答弁:障害を早期に発見し、早期療育を実施してゆくことは、その後のライフステージにおいて適切な支援を行ない将来の生活の質を向上させるために大変重要。各施設の専門職員を有機的に結びつけ、一人ひとりに効果的な支援を行なうため、現在、各専門職の配置のあり方や一元的な支援など、各施設の資源や施策を効果的に実施するための検討を重ねている。

知的障害児が学ぶ市立特別支援学校(旧市立養護学校=市内金堀町)のこの10年間の児童生徒数を見ると、10年前は小学部、中学部、高等部合わせて100人未満だった在校生が昨年は189人と約2倍に増加しています。昨秋、学校を見学させていただきましたが、教室に入り切らず廊下まで机がはみ出している状況で、早急な環境改善が必要と痛感しました。

特別支援学校のなかでも高等部はこの10年で2.5倍に急増しています。在校生の半分は就職希望とのことですが、例えば平成18年度の卒業生31名中就職できた者は8名にとどまっています。この理由には、ひとつには、採用する側の企業に障害者雇用に対する理解が不足していることが挙げられます。毎年職業安定所が管内の企業に知的障害者の採用に対する意向調査を実施した結果が特別支援学校に送られてきますが、採用の意向を示す企業はわずか数社にとどまっています。いまひとつには、採用時期の問題があります。積極的な採用意向を持つ企業でも、年度の途中から働いて欲しい、例えば10月から来て欲しいといった形で求人をかける。「学校である以上中途で退学させて就職させることはできない」(市立特別支援学校)ため結局、就労支援の事業所等からの採用となってしまうため、卒業生の就職先確保をさらに難しくしているという面もあります。

特別支援学校の生徒の職場開拓は専ら現場の教師に委ねられているのが現状です。新聞に折り込まれてくる求人広告などを頼りに、夏休み期間中400社から500社を訪問して何とか職場実習を受け入れてもらえないかとお願いに歩く苦労を現場で伺いました。。在校児童生徒が増加し続ける中で、現場だけの努力では限界があります。
障害者の雇用については法律で市役所の場合2.1%の雇用が義務づけられていますが、法定雇用率算定に知的障害者も対象に加わって以降も本市における雇用実績はありません。このため、今後の採用へ向けた取り組みの第一歩として、実習の受入れを早急に実施するよう求めました。