「診療行為などの公定価格で医療機関の収入となる診療報酬が、4月から改定される。(中略)公明党が強く要望していた児童の治療用眼鏡と、コンタクトレンズにも保険が適用され、療養費が支給されるようになる。」(3月20日付公明新聞)

眼鏡やコンタクトレンズを用いて矯正しても、十分な視力が得られない弱視の原因は、大きく2つに分けられ、1つは先天性の白内障などの重い目の病気によるもの、そしてもう1つは視力の発達する生後2カ月から3カ月ぐらいから3歳ごろまでの幼児期に、強度の屈折異常があり、正常な目のみが働くようになり、視力が上がらなかったもので、後者の原因の場合、屈折異常が原因の場合には、早い時期に適切な治療を施せば、視力の改善を望むことができる。

弱視の治療法としては、片方の目のみが特に視力が悪い場合には、健全な方の目をアイパッチと呼ばれる大きなばんそうこうのようなもので遮へいしたり、よい方の目にわざと見えにくくするための目薬を点眼し、悪い方の目の視力の発達を促すという方法、さらには注射であるとか、手術による治療法が用いられているが、何と言っても眼鏡による屈折矯正が基本となる。視力の発達は個人差が大きいが、一般的には8歳から10歳程度でとまると考えられており、治療開始の時期は早ければ早いほど効果が期待できると言われている。

低年齢の段階で、眼鏡で矯正して網膜にピントをきちんと合わせ、鮮明な像を脳に送り、視機能の発達を促すことで矯正視力が1.0程度まで改善した事例は数多く報告されている。

このように、斜視を含めた弱視は、視力の発達がとまる前のできるだけ早期の段階で、眼鏡による矯正を基本に治療を行えば、改善が期待できるにもかかわらず、治療段階における弱視・斜視矯正眼鏡に対しては医療保険の適用がないため、全額自己負担で行わなければならないことから、弱視の子供を持つ保護者は大きな経済的な負担を強いらる現実があった。

この問題については私自身、数年前に弱視の子どもさんをもつ方から経済的負担の軽減を図って欲しいとの要望を受けて、調べてみたが、40年以上前に厚生省(当時)が出した通達がネックになっており、保険適用は難しいものと思い込んでいた。それがこの1年余りの間に事態が大きく動き、ついに治療用眼鏡、コンタクトレンズに医療保険が適用される日が訪れた。

しかし、治療用眼鏡への保険適用という、考えてみれば当たり前のことが行なわれずに流れた40年の歳月はあまりにも長過ぎた。この間、この問題に取り組み続けた関係者のご苦労・ご努力にはただただ頭が下がる想いを抱くと同時に、こうした制度の谷間に置かれた人々の声を地方から国へと届け、一日も早い改善に汗を流すことが私たちの仕事なのだということを私自身、強い反省の念とともに改めて痛感させられた事件だった。

そもそも、これまでなぜ治療に用いる弱視や斜視の矯正眼鏡に保険が適用されなっかたのか。眼鏡に対する療養費の支給に関し、昭和39年11月26日付で当時の厚生省が出した通達が生き続けていたからだ。

この通達では、眼鏡の取り扱いについて、疾病または負傷の治療のために必要な用具、補装具は支給されることになっているが、眼鏡はこのような用具とは性質を異にしているので、支給の対象から外されている。

医療保険における眼鏡の支給は認められないが、身体障害者福祉法第20条の規定に基づく補装具としての眼鏡支給が考えられるという内容。つまり眼鏡は治療のために必要な用具ではないと厚生省が明確に示している。その指導を保険者が忠実に守り、支給を拒み続けていたことが最大の理由となっていた。

国が保険者に対してこのような指導をする背景には、もともと日本人は世界的に見ても、近視などで眼鏡を使用する人の割合が多く、こうした近視や乱視の矯正眼鏡と区別がつきにくいという考えがあったようだ。ちなみに、国の通達の中で、身体障害者福祉法の規定に基づく補装具としての眼鏡支給が認められるのは、両眼の矯正視力が0.1以下のもの、一眼の視力が0.02以下のものなど、症状が固定したものに限られ、適切な治療を施せば改善が期待できる子供たちの治療のことは全く考慮がされていない。

しかしながら、昨年(05年)に入って弱視・斜視の子どものために矯正用眼鏡やアイパッチに対する保険適用を求める運動を地道に続けてきた「アイパッチクラブ」の陳情を受け、浜四津代表代行が国会で取り上げて以降、事態は大きく動くようになる。

以下は公明新聞に掲載された記事。

『05年4月)28日の参院厚生労働委員会で質問に立った公明党の浜四津敏子代表代行は、矯正しても正常な視力が出ない弱視や、斜視などに対して、治療上必要な特殊な眼鏡や、視力発達に必要な装具であるアイパッチなどを保険給付の対象とするよう求めた。西博義厚労副大臣(公明党)は「中医協のもとにある専門組織で具体的に議論する」と述べた。』

その後の経緯は、

・(05年)6月17日付けで日本眼科社会保険会議、日本視能訓練士協会から弱視用眼鏡の療養給付に関する医療技術評価希望書が提出される。

・(05年)12月16日付けで中医協診療報酬調査専門組織医療技術評価分科会が一次評価の結果、「小児の弱視、斜視治療のための眼鏡およびコンタクトレンズ」を引き続き検討する技術とする中間報告。

・(06年)2月3日付けで中医協診療報酬調査専門組織医療技術評価分科会が、「小児の弱視、斜視治療のための眼鏡およびコンタクトレンズ」を保険適用する優先度が高いと考えられる新規技術とする報告。

この報告を踏まえ、「小児の弱視、斜視治療のための眼鏡およびコンタクトレンズ」が保険適用と決まった。

この間、一部の保険者においては治療用の眼鏡に対して保険適用を認めているところも増えていることから、加入する保険によって著しい不公平が生じている現状があった。保険者が眼鏡の保険適用を認めていれば、現状では、3歳未満は2割の自己負担、3歳以上は3割の自己負担分を支払えば済む。これに加えて都道府県・市町村が独自に行なっている乳幼児医療費助成の恩恵を受けることもできる。

船橋においては4歳未満であれば窓口負担200円で眼鏡をつくることが可能だ。事実、船橋においても矯正用眼鏡も保険適用としている保険者から、乳幼児医療費の助成申請が上がっていた。

国が保険適用を認めたことにより、こうした不公平もようやく解消される。それはそれでよいことなのだが、制度の谷間はまだまだある。私自身、こうした谷間を埋めることに最優先で取り組んでゆきたいと決意を新たにしている。

(参考=この問題を議会で取り上げた議事録)昨年(05年)9月議会

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