介護分野の人材確保は、地域包括ケアシステムの構築していくうえで最重要の課題です。
介護職員は介護保険制度がスタートした2000年度は55万人だったものが、現在は推計で170万人前後、今後も高齢化の進展に伴って必要な職員数は増加し、10年後には240万人程度と現在よりも70万人程度増やす必要があるとされています。
介護福祉士の資格取得法には、現在、実務経験ルート、養成施設ルート、福祉系高校ルートの3つのルートがあります。
各ルートの資格取得者の数を見ると、平成25年度では実務経験ルートが8万7,000人、養成施設ルートが1万3,000人、福祉系高校ルートが3,000人となっていますが、今回は特に福祉系高校について取り上げました。
これは私自身、福祉系高校に伺って、授業を見学しながら、学校の方々とも意見交換をさせていただくなかで高校生の段階から福祉を志す生徒にもっと応援出来ることがあるのではないかと思ったのが端緒でした。このとき、特に印象的だったのは、目標に向かって真剣に学ぶ生徒の姿でし た。実習を控えた生徒に先輩学年から激励の言葉が教室にたくさん貼られていました。校長先生も、「高校生は純粋に福祉の仕事につきたいとの思いで学んでいま す。就職後の離職率も低い」と語っておられました。
平成25年度における福祉系高校の学校数は115校、定員4,136人に対して入学者数は3,352人で、定員に対する充足率は8割程度となっています。この数字からも介護分野での人材確保のためには働く場としての魅力アップのためも取組みをさらに進めなければなりません。
【国会での議論】
つのだ:福祉系高校に関して、養成する側、すなわち教員の資格について。介護福祉士法改正に伴い、特定の科目を教えるためには「福祉」の教員免許状に加えて介護福祉士や保険師、看護師等の資格を有し5年以上の実務経験が要件として加えられた。特別措置として介護福祉士等の資格に代わる講習や5年以上の実務経験に代わる研修を受ければ要件を満たすものとみなすという取り扱いが行われていたが、それも25年度までで、現在は行われていない。教員免許を有し、かつ有資格者であり、5年以上の実務経験を有する人材の確保は極めて困難な状況から現場からは、資格代替講習の復活などを求める声もある。教員の確保ができなければ、福祉系高校は存続できず、介護の人材確保のルートがひとつ失われることになる。対策を講ずるべきと考えるがどうか。
答弁:福祉系高校において介護福祉基礎等の科目を担当する先生のうち一人は、幾つかの条件の中に介護福祉士等の資格を有していることというのが入っている。これにつきましては、文部科学省、厚生労働省の共同省令により、社会福祉士介護福祉士学校指定規則の 中で、平成二十五年度までの経過措置として、文部科学省が行う講習会を修了した場合に介護福祉士の資格を有する者とみなされると いう形をとってきたが、この経過措置の期間が満了しているので、現在はこの講習会は実施されていない。
先月の社会保障審議会の専門委員会の報告書の中 で、この点については、現場から、現在の教員要件を全て満たす教員の確保は困難であるという意見を踏まえて、今後の介護福祉士のあり方等に係る検討の 中で、福祉系高校の教員要件のあり方について検討を行うという方針が出されている。文部科学省といたしましても、この動きを踏まえながら、福祉系高校の先生方が適切に確保されるように協力してまいりたいという考え方だ。
つのだ:福祉系高校はただ今、取り上げたこと以外にも、現場のニーズを踏まえた施設設備などの環境面の充実など様々課題を抱えている。是非とも優秀な人材養成のための取組みを押し進めていただきたい。
つのだ ひでお(角田 秀穂)
略歴
1961年3月 東京都葛飾区生まれ。
創価大学法学部卒業。
上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。
社会保険労務士。