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「10月以降、支援費の額が10%以上さがってます。お陰で借入金の償還資金がすっ飛びました」「いまの単価設定は、新規に事業をやろうとする法人のための単価設定になっていない。生産活動を行なうための設備投資の資金までは支援費ではでないんです」「これから福祉工場など障害者の就労の場を増やしてゆくためには行政の考え方を変えていくことが不可欠」。大西専務理事の口からは厳しい言葉が続く。ただ、その一方で「うちで働く障害者は半数以上が重度ですが、それでも仕事はあるんです。できるんです」「働いて給料をもらって、税金を納める。それを可能にするかどうかは、本人と家族と、そして行政の意識の問題なんです」と語る言葉に力がこもる。

『C・ネットふくい』で障害者が携わっている仕事は、極めて多岐にわたっている。▽コシヒカリや野菜の生産・販売▽ベーカリーの製造・販売▽平たねなし柿による干し柿の製造▽餅菓子の製造・販売▽天然塩の製造・販売▽花卉の販売▽クリーニング▽コインランドリー▽リネンサプライーなどなど。販路のひとつとして自前のコンビニなども展開している。
就労・雇用促進に向けてどのような仕組みを考えるべきなのか、根底にある考え方は(1)職の提供は食の提供、障碍者の生活自立支援の根本(2)個々に合った職業の提供は、個別支援計画の一部(3)顧客の満足する「ローコスト・満足福祉」の追求は、福祉関係者・施設経営者の責務(4)良質な職員の育成が障碍者の就労・雇用支援に不可欠ー。理念もさることながら、これだけ多くの就労の現場を抱えているだけあって、個々の特性に応じていかに安定的な就労に結びついてゆくかについてのノウハウを蓄積していることが何よりの強みだということを訪問して感じた。
また、特に(4)の「良質な職員の育成が障碍者の就労・雇用促進に不可欠」という点に関して「C・ネットふくい」の取り組みは参考になる。障害者の就労を支援するためこの世界に飛び込んできた職員は、少なくともその当初は誰にも負けない情熱を抱いていたはずだ。そうした情熱の炎も、自分の意見が組織の中で取り上げられず、逆に組織の側の論理を押しつけられていては、やがては萎えてしまう。職員のやる気が萎えてしまえば、結果として障害者の就労・雇用を促進する方向への推進力も萎えてしまう。どのような組織であれその盛衰の鍵を握るのは所詮は人だ。
この点に関して、「C・ネットふくい」は全職員に対して、現在の率直な思い、法人の将来への希望・不安、事業に対する提案等について意向調査を行い、その結果を踏まえて間髪入れずに改善策を講じている。この取り組みは一般の民間企業でも学ぶべきことだと思う。
「福祉だから、障害者だから」という言い訳だけをいい募っているだけでは、これから先も障害者の雇用は進まない。促進するための施策も重要であることは勿論だが、いかに優秀な人材を集めるか、その人材を活かすのかがこれからの重要な視点になってくるのは間違いない。
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冒頭の写真は、職員の自家用車を洗車・ワックスがけしている光景。「一般企業に就労した障害者がリストラされて、何か仕事はないかと考えて見つけた仕事です」(大西専務理事)。ボディに食い込んだ鉄粉を粘土で丁寧に落とし、ワックスがけまでして料金は3,000円也。1日2台で少なくとも2人分の人件費はでる。「ここは工業団地の一角にありますから、その立地を生かして各工場にも営業をかけて、仕事が途切れることはありません」。真剣に探せば仕事はどこにでもあるということ。

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