高齢者にも成年後見支援を
高齢者福祉サービスの利用を措置から利用者本人による選択•契約に転換する介護保険制度のスタートと同時期に成年後見制度が創設されてから14年が経過しました。
成年後見制度の利用状況は毎年着実に増えており、成年後見関係の申立件数は制度創設時に9,007件であったものが、平成24年には34,689件と4倍近くに増加してます。本市においても高齢者の相談業務を担う包括支援センターの相談件数はこの5年間で200件から748件へと3倍以上に増加しています。
ただ、件数は着実に増えているものの、成年後見制度の内容について市民の理解は必ずしも十分といえず、まて、手続きも煩雑なことから事務の負担から申立に至らないケースも多いといわれます。
こうしたことに対応した制度についての啓発、また、認知症高齢者、虐待されていたり、放置されている高齢者の権利擁護、さらには権利擁護のために活動する市民の支援者の養成など、権利擁護を巡る課題に適切に対応するために、地域包括支援センターなどでは対応が困難な障害者も含めた権利擁護業務や後見等の申し立ての支援、普及啓発業務などを弁護士や医師、公認会計士など専門家で構成するNPO法人などに委託して、権利の擁護や制度の普及を目指している自治体もあることから、本市でも同様の支援体制をつくるべきでhないかと質問しました。
つのだ:船橋市では、平成24年に成年後見支援センターを開設して、専門職で構成されるNPO法人に権利擁護に関係する業務を委託して実績をあげている。
ただし、ここは障害者が対象で、高齢者についてはこのような体制がない。市民に対する支援の充実という観点からも高齢者についても専門的見地から権利擁護業務を支援する組織が必要ではないかと思うが見解を伺う。
答弁:本市では地域包括支援センターの相談の中で支援困難な権利擁護に関する事案や虐待事案などでは、弁護士医師、警察署、人権擁護委員、介護事業関係者など14名で構成される「高齢者虐待防止ネットワーク担当者会議」を開催し、支援につなげている。したがって、現時点で議員指摘のような組織の必要性にいては考えていない
つのだ:高齢者の成年後見については、地域包括支援センターが窓口となって相談に乗っているとのことだが、先ほど述べた通り、成年後見を含む権利擁護関係の相談が急増しているなかで、その後について、相談に訪れた市民が裁判所に申立を行ったのか、そのような件数については把握されているかどうか。
答弁:市長申立て以外に後見につながった件数については把握していない。
つのだ:高齢者、障害者の権利擁護のための支援センター業務を弁護士等の専門職などで構成するNPO法人等に委託して運営している自治体をいくつか視察した中で、ある市の担当者はセンターを立ち上げた理由について、「成年後見のニーズに高まりに伴って、包括支援センターや市役所に相談に訪れる市民も増えた。成年後見制度について丁寧に説明するが、ため息をつきながら帰ってゆく姿を見て、なんとかしなければならないと考えた」ことがそもそものきっかけであったと語っていた。
翻って、本市にも障害者については同様の支援センターがあるが、開設以来、高齢者に関する相談も多いと。高齢者の相談窓口は包括支援センターだと言うと、既に包括支援センターには相談したという返事が返ってくる。
制度についての説明を受けても、後見申立に至る前に煩雑な書類作成などで諦めてしまうケースも多いのではないか。成年後見制度がスタートした当初は後見人等に親族が選任されるケースがほとんどだったが、こ最近では全体の4割程度まで低下している。この背景として裁判所が親族の選任に慎重になっていることがあるともいわれるが、親族後見を申し立てた場合にそこで止まってしまうケースも多いという。
後見申立の手続きの手伝いは、あくまでも成年後見支援センターの担う業務の一部だが、包括支援センターは成年後見の相談業務だけを行っているわけでなく、介護や福祉サービスなど高齢者や家族の抱える様々な問題に対応している。成年後見制度の利用に関してその人の状況に応じて必要な手伝いまで求めることにも無理があると思う。
必要ないというまえに市民の側がどのようなサービスを望んでいるのか、相談者のその後の状況を把握したうえで判断してもよいのではないか。
つのだ ひでお(角田 秀穂)
略歴
1961年3月 東京都葛飾区生まれ。
創価大学法学部卒業。
上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。
社会保険労務士。