6月議会は11日(金)に質問に立ちました。今議会では(1)リハビリ病院と地域リハビリ(2)グループホーム(3)学校の部活―について質問しました。いつものことながら市民相談を踏まえて取り上げたものです。議論の概要をご報告します。
つのだ:リハビリについて、脳卒中などの疾患に対して、急性期から回復期にかけて集中的なリハビリテーションを行い、後遺障害の軽減や寝たきりを防止し、早期の社会復帰を図ることを目的に平成20年4月に市立のリハビリテーション病院がオープンして2年が経過した。
リハビリ病院の開院により、医療センターをはじめ急性期の治療を担う病院から早期に集中的なリハビリへ移行することが可能になったことにより、診療の効 果も目に見えて向上している。例えば開設した初年度の事業報告のなかで入院患者の退院先を見ても自宅に復帰した方の割合は全体で80.5%と全国平均の 69.8%を上回っている。特に、疾患のなかで最も多い脳血管疾患系で見た場合では全国平均の65.6%に対して81.0%と顕著な効果が見て取れる。ま た、疾患の発症から退院までの日数も脳血管疾患系で全国平均125.2日に対してリハビリ病院は105.8日と早期の回復という点でも効果を上げている。
ここでは、リハビリ病院退院後も含む維持期、主に自宅に戻ってからのリハビリについて提案し、それに対する考えを聞きたいが、その前にリハビリ病院の機能強化という視点から、1点だけ質問したい。
リハビリ病院では、患者に対して質の高いサービスを提供するために重視していることとして第一にチーム力ということを強調している。すなわち、医師、看 護師、ケースワーカー、PT、OT,ST等の療法士、さらにはソーシャルワーカーが朝夕のミーティング、入院時やその後の定期的なカンファレンスによって 各々が治療目標等の情報共有化を図っていることがこの病院の強みだ。
このチーム力を維持し、さらに向上させる上で行政が考えてあげなければならないこととして、これはリハビリ病院建設の段階で考えなければならないこと だったが、リハビリ病院に院内保育所を早急に開設して頂きたい。チームとして患者に関わっていることで目に見える成果を上げているリハビリ病院、その強み を最大限に発揮するためにはスタッフが長く働き続けられる環境を整えることが重要な課題。折角優秀なスタッフがチームに加わっても、また、リハビリ病院で 経験を積んで優秀なチームの一員として成長しても、結婚して出産した働き続けることができないということで辞めざるをえないとしたら、チーム力の維持すら おぼつかない。
特に本市の保育事情を考えた場合、優秀な人材に働き続けてもらう、ひいては市民のためにより質の高いサービスを提供してもらうためにも、院内保育所の整備は是非とも行ってもらいたいと考えるがどうか。
答弁:リハビリ 病院の院内保育所については、同病院を運営している指定管理者から、看護師等の確保のため保育施設を設置したい旨の要望がある。しかしながら、同病院は市 街化調整区域に設置されており、現状では保育施設を建築する基準がないことから、関係部署に建築の可能性について検討を依頼しているところだ。
つのだ:病院の保育所については建築の可能性について検討を依頼しているとのことだが、現実には難しい。理由は答弁にもあったが、病院が調整区域に立地しているからということだ。
都市計画法の34条において、市街化調整区域で許可される開発行為については厳しく制限されており、法律に列挙されたもののほか、開発審査会で認められ た行為以外は許可されないことになっている。そしてその開発審査会に付議できる開発行為の要件については船橋なら「船橋市開発審査会提案基準」というもの があり、どのような開発行為なら許可できるかを定めている。その基準のなかには病院の看護師寮はあるけれども病院で働く人のための保育所はないから、許可 できない。大体こんな理由で保育所は難しいということになっている。ただよその土地に行くと開発審査会提案基準のなかに病院の看護師寮に加えて病院に附属 する保育施設もオーケーとなっている。保育所の立地要件は当該施設の同一敷地内であること、ただし、同一敷地内に設置が困難な場合は隣接地であること。規 模、構造、設計等が当該施設の従事者の乳幼児のための保育施設として適切な施設であることなどの条件をつけて保育所の設置を可能としているところもある。 寮は可能で、保育所はだめだという船橋市の基準の考え方がどうしても納得がゆかない。
イケアというスェーデン発祥の組み立て家具の会社がある。4年前に船橋に日本進出第1号店を開いた。この船橋店では社員のための保育所を当初から計画に 組み込んでた。船橋に店を開くまでに世界34カ国に235の店舗を展開しているが、イケアが社員のための保育施設を店舗内に設けたのは世界でも船橋店が初 めてだった。
では、なぜイケアは日本進出1号店に保育所を設けたのか?IKEA側の答えは「日本の女性は結婚して子どもを出産すると会社を辞めてしまう(あるいは辞 めざるを得ない)。企業としては多くの時間とお金をかけて育てた人材を失うのはもったいない」ということだった。保育所利用の社員に対するアンケート調査 では7割近くが「保育施設がなければイケアでは働かなかった」と回答している。
船橋は立派なリハビリ病院をつくったが、病院の施設自体はただのハコであり、今後問われるのはその中身だ。病院というところは多くの職種、スタッフが一 人の患者に関わりる。治療の成果の善し悪しはそのスタッフのチームワークに係ってくる。そしてそのチームワークというものは一朝一夕でできるものではな い。良質な医療サービスの提供、そのための働き続けられる環境の整備ということ、これは病院のために言っていることではなく、市民のためという視点から申 し上げている。向かいの医療センターもいまのままではどうしようもない。市長には是非とも考えて頂きたい。
つのだ ひでお(角田 秀穂)
略歴
1961年3月 東京都葛飾区生まれ。
創価大学法学部卒業。
上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。
社会保険労務士。