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市議会における来年度予算の審議も大詰めを迎えている。市民を代表する議員として様々な声を聞き、その声をもとに議会の内外にわたって必要性の高い施策の実現を要望するが、ほとんどの場合、行政側は「必要性は分かるが、財政状況が厳しいために実現は難しい」という回答をする。

「厳しい財政」を盾に議員側の要求の実現には否定的な反応をすることがほとんどだ。

私が議員として仕事をさせていただくようになって以来このかた、行政側から「財政が厳しい」という言葉は耳にタコができるくらい聞いたが、「財政状況が好転した」という言葉はついぞ聞いたことがない。

一体、船橋の財政は他の都市と比較してどのような状況におかれているのか?三位一体改革の渦中で、この先どうなるか不透明なところも大きいが、とりあえず平成16年度決算ベースにおける船橋の財政状況の他都市との比較を試みたのが冒頭のグラフ。

自治体の財政状況を示す尺度としては色々なものがあるが、そのうち代表的な指標とされている経常収支比率を船橋と同規模の中核市(人口50万人以上)について比較したものだ。

「経常収支比率」は、市税などの経常的な一般財源が、人件費などの経常的な経費にどの程度充てられているかを表すもので。70〜80%が標準的とされ、この比率が高くなるほど投資的事業や新たな施策を実施する余力がなくなる。すなわちこの比率が低いほど市民ニーズに応える余力があるということ。

家計に例えれば、収入に対して住宅ローンやら光熱費やら食費、教育費など黙っていても必ず出てゆく支出がどの程度の割合を占めているかを示す指標で、この数値が高いほど新たにカルチャースクールに通ったり、旅行に出かけたりといったことを企画する余裕がないということになる。

船橋市の場合、経常収支比率をみるかぎり同規模の自治体の中ではそうした余裕は少ない方といえる。ちなみに、今回比較した都市も含めた中核市全体(35市)の平均86.3%をも上回っている。余裕がない中で何か新しいことをやったり、買い物をしようとすれば、「貯金を取り崩す」か「借金をする」しかないが、では船橋の「貯金」や「借金」の状況はどうなのか?

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上のグラフは市民一人当たりどれだけの貯金(積立金)があるのか、下のグラフは市民一人当たりどれだけ借金(地方債)があるのかを同規模の中核市で比較したもの。

自治体は不況によって税収が落ち込んだり、災害の発生で急な支出が生じた場合に備えて、法律に基づいて財政状況の良い年度に財政調整基金などに積立て(貯金)を行なっており、貯金が多ければ不況で収入が多少落ち込んでも安定的な財政運営ができるということになる。船橋の場合、貯金は少ない。景気の回復が遅れているため、現時点での貯金はさらに減っている。

一方の借金の方は、一人当たりの地方債残高で見た場合、船橋は少ない。ただしこれは一般会計の借金だけをみた場合のことであり、実はこのほかにも返さなければいけない借金はたくさんある。例えば、船橋が特に立ち後れている下水道事業特別会計の借金(起債残高)は1200億円を超え、一般会計の借金をも上回っている。

下水道の借金(厳密には汚水分の借金)は本来、下水道使用料で返済するべきものだが、そうしようとすると使用料が著しく高額になるため、一部は税金を使って返済に充てている。こうしたことは船橋に限ったことではないが、同規模程度の他の都市では下水道建設はほぼ終わっており、あとは借金を返すだけという状況にあるのに対して、船橋はようやく普及率が半分を超えたばかりで、これから建設のための借金はさらに嵩む。このほか、病院や市場など他会計からの借金もある。

それぞれの都市によって事情は異なるため、単純な比較はできないが、こうしてみると船橋の財政は決して余裕があるとはいえない。三位一体の改革が船橋の財政にどれだけの影響を及ぼすかを見極めると同時に、市民サービスを低下させずに、いかに効率的な事業運営をしてゆくかが、これからの船橋にとってはとりわけ重要な視点になる。

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