つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党
つのだひでお(角田 秀穂)|衆議院議員|公明党

とりあえずのまとめめいたもの②

児相1

「友達もいて家族もいて、経済的に豊かでも孤立はある。子育てに対する不安、自責の念、罪悪感、子ども時代に虐待を受けるなどの生育環境にあり、親と同じになりたくないと思っていても子どもに同じことをしてしまう自分に子どもを育てる資格はないと思い悩んでいる。」(早くから児童虐待防止に取り組む社会福祉法人の関係者)

虐待は決して特別な環境のもとで行われているわけではない。ある意味、どこにでもありうることだ。いま、児相が虐待と判断して介入する時点では、多くの場合、被虐待児はかなり深刻な傷を負っている。当然、体の傷の場合もあるが、より問題なのは外見からは伺い知れない心の傷。そして残念ながら、この心の傷に対する手当が全くと言っていいほど施されていないのが我が国の現状だ。

「職員が常に足りない。定着しない。心に負った傷を癒すために 専門機関との連携とともに、職員も勉強しなければならないが、職員が定着しない現状ではそこまでできない。」(児童養護施設施設長)

施設の職員配置基準は欧米諸国に比べはるかに少ない。そのうえに慢性的な人材不足だからスキルの蓄積どころではない。

 子どもの権利条約にも定められているように、子どもたちは家庭(的な環境)で養育されるべきだが、家族から分離、保護された子どものうち里親のもとで養育されている子どもは1割程度に過ぎない。

「ここで預かっている子どもの里親になれといわれたら、私は断ります。無理です」(児童福祉施設施設長)

里親制度を普及するには、専門機関を始めとする手厚いバックアップ体制の構築が不可欠だ。

多くの子どもは施設で措置解除となる18歳を迎える。そして…

措置解除された後のフォローが全くない。」(前出社会福祉法人関係者)となる。

子ども時代に講じられるべき手立てが殆ど講じられず、措置解除になったら社会に放り出される。当然のことながらこのような日本の児童福祉の現状は早急に改善されねばならない。数少ない児童精神科医(数年前のデータでは日本の児童精神科医は100人、アメリカは40,000人)の養成を含め医療、保健福祉、教育を総動員しての対策が急務であり、それは、当たり前のことながら、一地方自治体の手に負えることではなく、国が本腰を入れて取り組まなければいけない課題だ。

そのような現状を踏まえたうえで、地方自治体がやらねばならない、やれることを考えると、被虐待児の傷が深くなる前にいかに迅速に支援を講じることが出来るか、そのための仕組みづくりとうことになる。心に深手を負った子どものケアというものは並大抵のことではない。

「県と市の2層構造は時間がかかる。虐待調査は手ぶらで行ってできるものではない。どれだけ情報を入手出来るかにかかっている。家族構成や健診記録など必要な情報は地元市町村から得なければならない。また、管轄区域が行政区域に限られ機動力に富む。どこでも車で30分以内で駆けつけることができる」(中核市の児童相談所長)

県と地元市の2層構造で対応しようとしているいまの仕組み自体が今日的課題に対応するには無理がある。地元市町村は児相に投げて「児相が動いてくれない」といい、児相は「地元の市町村がちゃんと対応してくれない」という。そんなことをお互いに言い募っている場合ではないということは昨年の12月議会で訴えたとおり。

「先行市が児相を開設した平成18年以降、児童虐待防止法、関連する児童福祉法改正など児童相談所の守備範囲の拡大、さらには援助を児童相談所と管内市町村の2元体制で行うなかでの双方の連携強化などが強く求められるようになったわけですが、この仕組みのなかで児童虐待に迅速に対応するには無理があることが明らかになってきています。例えば急増する虐待通報に迅速するためには、県と市の2層構造は時間がかかるという問題が指摘されています。

虐待調査はどれだけ情報を入手出来るかにかかってきます。さらに、本来の目的である児童の保護と家庭への支援という面からみても、十分なフォローができていない。施設に措置したら後は措置先の施設に任せきり、在宅に戻せばあとは地元市町村に任せきり、といった状況で本来必要とされる支援が講じられていないという実情もあります。

児童虐待に関わる全ての部門でマンパワー不足、経験不足、連携不足というのが現実で、そのなかで児相に求められる今日的な役割を果たすためには、地域や施設、専門機関等のネットワークの中核としての児童相談所も市が一体的に運営し、より強固な連携の仕組みをつくらななければ無理だろう。

ある意味、船橋が独自にモデルをつくっていかなければならないと思っています。もちろん財政面、人材の確保などどれをとっても非常な困難を伴う事業であることは明らかです。それゆえに、この事業を遂行出来るか否かは多分にトップである市長の決断、リーダーシップにかかっているといえます。

市長においては、どうか、ぶれずに当初の公約通り児童相談所開設に向けて進んで頂きたいと要望致します。」(平成25年12月議会での一般質問)

少子化が深刻だと騒いでるこの国は、地方も含めて児童福祉のために使うお金を惜しんではいけない。

つのだ ひでお

つのだ ひでお(角田 秀穂)

  • 略歴

  • 1961年3月 東京都葛飾区生まれ。

  • 創価大学法学部卒業。

  • 上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。

  • 社会保険労務士。