【お断り】このコーナーはあくまでも個人的な備忘録です
とある児童心理治療施設
現在、児童心理治療施設は38施設、さらに大分市、川崎市で開設の予定。千葉県内にはない。
そもそもは精神病院の副院長をやっていた精神科医が「福祉、教育、医療を一体化しなければやりきれない子どもがいる」と市を説得して開設した。当初は不登校の子が半分くらい。当時は虐待という用語が一般に使われていなかった。2000年に児童虐待防止法ができ、以降は入所者の8割から9割が被虐待児だ。入ってくる子は虐待で保護され施設に措置された子どもの中からさらに選ばれた子たち。施設での集団生活が無理な子、また、子ども病院などから入ってくる子もいる。医療は入院期間を短縮する方向だが、家庭に問題があるため返すに返せない。病院は生活の場にはならない。いま、児童相談所は虐待通報の対応や発達障害を含む手帳の判定で手一杯。医療もかかわってケアする施設は周辺の児童養護施設をサポートするためにも県に1か所は必要だろう。(大阪府は5施設、愛知県は3施設)
(入所児は、被虐待児が75%を占め、広汎性発達障害の子どもが26%、軽度・中度の知的な課題を有する子どもが12.8%、児童精神科を受診している子どもが40%、薬物治療を行っている子どもが35%となっています。=厚労省HP)
○子供たちについて
多くの子はもろい。いつもやられる、やられたと思い込んでいる。これまで人に守られて育ってきていない。大人が手を貸すことに脅威を感じている。子どもたちを安心させるには相当な守りが必要。半分くらいの子が服薬している。パニックを起こす子もいる。精神科医の助けが必要。24時間連絡のつく医師の確保が前提となる。
○施設の特色
学校部門を併設していること。これが重要。子どもたちはもともと施設でうまくいっていない子、養護施設は地元の学校に通うが、そこで問題を起こす子が集まってくる。自閉症・情緒障害児特別支援学級として施設内学級が設置されている。これにより施設で24時間まるまる面倒をみることができる。入所者の3割くらいが特学の知的レベル。普通教育にはついていけない。
○治療の実際
居場所の提供が第一。入ってくる子は社会に怯えている。あなたのための場所という気持ちをもってもらうようにする。やらされ体験はさせない。自らの力で周りに働きかけて切り開く力がもともとない。「あなたの気持ちが尊重される」という気持ちをもってもらいたい。学校も「行きたくなるまで行かなくてよい」という。養護施設は学校に行ってもらわなければ困る。だいぶ違う。入所当初は寝て食べての生活だが、一か月もすると生活になじんで、学校にいくようになる。みんなと一緒になりたいという気持ちは持っている。
第二に入ってくる子は自分で問題を解決できない。子どもたちが職員に相談しながら問題を解決するようにする。人に助けを求めたり、相談できるようになれば犯罪に走ることもない。
第三に共同生活の中で付き合い方を学ぶ。そのため個室はない。テレビは1台。ゲームも禁止。子ども同士で遊ばざるを得ない。
心理治療は特に時間を決めず、必要に応じてやっている。
○退園まで
3年ぐらいかかる。長い子は10年。半分以上は家に帰せない。出す先がないので高校生がたまっている状況。高校生は19人、うち7,8人は特別支援学校。アルバイトできる子は親に頼らなくて済むので逆に家に帰りやすい。
○就労
進学よりも就労の方が向いている子もいるが、就労の支援が遅れている。彼らは生きてゆくために働かなければいけないから、モチベーションが高い。うまく中小企業等につなげられればうまくいくだろう。
○経営
国ベースでは医師の手当ては月30数万円。これで医師はくるわけない。市が独自に市立病院の医師給与との差額を補助してくれている。職員も在職年数に応じて給与が上がるよう市からの補助がある。国ベースでもあるがそれだけでは厳しい。
つのだ ひでお(角田 秀穂)
略歴
1961年3月 東京都葛飾区生まれ。
創価大学法学部卒業。
上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。
社会保険労務士。