保証人がいないために、アパート等へ入居できないという高齢者世帯やひとり親世帯、障害者世帯に対して、市内不動産店と協力して情報提供、入居保証を行なうとともに、低所得者に対しては保証料の一部を助成して入居を支援する「船橋市民間賃貸住宅入居支援事業」が9月18日からスタートすることになりました。支払い能力があるにも係らず住宅を確保できない高齢者などのために市独自の支援策が是非とも必要だ、との思いで平成17年6月議会で提案していたものです。
身寄りのない高齢者など、「保証人になってくれる人がいない」という方がアパート等に入居できるよう支援する制度としては、これまでにも「高齢者の居住の安定確保に関する法律」にもとづく「家賃債務保証制度」などがありましたが、実際にこの制度に登録している船橋市内の物件を調べてみると家賃が月13万8000円、13万6000円、12万円などといった比較的高額な物件ばかりで、「これで本当に住宅に困っている世帯のニーズに応えられるのか?」制度の有効性に疑問符が2つも3つもつくような代物でした。
今回、船橋市と市内の協力不動産店、市と協定を結んだ民間保証会社(3社)の連携によって実施される「民間賃貸住宅入居支援事業」の内容は、(1)民間賃貸住宅の情報提供(2)入居保証(家賃等債務保証)(3)低所得者への保証料の助成ー。このうち(2)の入居保証は、保証人がいない世帯のために市と協定を結んだ民間保証会社と契約を結ぶことによって、保証人に代わって保証会社が家賃滞納等の金銭的保証を行なうもので、契約時に支払う保証料は家賃等の50%。例えば家賃・共益費で月6万円のアパートに入居しようとする場合、3万円の保証料を支払えば保証人がいなくても入居できるようになります。(3)の低所得者への保証料助成は、世帯の合計所得が月額26万8千円以下(公営住宅の収入基準に準じた額)の世帯に対して保証料の2分の1(上限額1万5千円)を助成するもの。上記の例でいえば、家賃・共益費6万円のアパートに入居する場合の保証料3万円のうち1万5千円が
市から助成されることになります。
高齢者や障害者が住宅を探すときに味わう困難は、保証人が見つからないという事情以外にも、様々な要因が絡み合っています。神奈川県が不動産業者に実施したアンケートによれば、ひとり暮らしの高齢者に住宅を仲介するときの障害として、「病気、事故等が心配」という回答が最も多く88.1%、次いで「保証人がいない」という回答が50.0%、「家賃の不払いが心配」35.8%。また、ひとり暮らしの障害者に住宅を仲介するときの障害としては「病気・事故が心配」というのがやはりトップで69.1%、「住宅の安全面が心配」、これが47.5%、「希望物件がない」38.8%を占めております。以下、「住宅改造・使い方の問題」、「保証人がいない」、「家賃の不払いが心配」と続きます。ひとり親世帯に住宅を仲介するときの障害としては、「家賃の不払いが心配」が最も多く、52.2%、次に「保証人がいない」が31.1%ーという回答が得られています。滞納した際の保証人がいないという心配がクリアされても病気や事故などに対するオーナーの不安が入居の大きな妨げとなっている実態が浮き彫りとなっています。
こうした実態も踏まえ、高齢者・障害者・ひとり親世帯の住宅確保が船橋市においてさらに円滑に進むよう、福祉部局との連携強化など今後も議会において訴えてゆきたいと考えています。
(参考=この問題を議会で取り上げた議事録)(05年)6月議会
つのだ ひでお(角田 秀穂)
略歴
1961年3月 東京都葛飾区生まれ。
創価大学法学部卒業。
上下水道の専門紙・水道産業新聞社編集部次長を経て、1999年から船橋市議会議員を4期、2014年から2017年まで衆議院議員を1期務める。2021年10月2期目当選。
社会保険労務士。