直近の議会での主張
先行する中核市が児童相談所を設置したのも平成12年の児童虐待防止法成立以降ですが、その当時からも児童相談所を取り巻く環境は大きく変わってきております。先行市が児相を開設した平成18年以降、児童虐待防止法、関連する児童福祉法改正など児童相談所の守備範囲の拡大、さらには援助を児童相談所と管内市町村の2元体制で行うなかでの双方の連携強化などが強く求められるようになったわけですが、この仕組みのなかで児童虐待に迅速に対応するには無理があることが明らかになってきています。例えば急増する虐待通報に迅速するためには、県と市の2層構造は時間がかかるという問題が指摘されています。
虐待調査はどれだけ情報を入手出来るかにかかってきます。さらに、本来の目的である児童の保護と家庭への支援という面からみても、十分なフォローができていない。施設に措置したら後は措置先の施設に任せきり、在宅に戻せばあとは地元市町村に任せきり、といった状況で本来必要とされる支援が講じられていないという実情もあります。児童虐待に関わる全ての部門でマンパワー不足、経験不足、連携不足というのが現実で、そのなかで児相に求められる今日的な役割を果たすためには、地域や施設、専門機関等のネットワークの中核としての児童相談所も市が一体的に運営し、より強固な連携の仕組みをつくらななければ無理だろう。ある意味、船橋が独自にモデルをつくっていかなければならないと思っています。
もちろん財政面、人材の確保などどれをとっても非常な困難を伴う事業であることは明らかです。それゆえに、この事業を遂行出来るか否かは多分にトップである市長の決断、リーダーシップにかかっているといえます。市長においては、どうか、ぶれずに当初の公約通り児童相談所開設に向けて進んで頂きたいと要望致します。
そのためにも、しっかりした体制を敷いて早急に具体的な検討作業に着手して頂きたい。人材の確保、育成という問題ひとつとっても長い時間を要する問題です。ケースワーカーを育てるにしても1年くらいの研修では短すぎる。市域のどこに設置するのかという場所の問題もよくよく考えなければならない。緊急を要する事態に迅速に対応するためには市内どこでも一定時間内に駆けつけることが出来るという視点から設置する場所は検討されるべきだと私は考えていますが。そうした様々な課題も見据えて、専任の職員を確保して一日も早く作業を進めることを要望としておきます。
つのだ ひでお(角田 秀穂)
略歴
1961年3月 東京都葛飾区生まれ。
創価大学法学部卒業。
上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。
社会保険労務士。