船橋は下水道の整備が大きく立ち後れていました。現在、遅れを取り戻すべく急ピッチで整備が進められています。これに伴って、家庭の排水を下水道管に流すための接続工事(排水設備工事)も年間5,000〜6,000件と非常に多くなっています。
このため、市内に参入してくる業者(下水道指定工事店)も数多く、少しでも早く契約を取ろうとする営業合戦が過熱しています。なかには、下水道ができるはるか以前から訪問し、「いまなら大幅値引きで安くしておきます」など言葉巧みに実際にはとても高い値段で工事契約書にハンコをつかせる業者も現れています。
いったん契約を交わしてしまうと後から、こちら解約しようとしても、契約書に違約金を払うという条項が入っているため、工事費の何割かを払わされるはめになるなど契約を巡るトラブルに発展する事例も増えています。
下水道整備に伴って市民がトラブルに巻き込まれることがないよう、行政としても毅然とした態度で臨むべきと訴えました。
つのだ:今年に入って市が下水道指定工事店に送った文書のなかで、説明会前の営業活動について、これまで下水道事業説明会開催前の営業活動を自粛するよう要請してきたが、未だトラブルが後を絶たないとして、「市はこれを防止するため『整備工事着手前に整備区域の住民を対象に市が行う事前説明会の開催前における、これら住民に対する個別の営業を禁止する』旨を、条例・規則で定める指定工事店の遵守事項に加えることを検討している」として早期営業活動の自粛を改めて求めたうえで、規則改正後は改めて通知すると予告していた。
当初、9月改正実施の予定と聞いていたが、規則改正がその後どうなったのか。
答弁:「下水道事業説明会前の営業及び契約の禁止」の条例・規則化について検討してきたが、このような規定は、憲法22条1項に保障されている、「職業選択の自由」に抵触する恐れがあることから現在、成案は得られていない。
つのだ: 排水設備工事は、下水道事業の目的を達成するために、なくてはならない工事であり、だからこそ条例で住民に接続工事の実施を義務づけている。いいかえれば下水道指定工事店との工事請負契約の締結を義務づけている。
民民の契約と言っても、家のリフォーム工事などとは全く性格が異なる。市民に対して工事請負契約を結び、工事を実施することを義務づけている下水道事業者として、また、下水道指定工事店の指定権者として、排水設備工事の契約を巡って無用なトラブルが引き起こされないよう、また、市民が不利益を被ることがないよう、一定の規制を設けることは当然の責務と考える。
条例・規則で規制できないのなら、どうするのか。
答弁:工事説明会に出席できなかった方々の周知徹底、指定工事店に対する個別指導や指定工事店で構成する「船橋市上下水道管工事協同組合」への徹底方の依頼を強化するなど、トラブル解消に努めるほか、整備計画をお知らせする際に、対象地区の町会・自治会の協力を頂いてお年寄りの世帯を中心に個別に訪問して注意を促すなど対策について検討する。
つのだ ひでお(角田 秀穂)
略歴
1961年3月 東京都葛飾区生まれ。
創価大学法学部卒業。
上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。
社会保険労務士。