下の表は、新聞社が年金問題についてチームを組んで検討した中で、年金の財源として現行の保険料方式がよいのか、税方式に移行すべきかか、という点について各社の結論をまとめたものです。
朝日、読売は現行の保険料方式を支持し、日経は税方式を主張しています。
年金制度が崩壊する、と一部の政党が盛んに不安をあおっていますが、前号でも書いた通り、今の制度で年金が崩壊することはないということは明らかになっています。
そのうえで、あくまでも年金制度の抜本改革が必要だ、税方式のほうが良いと主張し続ける政党のいうとおりに”抜本改革”したら国民の負担はどうなるのか を示したものが下のグラフです。
左の青い棒が現行の保険料負担の水準、右のオレンジの棒が税方式に移行した場合の負担の水準を示しています。税方式に移行 すれば青い棒の負担がなくなり、変わりにオレンジの棒の負担が生じることになります。一目瞭然ですが、すべての年代で負担が増えてしまいます。(特に年金 受給世帯の負担増が最も深刻です)
ただ、これまで保険料の半額を負担していた企業だけは負担がゼロになります。日経がなぜ税方式を主張し続けるのかは、改めて書く必要もないと思います。
年金保険料を払い終わった高齢者が再び年金の財源負担を税のカタチで強いられることに対する批判を慮ってか、民主党は○公的年金控除の最低補償額を 140 万円に戻す。○老年者控除50 万円を復活する―とマニフェストに記していますが、特に影響が大きい低所得者の負担軽減には役に立ちません。そもそも税はだれにでも中立であるべきだとい う理由をつけて子育て世代の控除は廃止するという一方で、高齢者の控除は膨らませるという一貫性のなさというか、節操のなさは一体どこからくるのでしょう か?
つのだ ひでお(角田 秀穂)
略歴
1961年3月 東京都葛飾区生まれ。
創価大学法学部卒業。
上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。
社会保険労務士。